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君の為なら神さえも。  作者: 塩砂糖
第1章『異世界転移編』
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第26話『訪問者』

 レベル以外にも何か変わったところがないかと、リウスはメニュー画面の様々な項目を確認する。

 やはりというべきか、案の定というべきか、変化している項目はステータス以外にも存在した。


 それは、保有スキルの項目。


 今までリウスが取得していなかったスキルが6つ追加されていた。

 追加されたスキルは以下の通りだ。


【弱者蹂躙】

 Lv.100以下の者から受ける一切の攻撃を無効化する。

 Lv.100以上の者から受ける攻撃に無防備になる。

 無防備:受けるダメージに防御無視の効果を付与する。


【技能共有】

 自身が保有するスキルを一つだけ他者に共有する。


【危険察知】

 自身に降りかかる危険を察知する。


【時間遡行】

 対象の状態を最大24時間まで巻き戻す。


【効果対象数増加】

 自身のスキル、魔術の効果対象数を合計5つまで増やす。


【呪縛解除】

 対象に掛けられた呪い、封印を解除する。


「6個ってことは……10レベル上がるごとに1つ手に入るのか?」


 アポカリプスでスキルを習得するには、スキルポイントをメニュー画面で割り振る必要があった。

 しかし、この世界に来てから、スキルの割り振り画面はそもそも開けなくなっており、正規の方法によるスキル習得はできなくなっていた。

 何か別の方法があるのか。それともレベルを上げてランダムに習得するしかないのか。

 スキル習得に関することも、いずれ確認する必要が出てくるだろう。


 そんなことを考えながら、今までに習得していたスキルを眺めていたリウスは、かつて手に入れた一つのスキルを発見する。


 発見した【外見偽装】というこのスキルは本来、ステータスにハンデを負う代わりに自分の姿をモンスターに変化させ、敵とのエンカウントを避けるスキルだ。

 それがどんな訳か、こちらの世界に来てから「自在に姿を変えられる」というものに変化していた。


「自在に、って言われてもな」


 何してもいいよ、と言われると逆に何をしたらいいのか分からなくなってしまうように、自在に、と言われてもいまいちピンとこない。


 鏡の前に立ち、自分自身を見つめる。


 もし本当に、自由自在に姿を変えられるのであれば、頭から生える角を消すことも、腰から広がる翼をなくすことも――


 ――自分の顔を変えることだってできるかもしれない。


「……ないな」


 いくら好きではないからと言って、そう簡単に変えていいものでもないだろう。


「それに、今変えたらユキに驚かれるしな」


 しかしそうは言っても、この角と翼はどうにかしたい。

 生活に支障が出るほど邪魔という訳ではないが、いつまでもこの姿でいるのは、ハロウィンでもない日に仮装をして出歩いているような気恥ずかしさを覚えてしまう。


 改めて鏡に映る自分を見つめる。


 消すのは角と翼。その他の部分は、今と変わらない姿で。


【外見偽装】



 ◇◇◇◇◇



「おぉ……」


 鏡の自分を見て、リウスは感嘆の声を漏らす。

【外見偽装】のスキルは完璧に発動し、その体から角と翼は消え失せた。

 そう。『消え失せた』のだ。

 外見“偽装”というスキル名とは裏腹に、リウスの頭部から生えていた角も、腰から生えていた翼も、元よりそこには何もなかったかのように消え失せていた。


「どういう原理なんだか……」


 なんにせよ、スキルは問題なく発動した。なんの、問題もなく、全て、正常に、発動した。

 それはつまり、ステータスに負うハンデ、デメリットまで問題なく発動していることに他ならない。

 スキル発動におけるデメリットはスキルにより様々だが、外見偽装の場合は「全ステータスの半減」というデメリットが設定されている。


 要は、現在のリウスのステータスは、下手すればユキよりも低くなっている可能性がある。

 この世界での自分の実力がハッキリしていない現状で、無闇にステータスを下げる行為はあまり賢いとは言えないが、その気になればいつでも解除できるものだ。大きな問題にはならないだろう。


 くるりと鏡の前で回り、ひとまず自分の姿に満足すると、一つ大きな伸びをする。


 その時、部屋の扉がノックされた。


「ん?」


 現在の時刻は午後8時過ぎ。来客があるような時間ではないし、そもそも宿の部屋に来客というのも可笑しな話だ。


 少しばかりの警戒心を胸に、部屋の扉を開ける。


「あ……リウス。ちょっと……良いかな」


「え、ユキ……?」


 扉の外にいたのは、寝間着用の質素な布の服を着たユキだった。

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