ヴァレスフィア家の秘密
パシャパシャパシャパシャ
今日もうちの娘元気です。突然ですが、私も泳ごうと思います!
バサッ!
「ママなにやってんのぉー」
「今日はママも泳いじゃおっかなー。って思って準備してたのよ」
「ママも!?わーい、やったぁ!」
娘はやっぱり裸。今度水着でも買ってこようかな。
「ママ下着のまま泳ぐの?」
「違うわよ。これは水着って言って泳ぐ時に着る物よ」
「え?私着てない」
「ええ、買ってないもの」
「ズルイ!私も着たいー!」
「あなた今まで裸で泳いでたじゃない」
「そんなのあるって知らなかったもん」グスン
「着るなら街まで行くけど…」
この子絶対にまた裸で泳ぐわね。
「ほんと?着たい!行く!私も行くぅ!」
「なら、帰って準備しなさい」
「うん、先帰ってるね」
目の前からシルフィーが消えた。霧化だろう。あれ?ちょっと待って、確かシルフィーは制御できないはず……無意識ならできる?……わからないわ。
家にて
バレットの前に黒いモヤが集まっている。メルディーだろう。次第に形を成していく。低めの身長に尖った耳、大きくもなく小さくもない胸。これ……、シルフィーじゃね?
「ただいまぁ」
「お、おかえりシルフィー。玄関開けて入ってこような」
「はーい」
やっぱりシルフィーだ。裸の元気な娘。恥じらいとかないのだろうか?いやいやそうじゃない。今霧化してなかったか?なんか制御?してた?シルフィーって霧化制御できたっけ?
「そうよねぇ。あの子無意識にやってるみたいなのよ」
「うわぁ!びっくりするからいきなり出てくるなメルディー。あと玄関開けて入ってこよう」
「わかってるわよ♪」
シルフィーって母親似だよなぁ。たぶん。
「バレット、今から街に行くわよ。準備しなさい」
「なんで急に、帰ってすぐ出かけるって。まあいいか、俺を置いてくなよ?」
「それはシルフィーによるわ。1人で勝手に行かないとも限らないし」
「それもそうだな。すぐに準備しよう」
支度を終えて、シルフィーがいない。メルディーもいない。
「置いてくなって言ったのに」涙
街にて
「シルフィーつかまえた〜!」
キャッキャッとはしゃぐシルフィー10歳。遅れてバレット到着。息切れしてないから体力消費は少ないんだろう。家から街まで約5キロメートル。走ったり飛んだりしてこの男、霧化の速さに追いつける。エルフでもなかなかいないだろう。
「で、なんでいきなり街に行くことになったんだ?」
「シルフィーが水着欲しいって言うから、行こーってなったのよ」
「大体予想通りだったな。とりあえず行くか」
「そうね」
キャッキャッと腕の中で暴れるシルフィー10歳。
「あら、メルディーさんこんにちは。珍しいですねぇ街に来るなんて。一体どうしたんです?」
「こんにちは。ここに来たんだからわかってるでしょう?」
「新しい水着でしょ?でも、あなたこの前買ったばかりよね?」
「娘の水着よ」
そこで初めてシルフィーの存在に気付く店員。
「まあかわいいわねぇ。これなんて似合うんじゃない?」
「イヤ」
「残念だけどこの子は自分の気に入ったやつしか着ないのよ」
「そうなの?じゃあお邪魔なのね。ごゆっくり〜」
完全に空気なバレット。彼は買い物に付き合っても欲を出さず見守っているだけ。護衛にもなるしいいかとメルディーは放置している。実際護衛になってる。
「シルフィー、なにか気に入ったのあった?」
「うーん、多すぎてわかんない」
そうなるわよね。
「ママが着てたやつはどお?」
「あれはママだから着られるの」
褒めてる?それとも……。
「あ!これがいい!」
なんの装飾もない白いビキニを選んだ。
「いいんじゃない?シルフィーがいいならそれにするけど他は見なくていいの?」
「これがいい!これにする」
外でバレットがニヤついている。あとで叩いておこう。かわいいのは否定しない。
その後サイズ調整や支払いを済ませ家に帰った。
帰宅途中
シルフィーは疲れて寝ている。かわいい。メルディーはそれ以上に疲れていた。エルフとヴァンパイアの夫婦はなかなかいないしその子供も珍しい。街に出たらまず注目を浴びる。誘拐なども考えられるため用心しなくてはならない。そこに街の者たちとのコミュニケーションは負担でしかない。それでは大変だと言うことでバレットが家を森の奥に建てた。1人で。
「あの家も10年経つけど、老朽化とか大丈夫なのかしら」
現在の家は木でできている。
「心配はいらないさ。信用できる精霊たちに選んでもらった木だからな。少なくともあと5年はもつはずだ」
「バレットが言うなら大丈夫ね。今日はなんだかすごく疲れたわ。眠ってもいいかしら?」
「いいよ、家に着いたら起こすよ」
「ありがと。任せたわよ」ズズズズズ
影に溶けていく。ヴァンパイアの能力の1つだ。影に溶けて操ったりそのまま移動したりできる。影に入られると少し体がムズムズする。同時に安心もする。確かにここにいるという感覚。急にシルフィーが動き落としそうになった。危ない危ない。
「んん、んぅ〜。私…パパのお嫁さんに……なる。」
どんな夢を見ているのだろう。気になったがそれより嬉しさが止まらない。
「フフッ……いってみた…だ…け。」スヤァ
覚えているうちに書こうと思って書いてました。バレット身体能力高いじゃ済まないですねこれ。




