シルフィーとセラのやりたいこと
カーラさんは手すりを使って移動してます。
あの後、冷水かけたらセラはすぐに起きた。
「ひどいよぉ。気持ちよかったけど」
「悲しんでるの?とりあえずごめんね。幸せな気分になれたよ」
「謝ってるのかなんなのかわかんないよぉ〜」
「まあまあ、今度私のも触らせてあげるから、許して」
「それなら許してあげる」
自分で触るのと誰かに触られるのって、何が違うんだろう。されたことないからわかんない。できれば今触って欲しい。でも、そろそろ限界。のぼせる…。
「出よう。私、のぼせる」ふら〜りふらふら〜
「うん、倒れないでね。私支えられるかわからないから」
「心配ない。水飲めば元に……戻る」
「そこに水道あるから使って」
「ん…んくんく……ああ〜危なかったぁ」
「倒れなくてよかったよ。早く着替えて行こう。お腹空いちゃった」
「そうね。ママの料理はとっても美味しいんだぁ」
「へぇ〜。早く食べてみたい」
「じゃ行こっか」
「お風呂空いたよぉ〜」
「シルフィー、自分の家みたいに言うのはやめなさい」
「いいじゃない子供なんて今が1番かわいいものよ」
「それとこれとは別よ。礼儀を知らないと後で大変なのよ。とにかく、シルフィーはもっと自重すること。わかった?」
「うん、わかった。ママ普通に喋ってるね」
「料理中に仲良くなったのよ。お友達になったのよ」
「そういえばパパは?」
「もう1つのお風呂よ」
「セラの家って2つお風呂あるの?」
「そうだよ。入りたいときに入れないと嫌だって、お父さんが2つ作るように依頼してた」
「清潔を保っていたいらしくて…。」
エルーナ家のみんながため息を吐いている。
「ママたちはお風呂入らないの?」
「夕飯の後にするわ。お腹空いたでしょ?」
「うん」
「今日は海鮮料理よ。なかなか手に入らない食材だから、気合い入っちゃったわ」
楽しそうに笑ってる。いつも私に見せる笑顔とは違う笑顔。こんな顔もするんだなぁ。
「ご飯にしましょうか」
「バレットさん、まだいませんけど…」
「何を言っているんですか?さっきからそこにいますよ?」
「え?そこって……きゃあ!いつの間に?」
「メルディーの笑顔あたりから」
「やだもお〜。恥ずかしいわ」
これも見ない顔だ。今日はいろんなママが見られて楽しい。
「セラ、カーラを呼んできて」
「わかった」
全員揃って食べるのがヴァレスフィア家のルール。破ったら恐ろしいお仕置きが待っている。あれだけは二度と受けたくない。
「お待たせしました」
全員揃った。では、いただきまーす!
食べたことのない料理ばかり。種類とかよくわかんないけど全部美味しい。
「そんなに急がなくても、料理は逃げないわよ」
「よく噛んで食べなさい」
「でも、美味しくて…止まん、ないの」
「あら、そう言ってもらえて嬉しいわ。シルフィーちゃんは好き嫌いなさそうね」
「なんでも食べるよ。美味しいから」
改めてテーブルの上を見ると、エルーナ家側は肉だけ。私たち側は色んなものがある。これが食べられるものの制限なのかぁ。なんか、食べにくくなってきた。でも、出てきた料理は残さず全部食べるよ。もったいないからね。
食事を終えて
「ママ、お皿洗うからお風呂入ってきて」
「私も手伝うので安心してください」
「ありがとう。お願いね。それじゃあリーネ、一緒に入りましょうよ」
「いいですよ。もっとメルディーの話が聞きたいわ」
ママがリーネさんとすごく仲良くなってる。今日1日で名前呼びになってる。あ、私も同じことしてた。
「ごゆっくり〜」
「お母さん楽しそう。シルフィーたちに感謝だね」
「別にいいよぉ。お礼ならもう、もらったし」
「あれをお礼とは思いたくない。ほぼ強制的だったよ?」
「私にとっては礼だね」
「うぅ〜……。」
おお、涙目だ。かわいい。
「ごめんごめん」
「精霊ってどんな感じなのですか?」
「ん?キラキラしてて、飛んでて、基本優しいなぁ」
「へぇ〜そうなのですか」
「気になるかい?」
「はい」
「じゃあちょっと待っててくれ。シルフィー!終わっただろ?来てくれー!」
「なぁにパパ?」
「カーラさんと俺の影に入ってくれないか?」
「いいけど、何するの?」
「カーラさんに精霊を見せるだけだよ。どうしても実物が見たいらしくてなぁ。」
