初めての試み
もう完全にこの間隔で進んでいく気がします。どうにかして戻していきたいです。
リリィがテーレを訪ねる少し前のシュラハト近辺の森
「僕は戦闘が苦手でね。いつも人任せ、でもサポートが僕の取り柄だ」
『知ッテイル。付キ合イガ長クテ気持チガ悪イホド、オマエノコトヲ知ッテイル。デ?ナンダ?』
「なんだ?って言われても、今の状況知ってるよね?」
『アア、イツモ通リノ傍観者デ退屈シテルンダロウ?』
「冗談だよね。このままだと、シュラハトは崩壊する。もしかすると、シュラハトだけでは済まないかもしれない」
『ツマリ?我ニドウシロト?』
「レージュ、君の向こうの友達を集めてくれ。シュラハトに」
『シュラハトニ霊樹ハナイゾ』
「作ってくれ」
『無茶ヲ言ウナ。我ハ動クコトガデキン』
「でも、他を動かせるだろ?」
『マッタク。ソノ間、オマエハ何ヲスル』
「僕はサファーに話をする。今、彼はシュラハトの火を消しながらロストを攻撃してる」
『ナルホド、奴ノ植物ヲ使ウノダナ。了解。適任ヲ動カソウ』
「頼むよ」
『我ガ他ヲ動カスノナラ、オマエハ他ヲ操ル存在ダ。傀儡師ヴェルノ』
現在のシュラハト
父親2人とロストが戦闘中。セラと私は少し離れた場所で休んでいる。
「いくらジーブさんでもあの距離は飛べないよね?」
「うん。サファーに飛ばしてもらったの。弱めのブレスで」
「そんな事できるんだ。で、なんでこっちに?」
「あのね、お父さんに聞いたんだけど。吸血族はパワーアップ的な事ができるらしいのよ」
「そんなのあったっけ?ママからは聞いたことないけど」
「それがね、詳しく聞いたら1回だけやったことあったの。血液過剰摂取状態。覚えてる?」
「ああー、あったねー」
「あれを制御できればパワーアップ的な感じで強くなれるらしいよ」
「今この状況だから嬉しいと思うよ。でも、また迷惑を…」
またあの時みたいに暴走したら、どうなるかわからない。それにロストに私まで加わったら手が付けられなくなる可能性も。やっぱりやめといた方が…。
「大丈夫よ。シルフィーならできる。ほら、今回はそうなるかもって知ってるわけだから、危ないと感じたら止められるでしょ?シルフィーって感覚でやるけど器用じゃない」
「そ、そうかな。でも…」
「じゃあさ、最初はいつも通りで、その後徐々に足していけばいいんじゃない?」
「うぅ〜。…こわい、こわいよ。私は、セラを傷つけるのが怖い。リリィを、パパやジーブさんを傷つけるのが怖い。我を失って、力に呑まれるのが怖い。怖いの」
こんなに弱気になるのは初めてだ。セラの目には私がどう映っているのだろう。情けないとか弱虫とか意気地なしとか。嫌だ。嫌われたくない。でも、怖い。怖いものは怖い。
「えっとね、シルフィー。シルフィーは私のこと殺したいと思う?」
「思わないよ!バカなこと言わないでよ!」
「リリィは?」
「思うわけない!」
「バレットさんやメルディーさんは?」
「思わない。私は誰も殺したくない。死んで欲しくない」
「本当に?それは心の底から思ってること?」
「どうしてそんなこと聞くの!本心だよ!」
「なら、シルフィーが暴走したとしても誰も殺すことはない。流石に傷つけないとまでは断言できないけど」
「そう、かな?…そうだよね。こんなので安心できるなんて、ちょろいね。わかった。やるよ」
「なんかシルフィー、そのうち詐欺にでも引っかかりそうね」
「な!?そこまで言わなくても」
「はいはい、言わなかったことにしとく。さて、じゃあシルフィー、こっちおいで」
ポンポンとセラに座る位置を指定される。セラの上。私でいう太ももくらいの場所。私の定位置。お気に入りの場所。
「うん」
セラに向かい合わせになって座った。鱗に覆われているのに、すごく柔らかい。セラが私を包み込む。セラから甘い香りがする。
「うむぅ。苦しい」
「ごめんね。また、無理させちゃうね」
「気にしないで。暴走しそうになったら、私を止めてね」
「うん。思いっきりビンタしてあげる」
「ははは、痛そうだなぁ」
「フフ、いつでもいいよ」
肩の紐をずらし、いつも吸っている跡を見せてくる。穴が2つしかないのは毎回私が的確に狙って噛み付いているからだ。セラの綺麗な身体に穴を増やしたくないからね。
「いくよ?」
「うん。来て」
カプッ。
「んっ。うぅ……ぁ、あう。ん、んぁあ」
「ふぁあふぃい(かわいい)」
「だから、ん…しゃべらないでって……ひぁ、言ってる、のに」
