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浜辺にて

「すげえな、この亀。硬すぎるだろ。タナトスが如意竜棍使ってるのに耐えてやがる」


「でも、あの亀はこっちを見ても襲ってこなかったぞ、大将。相手にしなけりゃいいんじゃないのか?」


「そうだな。この辺の生き物でおとなしいやつとそうではないやつの区別も必要になってくるか」


 俺たちは発見した海の入り江に拠点づくりをしていた。

 その作業をしているときに、海から上がってきた亀がいた。

 白浜に上がり、のそのそと移動している。

 それだけならばよかったのだが、問題は大きさだった。

 俺の知る亀とは比べ物にならないくらい大きく、甲羅だけで高さ2mくらいはあるのではないかというほどだったのだ。


 それを見つけたタナトスが亀を攻撃した。

 巨人化したタナトスが如意竜棍を力いっぱい振り下ろして甲羅に叩きつける。

 その力はどれほどのものかはっきりとはわからないが、おそらくは竜種相手であっても通用するのではないかと思う。

 だというのに、亀は甲羅に顔と手足を引っ込めて耐え続けたのだ。

 あの甲羅は尋常ではない硬さをしているのではないだろうか。


「タナトスの旦那。俺に任せてくれ。氷精召喚」


 その亀と巨人の戦いにバルガスが割って入った。

 【氷精召喚】を発動して参戦するバルガス。

 そのバルガスが召喚した氷精は大きな亀の形をしていた。

 もしかしたら、自分が召喚できる氷精が亀だったことでなにか思うところがあったのだろうか。


 タナトスが手を焼いていた亀の甲羅だが、バルガスにとっては相性が良かったようだ。

 氷の大亀が冷気を吐き出す攻撃をして、周囲を凍らせる。

 その攻撃にはいくら甲羅に閉じこもっていても意味がなかったのだろう。

 ブルブルと震えだした亀があまりの寒さに耐えかねたのか、閉じ込めていた手足を出して海に逃げようとしたのだ。

 そこをタナトスが叩いた。

 いくら甲羅が硬いといっても中身はそうでもなかったようだ。

 その一撃で決着が付いた。


「お手柄だな、バルガス」


「はっはっは。見たか、大将。俺だってやるときゃやるんだよ」


「いや、ホントすごいよ。この場で【氷精召喚】が使えるのはバルガスだけだしな。頼りにしてるぜ」


「大将は生前継承したからもう使えないんだったか。不便じゃないのかよ?」


「それはもうしょうがないよ。光の剣があるから個人的にはそんなに不便ではないかな」


「そうか。でも、ここはいろんなやつがいるな。亀がこんなに手強い相手だとは思いもしなかったぜ」


「捕食者が強いから、そいつらに食われないように防御力が上がる進化でもしたのかもしれないな。海の中は危険なやつがいないといいんだけど」


「そういやそうだ。攻撃してくる海の生き物がいたら、漁をするのも難しくなる。そこらへんも調べておかないといけないか。……結構、やることが多いな」


「ま、なにはともあれ最初は拠点づくりだな。さっさと完成させて魚でも食おうぜ、バルガス」


 過酷な環境で生き物はすべて強靭な肉体を持つように進化したのだろうか。

 バルガスとの会話でそんなことすら思ってしまう亀の耐久性だった。

 しかし、あの硬さの甲羅というのは興味がある。

 もしかして、空竜の足の鋭い爪で引っかかれても平気なのではないかと思うほどだった。

 あれはなにかに利用できないだろうか?

 あれも素材として持ち帰ってグランに渡してみよう。

 きっと喜ぶに違いない。


 そんなことを考えながらも、入り江の奥にある崖を【壁建築】や【アトモスの壁】で補強しつつ、そのそばに拠点となる建物を作り上げた。

 人を中に収容して暮らせるスペースと、周辺で手に入れた未知の素材などを保管しておくスペースを用意し、そして、魔物に襲われても平気なように防衛できるようにしておく。

 一応、地上と空のどちらからも襲われる可能性を考慮しつつ、拠点が出来上がった。

 ついでにそこから海へと続く道を作り、桟橋も設置しておく。


「よっしゃ、完成だ。じゃあ、また班を分けるか。魔導飛行船や空竜を回収しに行く班と、浜辺の安全を確保する班、そして、魚なんかの海の幸をとる班だな」


「それなら俺は魚でもとってくるぜ。うちの領地では船に乗ることも多かったからな。任せてくれよ、大将」


「了解だ、バルガス。けど、川と海じゃ勝手は違うだろうから気をつけてね。作った筏が離岸流で流されるなよ。で、俺とタナトスが組んだ班で空竜の回収でも行こうか。あとの周辺警備は他の連中に任せるけど、何かあったら合図を出してくれ」


「はい、了解です」


「よし、それじゃすぐに行動開始だ。仕事を終えたらみんなで海の幸を堪能しよう」


 こうして、拠点を作り上げた俺たちは再びいくつかの班に分かれて行動し始めた。

 俺とタナトスはここに来るまでの道を引き返して墜落地点に戻る。

 これが意外と大変な仕事になった。

 魔導飛行船は結局最低限必要な部分だけを取り外して魔導鞄に入れることになったのだが、空竜の体はそのまま運ぶことにしたのだ。

 が、その体は大きい。

 そのため、道中の木を切ってその木を丸太にして地面に並べて、その上を移動させるように空竜の体を移動させたのだ。


 ジャングルの中をタナトスが警戒しながら、俺が邪魔になる木を光の剣で切り倒す。

 そして、木を切った後の地を他の者が【整地】して地ならしする。

 これがなかなかに時間がかかったのだ。

 結局数日かけて運ぶことになった。


 その間、バルガスは海で魚を取り続けた。

 どうやら、入り江の近くであれば今のところそこまで危険な海の魔物はいないようだ。

 沖に出ればどうなるかはわからないが、とりあえず今のところ一番の朗報と言えるだろうか。


 バルガスは最初、魚ばかりをとってきていたのだが俺からも少し依頼を出した。

 海で取れるのはなにも魚だけではない。

 個人的にありがたかったのは、昆布などの海藻や岩のり、貝類だ。

 これらはみんな出汁を取れる。

 使いこなせれば今までの料理をより発展させられるかもしれない。


 バルガスがとってきた海の幸をみんなでバーベキューして食べながら、俺はそんなことを考えていたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだよ、空竜の味確かめないのかよ(目反らし
[気になる点] この世界はあるのか知らんけどエビの殻から旨味調味料とかとりたいな
[一言] 海の幸は嬉しいですね。 料理の幅が広がります。
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