二重人格
思いついたので投稿です。理由は時間が経つと忘れるから。
「おっと、これはまずいな」
どっかで見たことあると思ったらあの時の奴だったのか。
「なにか知ってるの?」
「知ってるもなにも奴とは戦ったことがあるからな。正直言うと、シルフィーには勝てない。降参するか、全力逃走をおすすめしとくよ」
『バレットガ言ウナラ間違イナイノオ』
「奴の中には2人の存在がある。あまり好戦的ではなく、自分から攻撃することはまずない」
「最初に見たやつなの」
「んで、もう1人は今出て来てるあれだ。見たままの奴さ」
「助けないの?」
「竜族が正式に認めた戦闘だからな。今回みたいな乱入戦はありえない。だが、ここ最近誰もここを訪れなかった」
『竜族同士ノ戦闘ニハ都ノ許可ガ必要デ面倒。故ニ戦闘ノ起キナイ静カナ毎日』
『コウナッテモ仕方ナイデスネ』
「なにもできないのが辛いの」
「で、どうよ。やるか?やり合うか?それとも逃げるか?まあ、逃げても構わねえ。当然の選択だからな。アハハハハハハハ!」
「誰が逃げるって言った?私はやるよ。でも、ハンデくらいは、くれてもいいんじゃない?私より強い自信があるなら、自分の情報を教えてくれてもいいんじゃない?」
「お、そうだな。じゃあ、今なんで口が燃えてるかとかか?そうだな。俺の体内で作られる液体、涎とか胃液とか。燃えやすいんだよ。すごく。空気に触れるだけで燃える。で今俺は口で呼吸してる。普段は鼻呼吸」
「だからさっきまで無口だったんだね」
「そう言うこと。あとはあれだな。回復力の高さだな。俺は昔から傷1つ残っちゃいねえ。いや違うな。この、目の傷だけは治らなかった。まあ、腕が戻ったのは完全に死んでなかったからだな」
聞いても化け物としか思えない。どうやって戦えっていうのか。
「あ、これはとっておきだから言いたくないんだけど、ダメか?ダメだよなぁ。でも、さっき全部話せとは言ってないんだよなぁ」
「言いたくないならいいよ。言わなくて」
「ああそう?じゃあ、言っちゃおうか。実は俺、ドラゴン型にもなれるんだわ」
え?今、とんでもないことを言わなかった?ドラゴン型にもなれるって?
「それが事実なら本当に化け物じゃないかってか?そうさ。俺はどこでも、どこに行っても化け物だ!証拠に、見せてやるよ!!」
ビキビキと鱗の生える音。ズルリと翼が2枚追加される音。爪が鋭く伸び、頭の形が変化していく。角は前方に捻れて突き出した。尻尾には細かな棘。身体のサイズが元の何十倍にもなっている。さっきまでの人型の面影がない。
『ハハハハハハ!どうだぁ?すげーだろ』
「おいおいおい、まじかよ。あれは洒落になんねえぞ!」
「なんなの!?いったいなにがどうなってるの!」
『アレガ暴レルト、シュラハトガ壊レルゾ!』
『壊レルドコロデハアリマセン!崩壊デス!都ガ崩レ去リマス!』
「こりゃやばいな。ちょっと行ってくる!」
『策無シデ行クノカ?危険スギルゾ!』
「娘が危険だってのに見ていられるかよ!とりあえずグラントはシルフィーに加護でもしとけ!」
「おやおや、なにやら騒がしくなって来たね」
「何ですかあれは!ここから見てもはっきりと顔が認識できますよ!」
「あれはロスト。竜族最強とか言われてる狂った奴。子供たちに被害はないと思うが、一応シュラハトの外に避難させておくかね」
「なんであなたはそんなに冷静なんですか!」
「我々が騒ぐと子供たちに伝染し混乱してしまう。まずはこの状況の危険性を子供たちに悟られないようにするんだ」
「確かに、そうね。じゃあ、私は水中の子供たちを避難させるわ」
「僕はその他を全員連れていくよ。終わったらまたここに。では行こうか」
「終わりました。ヴェルノは早いですね」
「急いだんだよ。それより、これを」
「シルフィー!それにバレットさんも。やっぱりそこだったんですね」
「ああ、でも敵わないだろうね。僕の目でも2人との差はよくわかる」
「誰か応援を呼んだ方が…」
そういえば、あのとき…。『きっといいことがある』ってサファーが、もしかしたら。
「私、ちょっと行ってきます!」
「行くってどこへ?そっちは奴と逆だよ!」
「大丈夫です!」
シュラハトの港から出てすぐの海中
「ここなら、振動が微弱でも届くはず」
サファーにもらった鱗に自分の喉から音波を発生させる。サファーの鱗を通すことで、小さくても聞き取ってくれるはず………なんだけど。
私はサファーが今どこでなにをしているのか知らない。起きてるかすらもわからない。ただ届けと願って送るだけ。なんて私は無力なのだろう。
コォォォォ……
今私がこの身1つでシルフィーのところに行っても足手まといになるだけ。
ゴォォォォ
だから私は他に出来ることをしているんだ。結果が出なくてもやらないよりはましだ。
ゴゴゴゴゴ!
これは私にしか出来ないこと!だから…。
『我を呼んだか?セラよ』
「来てくれて、ありがとう。サファーさん」
『サファーでよい』
「大丈夫かあ!セラァァァァア!」
「お父さん!?」
「パパ!?なんでここに?」
「仕事だよ仕事。いちゃ悪いか?」
「いや、全然悪くない。助かるよ」
私1人では相手に出来ないことくらいわかっていた。だからこそ、パパの出てくるタイミングが良すぎて驚いたのだ。
『おお〜!バレットじゃないか!久しぶりだなぁ!元気だったか?俺はな、この目が疼いて仕方なかったんだよ』
「元気だよ。お前も変わらず元気そうだな。もう1人はどうした?」
『封じてる。久しぶりの外だ。誰にも邪魔させねえ』
「そうかい。じゃあ、俺にもか?」
『それとバレットは別だよ。俺が望んでやるんだ。邪魔なわけがねえ。こうなりゃ邪魔なのはそのチビだ』
「あ?今なんて言った?俺の娘をチビだと?俺に対する侮辱や暴言は受けるが、シルフィーに対するそれらは絶対に許さないぞ!」
『お?怒ったか?いいねいいねぇ。その怒り全部俺に力でぶつけな!』
「言われなくとも!」
「ちょっと、パパ!」
ああ、もう止められない。シュラハトで起こってはいけない戦闘が開始された。
うぅ…さむい。どうも私です。本編でシルフィーの謎の能力の説明しないから私がしちゃうね。影切、字のままの意味さ。影を切るんだよ。影っていうのは光が物体に遮られて出来るもの。その影の形を変えること、つまり物体の形を変えることになる。簡単でしょ?今回はここまで!次回をお楽しみに。




