兄とコスプレ好きの妹!
12/22
纏う服が重くなるこの頃、俺は沈痛な思いでいつもの様に家のドアを開ける。
『お帰りなさい、兄 さ ん!』
ドアを開けた瞬間、玄関でそう言う俺の妹。
今日も元気そうで何よりだ。
「 で、今日はなんのコスプレだ?」
『もう兄さんたら、見たらわかるでしょ!今日は、ナ ー ス だ よ ☆キャピーン!』
俺の目の前で何の恥ずかしげもなく、ナース服を着て決めポーズを取る。妹17歳。
小さいころからコスプレにはまっている。その宿痾が改善されないまま、この目の前の状態に・・・兄としては少々心配になる。
「そ、そうか」
『どう、似合ってるでしょう!』
妹が評価の催促をしてくる。
「す・ご・く・似・合・っ・て・い・る・よ」
俺はいつも通りの言葉を棒読みで返す。
『もう兄さんたら、世界一美しいなんて言いすぎですよ!!!』
妹は頬を染めながら、体をクネクネしている。
正直少し気持ち悪い。
「いや、いってないから」
俺は妹を無視し、リビングに入っていく。
『もう兄さん、無視するなんて酷いじゃない!それで、今日はお風呂にする?食事にする?それとも、わ た し? キャーーーーー』
「食事にする」
『もう、照れ屋なんだから☆』
『今日のご飯は、兄さんの好きな!包み焼ハンバーグだよ!』
「いつも悪いな、食事を作ってもらって」
『もう、それは言わない約束でしょ! お母さんとお父さんが仕事に行ってる間は、私が作るって決めたんだから!』
「そうか、ありがとな」
俺達の両親は海外で働いていて、家に帰って来るのは年に4回ほどだ。
『兄さん!今日は大学はどうだったの?』
「ん、いつも通りかな?今日もサークルして帰ってきただけだよ。それより、お前の方はどうなんだ?もうすぐ大学入試だろ」
『大丈夫、兄さんと同じ大学に行くために頑張ってるから!』
「まあ、根詰めすぎて無理するなよ」
『うん!』
12/23
「ただいま」
『お帰り、兄 さ ん!』
「で、今日は何だ?」
『今日は!チャイナ服だよ!』
「そうか・・・」
『襲ってもいいんだよ☆』
「さて、飯にするか」
『相変わらず照れ屋さんなんだから!』
『今日のご飯はチャーハンとホイコーロだよ!』
「中華ぽいな」
『そうだよ、チャイナだけにね!』
「そうか・・・」
俺の妹は今日もテンションが高い。
「一応聞いとくが、もしかして学校でもそのテンションなのか?」
『いやだ兄さんたら、嫉妬なの!大丈夫!このテンションは兄さんの前だけだよ♡』
「いや全然嬉しくないんだが」
『もう、ツンデレなんだから☆』
12/24
「ただいま」
『お帰り、兄さん!』
「なんだそれは?」
『女王様だよ!跪きなさい!パチーン』
「・・・・・・」
エナメルの服と帽子とブーツを履き、黒色の鞭を床にたたきつけている。
「そうか・・・」
流石にこれはドン引きである。
『兄さん!今日は豚の丸焼きだよ!この豚やろう!テヘッ!』
「・・・・・」
『兄さん!無視は酷いよ!』
「いや、別に無視してる訳じゃないんだ。これからお前の教育方針を考えていたところだ。わりと真剣に」
『もう兄さんたら、そんなのは決まってるじゃない!もちろん兄さんと同じ大学にはいるんだよ!』
「・・・・・・」
12/25
「ただいま・・・なんだこれ」
目の前に巨大な箱が置かれており、ご丁寧に大きな文字で開けてくださいと書いてある。
「さて、飯にするか」
『んっんっんーー』
俺が箱の横を通り過ぎようとすると、そうこからうめき声のようなものが聞こえた。
「はぁー」
しょうがない開けるか。
『じゃじゃーん!サンタクロースだよ!メリークリスマス!』
「・・・・・」
「飯にするか」
『まって、兄さん!今日はご飯は無いよ』
「どういうことだ?」
『今日は、兄さんと一緒にご飯を食べに行って、夜デートするの!』
「そうか・・・」
俺と妹は、カップルがそこらに歩いている場所まで来た。
『兄さん雪が降ってるね!』
「そうだな」
『寒いね!』
「そんな恰好で来るからだろ」
妹の格好はサンタコスのままだ。
『違うもん!お腹が減ってるだけだもん!』
「そうですか」
『あっ!あそこのラーメン屋さんで食べよ』
「そうだな」
ラーメン屋はカンターで食べるタイプのお店だった。俺と妹はラーメン屋さんのオススメを頼んだ。
『兄さん、このラーメン美味しいね!』
「ああ、これは最高だ。腰があり、スープも美味しい」
『これで兄さんの胃袋は掴んだよ!』
「何故そうなる・・・」
『兄さん』
「ん?」
『今日は楽しかったね!』
「そうだな・・・」
次の日
「ただいま」
『ジャジャーン、警官のコスプレだよ!あなたの♡を逮捕しちゃうぞ、ズッキュン!』
「・・・」
『待って、無視しないでよーー兄さん~~~』
はあー、先が思いやられるな。