シルフィーと人魚族
人魚族はシレーナでも人魚族でもどっちで読んでも構いません。人魚族は常に水着で過ごしています。
「シルフィー!昼食にしましょう」
いつも通りの1日。いつも通りシルフィーは寝ている。珍しく家から出ていない。正直、迎えに行かなくていいから楽なのよねぇ。
「シルフィー?早く降りて来なさーい」
返事がない。
「はぁ、しょうがないわね」
部屋まで起こしにいくメルディー。
コンコンと2回ノックする。勝手に開けたら失礼でしょ?
「起きなさいシルフィー。入るわよ」
ガチャッ……………。
「こ、これはなんなのかしら?」
シルフィーは寝ている。なぜか布団の中央が膨らんでいる。シルフィーはぽっちゃり系でも、いきなり膨らんだりもしない。それともう1つ。なぜか湿っている。2歳を過ぎてからなくなったから安心していたが……まさか!?
バサッ……。
スヤァ。スヤァ。
「え?なんで人魚族がここに?いつ来たのかしら?」
違う。ありえない。人魚族は乾燥には耐えられないために水中にいる。だが、ここにいる。濡れた布団が保湿効果を成して無事なのだろう。
「ちょっとシルフィー!起きなさいってば!」
「んぅ?ママおはよぉ。どしたの?」
「どしたの?じゃないわよ!隣の子はだれ?何があったの?」
「………?ああ。セラだよ。昨日の夜に仲良くなってそのまま連れて来たの」
「え、シルフィー夜に湖に行ったの?」
「行った」
「何があったか詳しく教えてくれるかしら?」
大体把握した。夜眠れなくて湖に泳ぎに行ったシルフィーは、湖でセラと言う人魚族の女の子と出会った。
なんやかんやあって仲良くなった2人は疲れて帰ることにしたのだが、セラは帰り方がわからなかったらしい。放っておくわけには行かないので連れて来て現在に至る。
「あなたどうやって連れて来たの?セラちゃん歩けないでしょう?」
「肩に座らせた」
ポカーン……。エルフの血が流れているとしてもやっていることがおかしい。シルフィーの身長は156でセラは約170くらい。それを簡単に肩に乗せたと言っている。肩幅が広いわけではない。抱えるならわかるけどなんで座らせたのだろうか。
ただ気になるのは、今までのやりとりの中でセラが起きていないこと。起きられない理由が?
………水?
「シルフィー、セラをお風呂に運んでちょうだい」
「なんで?」
「このままだと乾燥するでしょ?それに、慣れない環境で無理に寝たから調子が悪いのかもしれないわ」
水に入れて起きる保証はない。人魚族の世話は生まれて初めてだからね。
お風呂に入れるとセラは何事もなかったようにあっさり目を覚ました。
「ふえ?……ここ…どこ?」
「セラどしたの?夜のこと忘れちゃったの?」
「え、ええっとぉ……。なんとなく覚えてる」
「こんにちはセラちゃん。私はメルディー。シルフィーの母親よ。よろしくね」
「え?あ、えっとよ、よろしくお願いします」
「セラちゃん、自分のことはわかるわよね?」
「はい、セラ・スィ・エルーナ。14歳です。両親とアーネスの海に住んでいます」
「アーネスはここから南東方向にあるわね」
「アーネスから川を上って少ししたら穴が見えたんです。入ったら真っ暗で進んでるうちに湖に出てました」
「あそこ近くの川と繋がってたのね。わかったわ、ご両親には私から連絡をしておくわ。お腹が空いたんじゃない?一緒に食べましょう?」
「い、いいんですか?あっでも食べられるものに限りがあって、私はお肉しか食べられないんです」
「問題ないわ。持ってくるから待っててね。シルフィー手伝って」
「わかったぁ」
昼食の後、2人は湖に遊びに行った。とりあえずセラの両親に影鳥の遣いを出しておいた。私独自の能力です。1年はかかりましたね。
「さてと、セラちゃんを送り届ける準備をしないとね」
その夜
「紹介するわ。夫のバレットよ。バレット、この子はセラちゃん。湖で迷子になっていたのよ」
「ここに人魚族とは珍しいな。バレットだ、よろしく」
「せ、セラです。よろしくお願いします」
「で、明日セラちゃんを送り届けるから準備しといてね。バレットは臨時休業ってことで」
「そうだな。親御さんも心配しているだろうから、早いとこ返してあげたほうがいい。シルフィーには外を見るいい機会になるしな」いつも急だよなぁ。
「うみはじめてみるぅ〜」
「そんなわけで、明日は水着忘れちゃダメよ」
「海かぁ、久しぶりだな」
「あの、ありがとう…ござい…ます」
「いいのよ、これも何かの縁だわ。移動は苦じゃないから大丈夫よ」
「それじゃ、明日に備えて今日は早く寝るようにな。朝早くに出発するぞ」
寝る前
「私、実はうみ行ったことあるんだぁ〜」
「シルフィーちゃんさっきはないって」
「フフ……ウソ、いってみただけ」
「もう、からかわないでよぉ〜」
暇な時間が多くて1週間に1話どころじゃなくなってますね。ちなみにバレットは程よく筋肉があり着痩せするタイプです。