誰かを海に
足が動いたり、腕が曲がったり、
思いを声に出したり、涙が出たり。
自分の体を自分で使えることは、
ありがたい話だと思う。
その昔、奴隷は、自分の体を、
自分のために使えなかった。
その上、鎖に繋がれ、汚物にまみれ、
病気になれば、縛られたまま
海に放り込まれたという。
何の罪もない人間を、
そんな風に扱える人間がいるなんて。
誰かに否応なく命令されれば、
人間はそれができるというのが怖い。
原爆も、相手が人間だと
思わないから、落とせたらしい。
自分の体は自分で使いたい。
誰にも使われたくない。
誰かを海に放り込むようには
なりたくない。
開拓時代の西洋人や、
民度の低い資本家のように、
用もないのに、東へ西へと
進んで行っては駄目だ。
ありがたい話だと感じられたら、
ひとつの場所でもいい。
自分の体を、自由に使えるなら。