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異世界の貧乏農家に転生したので、レンガを作って城を建てることにしました  作者: カンチェラーラ
外伝

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武装の強化

「くっ……」


 盾を持つ鉄の騎士相手に攻めきれない。

 その重厚な鉄壁の防御を前にして、僕は苦戦していた。

 魔力を最大限活用して高速戦闘をすることで勝機を探る。

 だが、そのことごとくを相手に上手く対応されてしまっていたのだ。


 もっと速く。

 あるいは、もっと強く。

 こいつに勝つのは単純に力が必要だと感じた。

 アイに教わった剣聖の動きを完全に習得しているわけではないけど、体の使い方そのものが鉄の騎士に負けているとは思わない。

 実際に、盾を持ってない場合には勝利を収めてきたのだ。


 今、苦戦を強いられているのはそれよりも単純な力の差なのではないかと思う。

 魔装兵に肉体的な力というのがあるかどうかは知らないが、少なくとも鉄の鎧が生み出す出力は僕の力を上回っている。

 多分、それは体重なんかの重さも関係しているんだろう。

 剣と盾でぶつかり合ったとき、必ず僕のほうが押し負けるからだ。


 もっと力が欲しい。

 魔力でもいいし、肉体でもいい。

 なんで僕はまだ子どもなんだろう。

 戦いながら思わずそう考えてしまった。

 僕が大人の体を持っていれば、こんな奴勝てるのに、と。


 駄目だ。

 そんなことを考えていたってなんの解決にもならない。

 剣を操りながら、頭の中に浮かんだ考えを追い払う。

 そうしてから、改めてなにかできないかを考えた。

 今すぐ大人になれなくても、できることがあるのではないか。

 こいつ相手に勝利を収める方法がなにかないかを必死に考える。


「……力を貸して、バイト兄さん」


 そんなとき、頭に浮かんだのがバイト兄さんだった。

 アルス兄さんとともに数多くの戦場で活躍した英雄。

 僕に最初に戦い方を教えてくれたのも、そのバイト兄さんだった。


 そんなバイト兄さんに今よりもさらに小さいときに教えてもらったことがあった。

 それは、バイト兄さんの持つ魔法の効果についてだった。


 【武装強化】。

 バイト兄さんが作り上げた魔法で、魔力を使って武器を強化するという魔法だ。

 魔力を纏わせることで普通の金属剣であっても攻撃力を強化することができる、戦場でも使いやすい魔法だ。


 その【武装強化】という呪文を僕は使うことはできない。

 けれど、【瞑想】のときのように呪文を使えないといっても、同じようなことができないというわけでもなかった。

 今も、硬牙剣に魔力を纏わせて多少攻撃力を上げることができている。

 その効果の強さはバイト兄さんが作った【武装強化】にはまだ及ばないかもしれないが、できることはできていたのだ。


 だけど、まだやっていないこともあった。

 それは【武装強化】を武器ではなく防具に使用するという方法だ。

 【武装強化】は単純な魔法だけど、決して武器を強くするだけの魔法じゃないらしい。

 たとえば、剣ではなく盾を強化することもある。

 バイト兄さんに名付けされたバルトの騎士たちは強化した盾を複数で重ね合わせてタナトスさんの攻撃を防いだ、なんて話も聞いたことがあった。


 僕は今、盾を持っているわけではない。

 この手に握っているのは硬牙剣だけだ。

 けれど、防具を持っていないというわけではなかった。

 むしろ、盾よりもいいものを持っているじゃないか。


 鬼鎧だ。

 この鬼鎧は着ている人にあわせて大きさが変化するという変わった性能を持っている。

 それがあったからこそ、アルス兄さんは自分のお古の鬼鎧をわざわざ迷宮に行く僕にくれたのだ。

 だけど、鬼鎧の効果はそれだけじゃない。


 鬼鎧を身に着けると力が増す。

 鎧の大きさの変化だけではなく、そんな効果もこの鬼鎧にはあるんだ。

 どうして今までそのことに注目しなかったんだろう。

 もし、この鬼鎧を魔力を使って強化したらどうなるんだ?

 単純に鎧としての防御力が上がるだけなのか。

 それとも、もしかしたら……。


 頭の中でそんな考えが浮かんだ瞬間に、僕は行動に移していた。

 練り上げた魔力だけではなく、おなかの中にある雫型魔石にためていた魔力まで使って、鬼鎧に魔力を送り込む。

 鬼鎧に自身の魔力をひたひたにするくらい注ぎ込み、さらにその周りを魔力が纏うように維持していた。


「……いける」


 その効果は劇的だった。

 体が軽い。

 それに今までよりもさらに力強さが増したような気がした。

 全身から力があふれ出てくるような感じさえする。


 鬼鎧を強化する前と後で、僕の体の動きは明らかに違っていた。

 一歩を踏み出すだけで前へと進む速度が変わり、剣を振るえば空気を裂く音も違う。

 もしかすると、この鬼鎧は着用者の基礎能力を底上げしてくれるのかもしれない。

 どういう理屈で着ているだけで力が上がるのかはわからなかったけれど、着ることによって動きを補助するとかではなく、身体能力を上げてくれるのではないだろうか。


 だからこそ、鬼鎧を強化した後に、さらに魔力によって自分の肉体も強化すると違いが大きく出ていた。

 それまでもずっと、魔力の流動によって体の動きをよくしてきていた。

 それがさらに効率的になったみたいだ。

 同じように体の各所に魔力を流動させているだけでも、そこから生み出される力強さが違ってくる。

 これは多分、魔力による肉体の強化が足し算じゃなくて掛け算だとアイが言っていたことが関係しているんだろう。


 魔力を使って鬼鎧を強化したことによって、それまでとは出せる力と速さが断然違ってきた。

 これなら勝てる。

 それまで苦戦を強いられてきた鉄の騎士相手に勝てる。

 そう実感した僕は、思わず相手を前にしながらうれしくて笑ってしまったのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >今よりもさらに小さいときに教えてもらったことがあった 今5歳?それよりも前?違和感しかないw 絶対元おっさんの意識持った転生者だ!
[良い点] 戦闘狂にならないでね。
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