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午前五時三十分

作者: 支那勿忘草

知識が増えてしまったのなら。

もう明るくなったのにまだ点いている街灯の後ろを白のワゴンRが通り過ぎる。

わけもなく痛む左足首をさすり、お徳用パックのインスタントコーヒーをいれた。

夜中ずっと浴び続けていたブルーライトと自分のせいで目がかすむ。

眠たいのに眠れないをもう自分のものにして操っている気分だ。

午前五時三十分。

鳥と山と川と少しの車。

その音にかき消されるぐらいの鼓動がより不安を掻き立てた。

出たばかりの太陽を覆うように、

白い霧は悠々としている。

家にいるだけの人間にはきれいな朝陽は拝ませないという自然なりのジョークなのだろうか。

何も面白くはないが、きれいな朝陽をうっかり見てしまうと何かに気付いてしまいそうなので結果としてはありがたい。

新聞配達の車は疾うにどこかに行ってしまった。

馬鹿みたいに腰だけを振っていたあの頃の自分もとっくにどこかに消えてしまった。

部活や学校の準備をしていたこの時間は、

今はベランダで夜の目の疲れを癒す時間になった。

頭や身体をフルに使っていたあの時間は、

頭や身体を休ませる時間になった。

あの頃よりも知っていることは増えたが、その分体重も増え

より生きにくくなった。

あれは、これは、本当に必要かどうかなんて今の頭では判断できない。

止め処無く自分を蝕む焦燥感が招く事態に気付くこともまたできない。

まだ始まったばかりなのにもう終わろうとしている自分勝手なものに、

翻弄されて午前六時。


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