アーネス海とシルフィーと
前半は珍しくシルフィー視点です。
まだ話してる。ママって長話好きだったのかなぁ?
私は面白くないし、つまらない。まったく海がすぐそこにあるのに、なんで行かないのかなぁ。
クイックイッ……。
「なに?どうしたの?シルフィー」
「…………つまんない」
「あ、ごめんねシルフィー。つい話し込んじゃって。遊びたいわよね」
「退屈だったよね?ごめんねママを独り占めしちゃって」
セラのママさんが申し訳なさそうにしている。私は許可をもらって遊ぼうとしただけで、ママと一緒じゃなくても平気だったんだけど…。
「メルディーは話してていいぞ。俺が面倒見てるから」
「そう?でも、私も遊びたいと思ってたり思ってなかったり」
「はっきりしないなぁ。素直に遊びたいと言えばいいだろ」
「リーネさんの前で言ったら失礼でしょ」
「構いませんよ。海に来たらみんな遊びたくなるものですよ」
セラのママさん優しいなぁ。
「すみませんがお部屋をお借りしてもいいですか?」
「どうぞどうぞ。右にある部屋をお使いください」
「ありがとうございます。ほら、シルフィー何か言うことは?」
「ありがとうございます。セラのママさん」
「リーネでいいわよ。私たちは外で準備しておきますね」
「俺も手伝いますよ。着替えなんて一瞬ですし」
すでに着替えが終わってる。いつ着替えたの?
『バレットノトクギ。ヨビドウサハ、ナイ』
へぇー。なんで精霊が心の中を読み取れたのかは聞かないでおこう。なんか怖い。
「いいのですか?ぜひ、お願いします」
着替え完了!
ママの水着の小ささにびっくりした。泳ぐと外れそう。ママの身体は欠点がないから自信持って着れるんだろうなぁ。まあ、いいや。いざ、うみへ!
「ちょっと待ってシルフィー!日焼けはお肌に良くないわ。そうねぇ。練習も兼ねて精霊にお願いしてみましょうか」
なにを言っているの?ママは精霊は見えてないはずだけど…。
「でも、いないよ?」
「呼ぶのよ」
「どうやって?」
「目を閉じて、心の中で呼ぶの。言葉に決まりはないからやってみなさい」
「う〜ん。よくわかんないけど、やってみる」
こうかな?
『精霊さん出て来て』
『ヨンダ?シルフィーガ、ヨンダ?』
!?
どこから出て来た?
「その反応は、来てくれたのね」
「うん。それで、どうするの?」
「肌を守ってもらえるようにお願いしてみなさい。これ持って」
見たことない木の実を渡された。美味しそう。
『えと、精霊さん。私の肌を守ってくれませんか?』
『キノミ、ヒトツダヨ。テノナカノヤツ、チョウダイ?』
木の実を渡すと精霊が私の周りをグルグルと飛び回る。キレイだなぁ。
『デキタ。コレデ、ダイジョウブ…ダヨ』
『ありがとう、精霊さん』
「ママ、できた」
「すごいじゃない、精霊はなかなか言うことを聞いてくれないのよ」
「そうなんだ」
優しかったけどなぁ。それより、今度こそ…。
「さあ、行きましょうか。バレット達も終わったみたいだし」
「わあ〜キレイ!」キラキラ
「本当に楽しみだったのね」
仕方ないよ。初めて見るんだもん。待ちに待ったうみ!さあ、遊ぶぞぉ!
「ちょっと待てシルフィー。遊ぶ前に準備体操だ」
「はあーい」
パパが輝いてる。太陽を背にしているからもっと眩しい。
「セラもだよ」
「え?私も?立てないけど…」
「座ってやればいい」
「そうだぞ。人魚族だからと言って準備を怠るのは許さんぞ?人魚族だって溺れるからな」
「ちょっと補足するとね、人魚族は陸と水中で呼吸の仕方が違うのよ。その切り替えを間違えて水中で溺れるって訳ね」
なんで人魚族に詳しいのこの2人。
「よし終わった。行こうセラ!」
「うん」
娘を見守る親達。ここで初めて人魚族を肩に乗せて歩く姿を見る2人。乗ってる娘をあわあわと心配そうに見ている1人。
「シルフィーちゃん、すごいんですね」
「セラちゃんも、バランスすごいですね」
「なんだろう、違和感がないのが恐ろしい」
海では逆だった。セラにつかまって猛スピードで泳ぐシルフィー。
「ほんと仲がいいのね」
「そうだな」
「あの子があんなに楽しそうにしてるのは初めて見ました」
「リーネさん、それは…」
「はい、私たちは仕事柄家にいる時間が少ないんです。姉と2人で大丈夫と言うのですが…笑ってはくれませんでした」
「セラちゃん、寂しかったのね」
「でも、迷惑をかけないようにと気を遣える優しい子だよ。見ればわかる」
「シルフィーちゃんのようなお友達ができて良かったです。」
「でも適度に会って会話しなきゃダメよ」
「そうですね。仕事を変えようと思いました。家でできる簡単なものに」
「それがセラちゃんのため…かもね」
「この話はここまで、俺たちも一緒に遊ぶぞ!」
「そうね、行きましょうかリーネさん」
ひょいっとバレットがリーネさんを持ち上げる。やるとは思ってたけど、声くらいはかけようねバレット。
それから夕暮れまで遊んでいた。子供のテンションは下がらないのね。
「良かったら泊まって行きませんか?夜の森は危険ですし」
「そちらがいいのであれば……。」
「問題ないだろう」
「え?お泊まり?やったー!セラと一緒に寝るぅ」
「いいよ。一緒に寝よっか」
「すっかり懐いちゃったみたいね」
「夕飯手伝います。何もしないと落ち着かないもので」
「俺は片付けしとくから、シルフィーたちは風呂に入りなさい」
「おっふろ♪おっふろ♪ってどこ?」
「こっちよ、ついてきて」
広い!海が見える!露天風呂だ!
「髪が傷んじゃうよ。早く洗って」
アワアワ〜。お返しアワアワ〜。
身体もアワアワ〜。お返し………。
「大きい」
「ん?何か言った?」
「セラ大きい!ママほどじゃないけど大きいよ!」
「な、なんで近付くの?その手の動きはなに?」
「触らせて」
「いやよ。なんかシルフィー怖いもん」
「怖くなーい。ちょっと興味があるだけだから」
フニュン………。ムニムニ………。
「ママより柔らかい」
「っくしゅん」
「大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です」
フニュフニュムニュン
「あ、だめっ、……揉まないでぇ…。やめてぇ」
「ふわふわぁ」
「おわり、やめて…んぅ、ひゃあ…そこ……ダメ…」
ピチピチ。ビクッビクン!
「はぁ、はぁ。も、ゆるひてぇ」
「あ、やりすぎた」
……のぼせたことにしておこう。
バレットの近くには必ず一体精霊が飛んでます。詳しくは後ほど。調子にのって書きすぎました。目が痛いです。




