表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

餓えは並々ならぬ

「痛い・・メ、メグ・・どうしてなんで?ねぇ?なんで」


 親友をナイフで切りつけた


「んー?おいしそうだったからかな」

「おいし・・・そう・・・何を言っているの?メグ」


 私が切りつけた腕を押さえながら青ざめた顔で私を見る

 ああ、実にそそる顔だ

 

「さてと」


 グイッと服を掴みこちらに引き寄せる


「いただきます」

「ッ!!!」


 まずあふれ出た血を舐め取ろうとしたらドンッと突き飛ばされ尻餅をつく


「ひっどいなぁリリーナ」

「何よ!、いきなり切りつけてきてそれにおいしそうって訳が・・・分からないのよ」

「魔人って知ってるでしょ?」


 魔人、人食いの魔物に成り果てた人間のことだ。


「まさか・・・嘘でしょ・・」

「ふっふ、あっはっは、ねぇ今この状況で嘘だと思うの?」

「でも貴方の両親は、貴方の住んでいた村は魔物に襲われて滅んだって、魔物を許せないって、だから・・・だから私と同じなんだって」

「確かにね、お母さんもお父さんも幼馴染も村のみんな・・・そうみーんな死んじゃった・・・・・・・でもさ考えてみて、周りにはたくさんの魔物、水も食料も、奪われて、家族、友人、全て失ったら、ただの脆弱な人間が生きてると思う?」

「そんなの、私は運がよかったって言ってたじゃない!!!」

「ッ!はっはは、あははははははははははは、ねぇ私を笑い殺す気?そんなの・・嘘にきまってるでしょ、でもそう信じられないなら、何を話そうかな?初めて人を食べた日のこととか良いかも」

「・・・・違うメグはそんな事言わない!!!」


 そう言うと私を睨み付けてくる

 そんな表情もおいしそうとじりじりと距離をつめていく

 そうしていると


「リリーナ様!」


 バタンと音を立てドアが開け放たれる

 確か騎士のアレックスさんだ


「おっと、動かないでくださいねこの子が大切なら?」


 そう言いアレックスを制する


「メグ、どうして・・・お前が」

「んんどうして?ああ私は魔人なんですよ、あっ魔人って知ってますよね?」

「何を言っているだメグ、お前はリリーナ様の親友だったはずだ」

「はっはっは、ですねぇ、ええ、実に楽しかったですよ私のことを親友と呼んでくれるのはこの女ぐらいでしょう?」


 リリーナの髪を鷲づかみし強引に床に伏せさせる


「うぐっ」

「ホント愚かで愛らしい親友ですよ・・・ああそういえば殺した幼馴染もそんな性格でした、ちょっと同情を誘うようなことをすればコロッと・・・馬鹿だと思いません?」

「貴様ぁ!メグいや・・・もうただの魔人かッ」  

「その通りただの魔人ですよ、あはっ殺します?別に構いませんよ、出来るかは知りませんがッ!」

「!」


 一瞬でアレックスの真横に移動すると脇腹にナイフを突き刺す


「ぐっ」

「ほらほら」


 グリグリと傷を穿ると


「がっ・・・ああああ」


 反撃のつもりか拳を振ってきた

 パシッと呆気なく受け止めたが


「なっ」

「所詮一兵、勝ち目があるわけないじゃないですかアレックスさん」


 ズップッグチュ

 ナイフで抉った傷口に手をねじ込む


「さあ、さあ、存分に鳴いてください、じゃないとスパイスにならないでしょ?」

「ぐううぅ・・・・・」

「ふふ、抑えてないでさあ、さあ」 


 手首が完全に見えなくなるまで手を入れる


「やめて、メグ・・・メグウゥゥゥお願い殺さないでアレックスを殺さないで」

「あれぇアレックスさんよりもリリーナの方が良い声でてる?」


 ヌチャッと手を引き抜くと手に付着した血を舐める

 アレックスは前のめりなるとそのままドサッと倒れる

 血の量からしてもう長くは無いと思うけど


「75点中々ですね」


 ああ、おいしい


「げっほ、げほっ・・メ・・・グ・・」


 大声を上げたからか声がかすれている


「はい、リリーナ」 

「どうして・・・なの・・・初めから・・・けほっ・・私を殺すつもりだったの?」

「はいそうです」


 振り返り笑顔でそういった


「・・・ああああぁぁぁぁ」


 本当に悲しそうな、顔

 そして、声だ、声にならないような呼吸音、そんな声


「ううううぁぁぁぁ」


 おいしそう、食べたい、どう食べよう?

