捏造の王国 その37 フールホウチ罪 バカを放置で国滅ぶ?
夏の暑さを思わせる日々が続くニホン国。新型ウイルスの蔓延にもかかわらず、利益誘導、国会閉会のアベノ内閣に対するSNSでは怒り爆発。トンデモな動きに唖然とするガース長官…
梅雨寒どころか真夏を思わせる暑さが続くニホン国。その暑さのなか、さらに熱中症の危険をますマスク着用をせざるを得ない首都、そして、ここ官邸でも様々なマスクをつけた面々が動いていた。
「ああ、くそ、なんでまた、この暑いのにマスクをしなければならないとは。おかげで喉が渇いてたまらん」
と、本日何杯目かのお茶を淹れるガース長官。
「ふう。出がらしの出がらしとなるとかなり色も薄くなったな。カテキン成分もなくなっただろうが、毎回新しい茶で入れるとなると、茶葉が足らなくなる」
「長官、いっそ水出し麦茶では?麦茶のミネラル成分も健康によいらしいですし」
突っ込みをいれるシモシモダ副長官。手に持つのはステンレスマグ、どうやら自宅から持ってきたらしい。
「いや冷たいのは本来体によくないのだよ、シモシモダ君。君こそ、その量で足りるのかね」
「あ、自分でブレンドした茶葉をいれたお茶パックをいくつか持ち歩いてますから。飲み干したら、パックを入れ替え、ポットのお湯を注げばそのうち出来上がるというわけで」
「く、なかなかやるな。それも給湯室のある職場があってこそだが」
「テレワークでホテル利用の会社員もやれなくはないと思いますが。しかし新型肺炎ウイルス流行はまだ、続きそうですが、国会を閉じて大丈夫なのでしょうか、ガース長官」
「そ、それは補正予算もつけたし、だな」
「それでも不足の事態が起きた時、どうするか。流行の第二波を警戒する学者、財界人も少なくありませんし。その、地元の支援者の陳情に耐えられないという議員も…」
「だ、だがな、シモシモダ君。このままいけば内閣そのものの支持率が、その」
「わかっております。すでに御用新聞であるはずの黄泉瓜新聞や、三径でさえ、40%を割りました。記者の中には“アベノ内閣はもう終わり、いつまでもくっついていたら不味い”と見限るものも…」
「ううう、全戸配布のマスクは遅れるし大不評。10万円給付いまだ全国にいきわたらないし、ついにマイマイナンバーカード申請を取りやめた自治体すら出てきた」
「あのマスク、カビどころかダニやトコジラミが混入、検品してさえ不良品というんですからね。総理と夫人の肝いりの会社製造の分が特に酷いらしいですが、一体どういう製造ラインなんでしょうか」
「着けるとかえって病気になるマスクとまでいわれているんだ!もうマスクはやめるべきだろうが、その…」
「総理を誰も止められそうにないですね。それに給付の件も」
「便通の中抜きがバレたからな、国会でもとりあげられた。事務費が多すぎと」
「失業した、廃業した生活困窮の一般国民にしてみれば、むしり取られた税がそんなことに使われるなんて怒り心頭でしょう。現に外出自粛にもかかわらずデモも盛んですし、国会前やら便通本社前など三密にならないデモなどもやってます」
「デモだけでなくグロカワ杯などという麻雀大会もやったらしい。半分面白がりながら、きっちり政府批判もやってるんだからな、ニホン人のくせに」
民主主義国家の市民としてあるべき姿でしょうとつっこみたくなるシモシモダ副長官だが、ガース長官のマスク越しのうつろな目を見て言葉をひっこめた。
「ああ、早く国会を閉じさえすれば、その、ゆっくり茶を飲む時間もとれるのに」
と、ガース長官がいいかけた、そのとき
「た、大変です長官、バカは粛清されるらしいです!」
と、言語明瞭意味不明のことをいいながら入ってきたのは、ニシニシムラ副長官。人の好い坊ちゃんのようなその顔が混乱しきっているのをみたシモシモダ副長官はガース長官の望みが断ち切られたのを悟った。
「つまり、なんだな、あのキジルシのうえ目立ちたがりの自称イラストレーターハズミらの名誉棄損を通り越した精神的傷害にちかい誹謗中傷が訴えられることになったと」
「そ、そうです。例のアベノ総理のオトモダチのレイプ事件の被害者を不当に貶めたあの件で、訴えられまして、その、酷いイラストの作者のハズミ氏だけでなく、それを広めたというか、その取り上げて面白がったミズタ・ミャクミャク議員ですとか」
「まあ、総理のお気に入りとはいえ、あいつらの卑屈、卑怯、卑劣さは目に余るものだからな。少しぐらい痛い目にあった方がいいかもしれん」
他から見ればアンタも同類といわれかねないガース長官だが、すっかり他人事である。
「そ、それだけでなく、便通の取締役の“確かに中抜きで仕事まわしてもらったんですけどお、利益率低いんですう”などという発言に、SNSでは“低いからって不正だろ、それ。庶民は10円胡麻化しても税務署に追及されるのになんだよ。第一、低いったって数千万の利益はあるんだろ、数十億の仕事なんだから”とか“そんなら仕事を受注せずに、公募で申し込んだ他の会社にやらせろよ、どうせ他に回すんならウイルス騒ぎでつぶれそうな会社やフリーランスらに回せよ”など非難ごうごう」
「便通の奴等もアベノ内閣で甘い汁を吸いすぎて、すっかりアホになったのか、嘆かわしい」
そっくりそのままブーメランとなって帰ってきそうな発言をするガース長官。