そろそろいつもの量になる。でも今回は意図的に過剰摂取するのだ。まだまだ吸わなければ。
「止めない、の?」
「うん、ふぉのままふぇ(このままで)」
最近発見したのだが、セラはビクッてなると血の勢いが増す。だからこうやってセラの胸を揉めば。
「ふあぁ、シルフィー。やめ、あぁ……ん…んぅ」
「んん!ふぇふぇるふぇふぇる(出てる出てる)。ふっふぉいふぇふぇる(すっごい出てる)」
「や、待って。シルフィー、激しい。あぁん…それ以上は、…だめ。だめぇ!」
「ふあぅ。んん、ん…んぅ」
堤防が決壊したかのように流れ出す血液。セラがビクッとなる毎にピュピュッと飛び出してくる。口に広がる血の匂い。あぁ、おかしくなっちゃう。
「うぅ、シルフィー…大丈夫?」
「んん〜なんとか。保ってるけど、気を抜くと持ってかれそう」
「大変!気をしっかり!呑まれちゃダメ!」ペシペシ
頭がぐるぐるする。目眩のような感覚。心臓を誰かに掴まれているように苦しい。
「うぐ、ぅあああああ」
「ダメよ!シルフィー!」
視界が真っ暗に。音も聞こえない。何の匂いもしない。血の味もしない。あぁ、私は呑まれて…。
チュッ。
何も感じないはずなのに、口?に感じるこの感触。覚えている。セラの唇。柔らかく、しっとりとした優しいキス。今、セラはどんな顔をしているのだろう。泣いているのかな。もっとセラを感じたい。セラを見たい。セラを嗅ぎたい。セラに触れたい。五感すべてでセラを感じたい!
「う、うぅ。うぐ。……は!」
「気が付いた!よかったぁ!」
「んぶ!く、苦しい」
「ああ。ごめん。嬉しくてつい、ね」
「ありがとう」
「頑張ったのはシルフィーだよ。私はなにも」
「セラがキスしてくれなかったら戻ってこられなかった」
「な、やめてよ。ていうか、なんでそこだけ覚えてるのよ!」
「しょうがないよ。それだけ感じたんだから」
「もう。フフ、おかえり」
「ただいま、セラ」
身体に変化はないし、力が上がってるのかもわからない。いや、変わった!そうしとこう!
シュラハトへ走るリリィたち
『リリィさん!自分の背中に乗るッス!』
「グィラム、やっと来たの」
『遅イデス。リリィガ疲レテシマウトコロデシタヨ』
『すみませんッス。覚悟決めたんで、もう一度自分にチャンスをくださいッス!』
「わかったの。じゃあ…」
シュラハト戦闘組
『さっきからうざいなぁ。引っ込んでろ!水竜!』
『それは出来ぬ。我は友たちとの約束を違えるほど、愚かではない。が、また別の友が来たようだ』
『なんだよ、結局やめんじゃねえか。まあ、やっと集中できる。つっても、燃やせるもんは減ったがな』
「なあジーブ。お前槍持たずに戦えるな」
「ガハハハ、言ってしまえばそれまでだが、槍にこだわる必要はないぞ。たとえば、この家を支えてた柱。こいつで!」
バキッ!
「やっぱ硬いなぁ。頭ぶん殴ってもピンピンしてやがる」
「なるほど、つまり、持てればなんでもいいというわけか。いやそれ以前に、今の行動は許し難いぞ!大事な柱をへし折りやがって!」
「ガハハハすまんすまん。近くにあったから手に取ってしまった」
『なあ、さっきから雑談がメインになってねえか?』
「おっと、ごめんごめん。でも正直飽きて来たって言うのが現状なんだけど」
『じゃあ、空の旅でもするか』
「うぐ」ガシ!
「な!?」ガシ!
『2名様ご案内で〜す!』
地面に垂直にまっすぐ上昇するロスト。あっという間にシュラハトが雲に遮られて見えなくなる。
「おい!降ろせ!」
「流石にここは凍っちまう」
『なんだよ、刺激を与えてやろうと思ったのに。しゃーねえな。2名様お帰りで〜す!』
急降下。時間にして5秒。気づいたら顔面に衝撃を受け、視界が暗転した。どうやら地面に刺さっている状態らしい。
「どわあぁぁぁあ!いってぇぇぇぇえええ!!」
「大丈夫か?ジーブ」
『あ〜愉快愉快。気持ちいいだろう?遅れて感じる痛み。早く状況把握を済ませろ、そして痛みを感じろ!いいねいいねぇ。もっと楽しませろ!』
まだ休む気はないらしい。そろそろ身体が保たない。
「ジーブ、交代で休みながらにしよう」
「構わんよ。先に休んどけ!」
『1対1かあ、いいね。滾るね!』
「この戦闘狂がぁ!」
どもども私です。最近のぬるま湯は変わりました。悪い方に。寝落ちが増え、口開けて寝て涎垂らすことも増えました。終いには目覚ましが設定した10分後に聞こえるとか言い出します。そんなぬるま湯ですが、皆さん温かい目で見守ってやってください。それではまた次回。