 そう思うと胸が高鳴る、この哀れな小動物をどう調理しよう

 そのための仕込みはしてきた 


「あああ」


 髪を掴むとグイッと掴みあげる

 そしてその涙で濡れた頬に舌を添わす

 

「ううぅ」


 しょっぱいがどこか甘いそんな味が口の中に広がる


「メグぅ・・・メグ・・・・」


 その目はたしかに私を映していてとても悲しそう

 でも違うんだ、そんな表情じゃあまだまだ


「教えてあげようか?なんでリリーナのお母さんとお父さんが死んじゃったか?」

「・・・え?」

「ふふっ、おかしいよね、魔物が突然現れて、それもなぜかリリーナ以外嬲り殺て立ち去って行く、そして私と出会う・・・・・・ホントおっかしー?

 ・・・っとここまでいえば流石にわかるよね」

 

 察しは付いたかな?

 もっともっともっと

 

「お父さんは四肢を食い千切ってから腹を食い散らかされて、お母さんは散々引きずり回されてから目の前で食べられた、で合ってる?」


 リリーナは目を見開いた


「ねぇリリーナ魔物ってね強力な個体は複数の魔物を服従させられるんだ私ってそれなりに強力な個体らしくってそれこそあの出来損ない程度の魔物なんて100匹でも操れるんだぁ・・・」


 リリーナ、もうわかるよね?


「全部私だよ、私が村を滅ぼした、私がリリーナの両親をふふっ、リリーナ、貴方が真に怨むべき存在それは・・・・私なんだよわかる?」

「違う・・・・・・違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う」 


 もう一押しかな?


「そして私は弱ったところを『私も一人になの』って言って近づいた、そしたら喜んだよね」

「・・・・ねえ!お願い嘘って言ってよ!」

「私は最初から人間じゃなかったの、お母さんもお父さんもよくしてくれたけど、私は自分の欲望に従った、お母さんはお腹が減ってたから、すぐに食べちゃった、お父さんは十日監禁して殺したかな、村の人にばれたから今度は魔物を呼び寄せて皆殺しにした、一人生き残ったいや、私が生き残らさせた幼馴染は・・・今のリリーナと一緒、親しくして・・・そして食べちゃった、アレはおいしかったなぁだからもう一度食べたいなって思ったの、でももういない、だから作ったの悲劇に見舞われた親友をね、それが」

「やめてよもう聞きたくない」


 耳を塞ぎ拒否する

 血に濡れた左手でリリーナの右手を掴み耳から外す

 口を右耳に近づけ小さくだがしっかりとこう言った

 

「貴方よ、リリーナ」

「いやあああああああああああああああああああ」


 大声が響いた

 ゾクゾクッと体が震える

 これこれ、村のあの子と同じ、震える体を寄せ合って『一緒にいれば大丈夫』なんて妄言を言った愚かで愛しいあの子、震えていたのは空腹を紛らわせていただけだったのに、自分からよって来るなんて

 我慢できるはずが無かった、襲い掛かった私に向かって『どうして』『なんで』そして最後に『いやああああああ』と泣き叫んだ、あの時、哀れな小動物は・・・・狡猾な獣の餌食となった

 今回もそうだ


「リリーナ、・・・・大好きよ本当に」


 そのまま押し倒し、もがく小動物に向かって私は、いや獣は牙をむいた 









閲覧ありがとうございます

後味悪くて本当に申し訳ない

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