「そ、それで、ですね“こんなバカがはびこり、アホな政策で俺たちが苦しんでるのも、マイティフールといわれるトップを放置したからだ”“そうだバカをひきずりおろさなかったせいだ”“阿保を放置するのは罪だ、全国民が苦しむ”“今の国民だけでない、アホなトップは災厄だぞ、孫子も苦しむ”“そうだバカ放置は罪、フールホウチ罪”“そうだ#フールホウチ罪、を広めてアホ粛清だ”などと言い出す輩がSNS上で出てきまして」
「な、なんだ、それは!フール、マイティフールとはつまり、その」
「アベノ総理のことなんですが、それだけでなく、総理の周辺、つまり我々も含め、総理をお友達のそのような振る舞いを許していた責任があるとか、そのう…」
「つまり、閣僚、側近、官僚、同罪といわれているのか」
呆気にとられ口をつぐむガース長官。
「まあ、肺炎だのに罹って苦しんでいる人が大勢いる上に、効果があるかないかの外出自粛で観光、サービス、飲食業は大打撃。倒産した会社や廃業した事業主、解雇された労働者は続出。鬱憤がたまっているうえ、イベントは次々中止で気晴らしをする場所もないしなあ」
ガース長官に代わりしみじみというシモシモダ副長官。
「そ、それはそうだけど、一応政府だっていろいろ政策を」
なんとか言いつくろおうとするニシニシムラ長官の言葉を
「国民を助けるはずの給付金で利益誘導、しかも給付はいきわたらない。だいたい給付決定が遅いうえに、入金も遅い。マイマイナンバーカード作って電子申請をしろと広告したにもかかわらず、肝心のカードが届くのが何か月も先という本末転倒になってる。申請なしで現金書留でも送ったほうがよほど早いんじゃないか。現にアメリカとかだと小切手が送られたんだろう」
と、あっさり否定するシモシモダ副長官。
「そ、それはそうだけど、事業者向けのほうはさ、申請書とかちゃんとしないと詐欺とか」
「電子申請のみのうえ、間違いがあったら年利3%で、二割増しで返せ、刑事罰もありの、あの給付金かい?あれこそ便通だの、ダケナカのバソナだののダミー会社を通したせいで審査も給付も遅れてるという話だ。金の支払いが間に合わずに倒産、自殺者も出てるっていうのに、総理のオトモダチへの利益誘導かって与党ジコウ党議員でさえ、あきれ果ててるらしい。おまけにそのダミー会社、確定申告もちゃんとやってない、他の会社なら即座に調査が入りそうなお粗末な申告書らしい、一般の社長や事業主が怒り出すのも当たり前だ」
「まあ、そういわれれば、そうだよね。その怪しげなサービスなんたら会社に書類の審査委託なんかしないで、確定申告してる会社や事業主に無条件で配って、あとで国税庁が調査したっていいわけだし」
思わず納得するニシニシムラ副長官。シモシモダ副長官は得意げに続ける。
「そのとおりだよ。どうせもらった給付金は一時所得が雑収入になるんだろう?なら申告しなかった会社から調査に入って追徴課税をうんととればいいじゃないか。配布するときに書面で受け取ったら調査が入って、不正と認定されたら懲役15年以上実刑の刑事罰あり、年利5%、給付金の5割増しで返済することに、同意したとみなすと告知すればいいだけだろ。嫌なら受け取り拒否ありで」
「それなら、不正はやりにくいね。突拍子もないやり方だけど、そうしたほうが早く困ってる会社に渡せるかもしれない」
ウンウンとうなずくニシニシムラ副長官。
「危機的状況なんだから、それぐらいしたほうがいいだろう。とはいえ、やりそうにないな」
「それどころか、逆になってるね、布マスクもカビにダニにトコジラミまで出たし」
「あらゆる面で逆効果だな。おまけに、この事態に国会を早く閉じるだから」
「国民が不安になったり、怒ったりするのは当然だね。だけど、フールホウチ罪なんて、そんなこと言われても」
「まあ、国民にしてみたら、総理やらそのお仲間も同罪、総理に仕えてた俺たち官邸の面々も同罪ってことなんだろ。どういう刑に処す気なのかしらないが」
ため息をつくシモシモダ副長官。ニシニシムラ副長官は動揺したのか
「そ、そんな罪、ニホンの法律にはないんだけど」
「賭博を取り締まる検察トップのグロカワ氏が総理のお気に入りという理由で、金銭伴う賭けマージャンに興じてもお咎めがないんだから、実質無法地帯だと思われてるんじゃないか、ニホンは。そうなったら、国民がリンチみたいに勝手に裁判して刑執行なんてこともあり得そうだよ」
「それじゃ、民主主義国家じゃないじゃないか」
不満げにいうニシニシムラ副長官。
二人のやりとりを黙って聞いていたガース長官は
(法律捻じ曲げ、三権分立実質無視、権力の番人であるマスコミまで懐柔され、見掛け倒しの先進国と揶揄されているのだ、ニホン国は。実質民主主義国家ではない。それでも今までなんとかやってきたが、ウイルスのせいで国家存亡の危機。こんなときまで税を懐にいれようとするなど、確かにマイティフールだな。バカをトップにすえると国が滅ぶといわれるわけだ)
バカを諫めず放置して持ちあげ甘い汁を吸った奴等を国民が責めたくもなるか、とつぶやきながら、出がらしの出がらしのかろうじて緑色の茶をすするガース長官であった。
どこぞの国では国家的危機というのに国会閉会だそうですが、トップたちはこれで国民が静まると思ってるのでしょうか。まあ、本当に静かになるようなら民主主義国家とか先進国の名称は返上したほうがよさそうですね。