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異世界の貧乏農家に転生したので、レンガを作って城を建てることにしました  作者: カンチェラーラ
外伝

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鉄の騎士戦

「いた。鉄の騎士だね。今度は僕が出て戦うから、アイは魔銃で援護を。ただし、僕が危険そうならアイの判断でって感じで、最初は僕に任せてほしい」


「承知いたしました、アルフォンス様。お気をつけて」


 魔装兵の気配を感じながら迷宮内を進む。

 すると、新たに遭遇したのは気配で察知していたとおり、鉄の騎士だった。

 そいつに今度は僕が挑むことにする。

 アイは後方から魔銃で構えてもらっておくだけだ。


 もしかしたら、普通はそんなことをしないのかもしれない。

 遠距離攻撃の手段を持つ味方がいるのなら、普通はさきにそっちが攻撃する。

 それは攻撃の間合いの意味もあるが、やはり味方にその攻撃が当たらないようにするためだ。


 だけど、アイの攻撃なら信頼できる。

 アイは剣の腕前も剣聖の剣術を使えるほどすごいが、魔銃の腕もすごいからだ。

 状況に応じて正確無比な射撃をすることができるとアルス兄さんからも聞いていた。

 人間が魔銃を使うときには腕の筋肉のわずかな揺れや呼吸で照準がずれることがあるらしいのだけど、依り代の体を使うアイはそんなことがない。

 なので、いつでも安定した射撃精度が期待できる。

 多分、戦っている真っ最中に魔銃を撃ったとしても、僕に当たらないようにしてくれるだろう。


 その安心感があったからこそ、僕は単独で鉄の騎士相手に挑むことにした。

 剣を持って歩いているそいつに向かってこちらも歩いていく。

 すぐに向こうもこちらのことに気が付いたらしい。

 半身の姿勢をとって剣を構えた。


 さっきは魔銃で一撃だったために、鉄の騎士が剣を使うところを見られなかった。

 だが、こうして正面から対峙していると感じる。

 青銅の騎士が剣を使っていたときとは全くの別物だ。

 その立ち姿が様になっているように感じた。


 それにたいしてこちらも剣を構えた状態で向き合う。

 鉄の騎士がちらりと後方にいるアイを気にした様子があったが、アイが何もしてこないことをみて僕に集中するようにしたらしい。

 距離をとった状態で双方が剣を構えて、攻撃の機会をうかがっていた。


 少しずつ、すり足で距離を詰めていく。

 手に持っている剣を正面に掲げたまま、ゆっくりと相手へと近づいていった。

 そして、あと数歩の距離まで近づいたときに【縮地】を使う。

 体の重心を一切変えずに移動する剣聖の技だ。

 予備動作を見せることなく移動することで相手からは一瞬で距離を縮めたように見える。

 これで、鉄の騎士相手に先制攻撃をすることにした。


 一瞬で距離を詰めて剣を振り下ろす。

 青銅の騎士相手だったらこれで勝負は決まっていたはずだ。

 だが、鉄の騎士は違った。

 こちらの攻撃に反応していたからだ。


 距離を詰められたと感じた瞬間に身をかわすように体を半歩ほど下がったのだ。

 ギリギリでこちらの剣が届かない距離まで離れようとした。

 やはり、強い。

 青銅から鉄へと変わったということだが、防御力が上がっただけでは決してないらしい。

 動きそのものが違う。


 だが、それにこちらが対応できないわけではなかった。

 振り下ろしている剣が相手に届かないと即座に判断した。

 なので、その途中で動きを変える。

 攻撃が届かないのであれば、届くようにするだけだ。


 僕は振り下ろしていた途中で両手に持っていた剣を右手だけで持つように変え、そして右腕を肩から前に突き出すようにした。

 それまでの振り下ろしから突きへと攻撃方法を変えたのだ。

 両手で持って振り下ろすよりも、片手で持った剣を突くほうがより遠くまで切っ先を届けることができる。

 その急な攻撃方法の変換に鉄の騎士はついてこれなかった。


 ガンッという音を立てて硬牙剣の切っ先が鉄の騎士に命中する。

 それは狙った通りの場所だった。

 鉄の騎士の左肘の関節部分だ。

 切っ先だけが当たったために切断するまではできなかったが、十分な効果があったらしい。

 だらりと左肘から下が垂れ下がるようになっている。


 それをみて怒ったのだろうか?

 魔装兵にそんな感情があるかどうかは知らないが、動きが荒くなった。

 避けたはずの攻撃で攻撃を当てられてしまい、すぐに反撃しようとしたのかもしれない。

 両手で握れないために、片方の右手だけで握った鉄の剣をブンッと振り回すように横なぎに振るって攻撃しようとしたのだ。


 だが、その動きは見切っている。

 相手の動きを冷静に見れていた僕は、突き出した剣を引き戻しつつ、魔力を飛ばした。

 【威圧】だ。

 蠅でも払おうとするかのような雑な攻撃をしようとした鉄の騎士の胴体部分、そのなかにあるはずの魔石に向かって鋭い針のような魔力を飛ばす。


 その【威圧】が魔石に命中したのだろう。

 攻撃動作の途中で一瞬、鉄の騎士の動きが鈍った。

 だが、青銅の騎士ほどではなかったようだ。

 一時停止するほどではなく、挙動が乱れただけで横なぎに払おうとする剣は今も動き続けている。


 が、それでも十分だった。

 突きのために体の重心を前にしていたのを戻すわずかな余裕が手に入ったからだ。

 スッと体をかがめるようにして横に振るわれる剣の下を潜り抜ける。

 魔装兵といえども、体の基本的な動きは人間に近い。

 片手で強引に振るった剣を躱されれば、当然その勢いで体勢が乱れることになる。


 【威圧】を受けた直後よりもさらに大きな隙ができた。

 その隙を逃さずに、攻撃する。

 かがめた身のままで目の前にあった相手の膝へと攻撃を繰り出した。

 硬牙剣が鉄の鎧の膝関節を破壊することに成功する。

 体勢を崩している状態のときに右膝を壊された相手はさらに大きく体を傾けて倒れることになってしまった。


 だが、さらにこちらの攻撃は続く。

 地面に倒れるまでに、鎧の頭部の下の首部分に硬牙剣を入れ、弾き飛ばすようにする。

 ガシャンと倒れた鉄の騎士。

 横たわった首なしの騎士の内部に手を突っ込んで魔石を回収した。


 鎧内部から魔石を抜き取られたことで、相手は動きを止めた。

 この状態ではもう動くことはないだろう。


 こうして、僕は初めての鉄の騎士相手に勝利を収めることに成功したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 悪魔召喚師な長男、戦闘狂な次男、大悪魔三男、精霊使い四男 なんというかヤバい血筋の片鱗見せ始めてるよなあ
[気になる点] アルスを越える5歳児か? アルスの血による影響なんかな。
[良い点] そろそろ帰るのだろうか?
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