「りょーかい!カーラさん、つかまっててね」
ズズズズ……。
「わわわ、沈んでる。影に入るなんて初めてです」
「ちゃんと息できるから安心して」
ドプンッ…。
「目開けて」
「?……わあ〜これが精霊?ほんとにキラキラしてます。本には全く書いてないことばかりです」
「本が好きなの?」
「ええ。本の知識ならそれなりにあるのですが、知れば知るほど、実際に見て見たくなるもので。ああ、夢みたいです」
「セラと同じこと言ってる」
『どうだい?精霊の声とか聞きたくないか?』
「聞けるのですか?」
『シルフィー次第だがな』
「できるかなぁ」
『俺の耳とシルフィーの耳の感覚を一体化させるイメージをするんだ。やってみな?』
いつも思うけど、なんで知ってんの?まあ、やるけど。こうかな………。
『……ット……キコ…テル、カナ?』
『キコエテルヨ。シルフィーダモン。デキルヨ』
できた。意外と簡単かも。
「これが精霊の声ですか?面白い声ですね」
「でしょ?精霊って面白いよねぇ」
「ありがとうございます。いい体験になりました」
『おいおい、まだ話してないだろ?』
「できるのですか?」
『精霊に頼むからできるよ』
『ナニモイラナイ。ボクタチヤサシイカラ』
『だとさ』
「でも、どうやって話せば…」
『心で話してみな?精霊は感じ取ってくれる』
『はじめまして。カーラです。よろしくお願いします』
『ヨロシク。ズットミテタケド、キミカラダ、ヨワイネ?』
『わかるのですね。そうです。ヒレの動きが悪くて』
『ナオシタイ?』
『できるのですか?』
『キミガノゾムナラ……ネ』
『治したいです!どうかお願いします』
『ジャア、イマカライウコトオボエテ、カゲデテヤッテ』
……………………………………。
「シルフィーさん、出してください」
「もういいの?」
「はい」
「じゃあ、目閉じてね」
「おかえり、どうだった?」
「あの、バレットさん。木の実?を3つ貰えませんか?」
「いいけど、……ほう、そういうことか。あいつらめ、気まぐれだなぁ。はいよ」
「ありがとうございます」
「じゃ、外に出るか」
「俺が支えていればいいんだろ?」
「はい、そう言われました」
「お、やるか?カーラさん木の実を1つ出して」
木の実が1つ浮いた。
「あと2つも」
2つ目、3つ目。3つの木の実が浮いている。
すると木の実が消えて、3つの光がカーラさんを包み込む。
光が消えるとカーラさんは泣いていた。
「動く。動いてます。私の…ヒレが…。」
ピチピチッ。ピチピチッ。
成功したようだ。
「よかったな。見えなくてもちゃんと礼は言っとけよ?」
「はい、ありがとう……ござい、ます…。」
「どういたしまして。だとさ」
その夜
「シルフィー覚悟はいいでしょうね」
「なにが?」
「なにって、忘れたとは言わせないわよ。私もお返しに触ってあげるんだから」
「ああ、どうぞ。抵抗も何もしないから好きなだけ触っていいよ」ワクワク
「じゃあ、遠慮なく!」
ペタッ。ムニムニ…ムニュンムニュン。
「おお、これは……すご、い。……んあぁ」
「もっとすごかったんだから!」
クリクリッ…クリクリ。
「ひゃあ、……そん、なこと…して…ない。ふあぁ、んぅぅ……だめぇ…やめ、て」
なにこれ、全然違う。気持ちよくて、頭真っ白になる。
「もう、ゆるひ…てぇ…あぁぁ…あ、あぁ」
ビクッビクッビクン。
「お返し完了」
「すごかったぁ。初めての体験だよぉ〜」
「恥ずかしい。可愛かったけど恥ずかしい」
「ねぇセラ。もう少し私が大きくなったら、一緒に……。」
「なによ、言ってみなさいよ」
「た、旅にでも…行って、みない?」
「またぁ、そうやっていってみただけとか言うんでしょ?」
「ううん、今回は言わない。ウソじゃないもん」
「うーん、旅かぁ。いいわね。行きましょうよ。私待ってるわ」
「ほんと?いいの?」
「お母さんとお父さんに話して了承貰う。それで待ってる」
「やった〜。嬉しいな。私も頑張ってできること増やして、迎えに行く」
「その時はお願いね」
「うん」
「もう寝ましょう。おやすみシルフィー」
「おやすみぃ〜セラ〜」
やっと旅のフラグが立ちました。ですが、もうしばらくお待ちください。旅に出るにはまだ早いです。