飛竜〜中間〜
最近寝不足ですね。寝たいなぁ。
あの飛んでるやつで合ってるよね?血の匂いも同じ方向からする。遠目だけど、口が微妙に動いてる……。あれ?食べられたの?
「ちょっと、やばくない?」
「やばいの」
もしかしたらもう原形が…、やめよう。
「空飛ぶトカゲ、移動が速いの」
「そうだね。でも、着いて行くには条件がいいかも」
「どういうことなの?」
「あのオオトカゲが向かってるのは南。太陽も南。つまり?」
「影がこっちに伸びるの!」
「正解!そして私は吸血族」
「ならはやく影に入るの!」
「もうすぐ木々のない場所に出るからその時が勝負だよ」
影に入るのに全力だと1秒もかからない。入ってしまえば着地まで潜伏していればいい。セラ、無事だよね?
空飛ぶトカゲの口の中。
「ねえ!出してよ!ここから出してったら!」
どれだけ暴れても光は見えない。外がどうなっているのかもわからない。なぜ、このような状況になったのかと言うと……。
私たちが普通に、ゆったり歩いていた時。
私は空をぼーっと眺めていた。一瞬黒い何かが通った気がして、キョロキョロしていたら…バクンッ!って音はしなかったけどいきなり真っ暗になった。なぜかシルフィーたちは気づかないし、そもそも暗くなった時点で音が聞こえなくなったし。声を出しても返事は返ってこない。で今に至る。
「ヌルヌルするぅ〜。気持ち悪いぃ〜」
地面?はヌルヌル、ベトベトしてて、とても不快。
「シルフィー、助けてくれるよね」
「リリィ!つかまって!」
「はいなの!」
リリィの手を握って影に入る。
「これで一安心なの」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ。セラを助けてないんだから」
「でも、どうするの?」
「とりあえず影から話しかけてみる」
意識を集中させ、影の主に話しかける。
「もしもーし。聞こえるー?」
『誰ッスか!?どこから話してるッスか?』
「影だよ。影の中」
『なんの用ッスか?』
「今口の中に何か入ってるでしょ?」
『あるッス』
「それなに?」
『人魚族の姉ちゃんッス!』
「吐き出そうね」
『はい……いやいや無理ッスよ!できないッス!』
「どうして」
『自分この子に惚れたんで、お持ち帰りッス!』
ん?今なんか変な言葉を聞いたような。
「相手の合意で?」
『ん?いや、聞いてないッス』
「口の中で暴れてるんじゃない?」
『そうッスね。すごく気持ちいいッス!』
頭のネジが飛んでる?あ、セラに繋げばいいじゃん。影にセラの分も含まれてるはずだし。
『…………す……て』
もうちょっと。
『たす…て……し…ふぃ……』
あと少し!
『たすけて!シルフィー』
よし、繋がった!泣いてる?
「セラ!無事?怪我は?」
『この声、シルフィー!よかった。無事よ!はやくたすけて!怖いの。なにも見えなくて聞こえない。それに、さっきから地面?が動いて気持ち悪いの!』
「落ち着いて。いい?セラは今口の中にいるの」
『私、食べられちゃったの!?』
「うん。で今から助けるんだけど、方法がなくて」
『いやぁ。このまま出られなかったら死んじゃう。なにしても出られないし、方法なんて知らないわよ!』
「すぐ助けるからもうちょっと待ってて。耐えて!」
『わかったけど、聞きたくなかった。早く出たいよぉ。……ひゃうっ!』
「どうしたの!?」
『なん…か、ヌルヌル、したのが…ひぁ。急に、纏わり付いて…あぅ。いやぁ…やめてぇ』
このトカゲが、セラを………。許さない!セラに手を出したことを後悔させてやる!いや、泣いて謝っても許さない!
「リリィ、もう私限界。このトカゲ、落とす!」
「え?ちょっと待つの!シルフィー!落としたらセラ姉が!」
「先に吐き出させる!リリィは合図したら影から出てセラを受け止めて!」
「わ、わかったの!」
さて、まずは口を開けてもらおうか。
『ふんふ〜んふふんふん。ん?むぐぐ!ぐ、ぐあぁ。口が、勝手に』
「リリィ、今!」
「はいなの!」
「グラント!リム!お願い!」
『承知シタ』
『ハイ』
ぐったりしたセラが口から滑り落ちる。透明な液体でベタベタになっている。あのトカゲ絶対に許さない!
「ねえ、あんた痛いのは好き?」
『急にどうしたッスか?嫌いッスけど。それどころじゃないッスよ!落としちゃったッス!』
「そう。ならこうしてあげる」
影の形を変える。誰にも教わっていない、自分でもどうやってるかわからない。ただ感情に任せたらなってしまった。影の長い尻尾を1部だけ細くする。細く細く細く細く、これ以上できない程まで細くする。
『痛い痛い痛い痛い痛いッスー!なにするッスかぁー!いだだだだだ』
「ん?なにってお仕置き?」
影は限界を迎えた。細くしすぎた尻尾はブチッ!という大きな音を立て、大量の血を流し、千切れた。
『ぎゃああぁぁぁぁ!自分の尻尾があぁぁ!!』
「フフ…フフフフフ」
『なんなんッスか!?自分あんたになんかしたッスか?』
「私にはしてない。私の大切な人にしたの。次は腕がいいかな?フフフ」
『ひぃ!』
影の腕が細くなる。根元、つまり肩の辺り。
「トカゲなら尻尾くらいは生えてくるでしょうけど、腕はできないでしょ?」
ギチギチギチギチギチギチ。
『あ、謝るッス!自分がやったこと全部謝るッスから、や、やめてくださいッス!』
ブチッ!
『あああぁぁぁああぁぁぁぁぁあああああ!』
「大丈夫、落ちた部位は売って誰かの役に立つから」
『どこまですれば気が済むッスか!!』
「うーん、もう飽きた。これで終わりにする」
全力で翼を縛る。ピクリとも動かない。当然落下する。
『頭から落ちてるッス!翼動かないッス!!死なないけど死ぬに等しいッス!!!』
「最後に1発お見舞いしてあげる。そのままの姿勢で落ちてきてね」
一直線に落下する巨体。ほぼ意識はない。それでも攻撃は実行する。
真下にスタンバイ。狙うは角。最後に折ってあげることにした。
だんだんと近づいてくる。思い切り踏み込み真上に跳躍。拳を握り、最大の力を込めて角に1発。
ボキッ!!
折れたが叫び声は聞こえなかった。
今回はお休みっていうことで。




