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マリーナ嬢


「さて、報告を聞こう」


先程と同じ場所に座っているオスカーが口を開いた。


サロンには数刻前同様に皆顔を揃えている。



「では、私から報告します」ノアが皆を見回していった。


「マリーナ嬢の下宿ですが、学院から東よりの徒歩でも行ける程度の近い場所にありました。マリーナ以外に4人の令嬢が入居していますが全員学年が上で1年生のマリーナとはほぼ付き合いがなかったそうです。」



「ここから徒歩でも行けるなんてずいぶんいい場所にあるのね。」


学院は王都の中心地にも近い場所にある、城からも、貴族たちが住む区画からも近い。



「そうなんだ、もともと伯爵家の所有だったお屋敷を改装したらしい、下宿のマダムは伯爵家の出だったんですよ。


詳しくは分からなかったけど、伯爵だった両親が亡くなって、爵位返上で領土も手放し、手元に残ったのはあの屋敷とわずかな資産だったとか」



「当日の月曜日下宿でのにマリーナの行動をみていた者は?」とオスカー



「当日朝、マリーナ嬢は寝坊したと言っていました。

毎朝、朝食は食堂に集まって取ることになってるようですが彼女が起きてこないので、マダムが声をかけに行ったそうです。なので4人は月曜日に顔を見ることはなかったと。皆が下宿を出る時にはまだ部屋に居たようでらマダムに叱責されていたとか」



「誰かその様子をみたのかしら?それともその場にいたの?

誰も顔をみてないって言ってたわよね?」


ルイーゼが聞いた。



「うん。他の令嬢たちが部屋で支度を済ませて、出掛けるときにマリーナの部屋の前を通ったらマダムの声が聞こえたらしいよ。相当大きな声で怒ってたみたいで、いつも冷静なマダムが珍しいなと思ったって言ってたからね。

後、下宿の下働きの子がマリーナを見送って戻ってきたマダムの話をしてくれた。彼女は玄関ホームに入って来たマダムがまだ1年生のうちからたるんでるって怒りながら独り言を言ってるの聞いてる。」




「なるほど、それで顔は見てないけど、月曜日の朝には下宿にいたって事に落ち着いたわけか…」


オスカーは顎に手に呟いた。


「マダムとは話せたかい?ノア」



「それがマダムは修道院へ用事があると外出していまして…」



「そうか、出来れば明日もう一度マダムに話を聞いてきてくれるかい?」


「はい」ノアが頭を下げる。



「アネットたちはどうだった?」



「はい、1年生たちを中心にルイーゼと話をしました。 月曜日の日に彼女を見たと言う人は見つけられませんでした。」



「僕は騎士の訓練場に集まってくる令嬢たちを中心に話を聞きに行きました。彼女たちも月曜日は見ていないと。」



「月曜日は?」


「はい、マリーナは騎士訓練場の常連でしたよ」


ルーカスが笑って言った。


騎士コースを取ってる令息たちは午後から、訓練場で訓練に励むのだが


それを見学にやってくる令嬢が結構いた。


ようはカッコよくて、将来有望そうな令息を見つけにくるのだ。


その中にマリーナもいたらしい。



「わざわざ寮じゃなく、下宿に押し込んでも本人はどこ吹く風だったわけか」アンドリューが呆れ顔で言った。



「そうですね、常連のお姉様がたに目をつけられていましたからね。」



「それは、それは、一応あの方たちも貴族ですから、その中でもちゃんとルールや上下関係は存在しますからね。」とルイーゼが冷たく言い切る


いつもおっとり可愛い私の親友は、男の後ばかり追いかける品のない令嬢が大がつくほど嫌いなのです。



「中心にいる3人の令嬢、と何回かもめていました。なのであそこに行く令嬢たちは皆マリーナを知っていて、顔を出せばわかる。

そして彼女たちが言うには今週は1度も見ていない、最後に顔を見たのは土曜日。騎士たちの自主トレの時だそうです。」


「なるほど、やはり月曜日には学院に来ていなかったと言うことか。寮から学院までの間に何かあったのだろうか…」

殿下が顎に手を当てて考えている。


「そういえば、マリーナのお目当ての令息はいたの?」私はルーカスに聞く。


「ああ、それがお目当てというか接触があったのが2人だね」ルーカスがニヤリと笑って言った。

「1人は伯爵家の次男で近衛を目指しているセドリックと言う4年生です

この男はまったくなびく気配がなかったので、このところはあまり付きまとってはいなかったようだよ。

そしてもう1人は男爵家の三男でやりたくないけど、将来騎士くらいしか出来ないだろうと仕方なくやってるようなヤツなんだけど。

こっちはマリーナが付きまとってるんじゃなく、男の方が声をかけてたみたいだ。」


「マリーナは子爵令嬢ですものね。しかも1人娘とくれば男爵家の三男なんて目の色変えますわね~」ルイーゼが言う。


「そうそう、本当なら自分の家より格下でしかも三男なんて相手にしなそうだけど、このブレイン・アローと言う男は見た目がいいんたよ。」


「まて、その男ブレイン・アローと言うのか?」ずっと黙って考えていたオスカー殿下が顔をあげて問いかけた。


「ええ、3年生です。」


「殿下知ってる方ですか?」私が言うと


「いや、知らない。

だがさっき聞いたばかりの名前だったんだ。」

この言葉で皆が一斉に殿下を見る。




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