竜族ドラゴン型〜地竜〜
前回の続きです。
『で?質問は?』
「1個ずつ言うの大変だと思うからまとめて言うね」
『それはそれであてが辛いんやけど』
思いつく限りの質問を全部してあげよう。
「名前を教えてください。人型の時があったってどういうことですか?頭はどこに隠していますか?普段なにをしていますか?なにを食べて生きていますか?他の竜族との関係はありますか?それから…」
『とりあえずそこまで。覚えられへん』
「では回答を」
『あての名前はテーレ。テーレ・カル・ドラゴや。人型だったのは、話したら長くなるから後でな。頭はしまっとる。普段は寝てるか動くやな。なにも食べてへんよ。食べなくとも栄養は得られる。他のやつらと関係はあんやけど、しばらく見てへん。こんなもんか?』
「聞いたらもっとわからなくなった件について」
「テーレさん!テーレさん!人型だったお話を!」
私の肩に座ってヒレをパタパタさせている。セラは興味津々みたい。
『ええよ。えーっと、たしかあれは…』
あてがドラゴン型になるちょっと前の事。竜族だけしかいない、というより入れないが正しいんかな?まあ、ええか。つまり竜族の楽園やな。竜族が生きるのに最適な場所があるんよ。そこでとあるイベント的なもんがあってな。細かく言うと違うんやけどイベントでええか。
…とその前にドラゴン型の説明がいるか。この世にドラゴン型は地竜2、水竜2、飛竜1しか存在しないんや。で、そのうちの誰かが死ぬと次の者を決めなければならない。それがさっき言ったとあるイベントになるわけや。んで、イベントの参加は自由制限なし。当然あても参加したで。死んだ者の魂の命令に従い、最後の1人を決め、ドラゴン型になる。
聞いてるだけだと楽しそうやろ?実際はそんな楽しいもんやないで。
1番厄介なのがな、死んだ者の魂の命令や。平和主義者ならええで。でもな戦闘狂が死んでみ?そら、考えるまでもなく大乱闘や。竜族の乱闘、聞くだけでも恐ろしいやろ?まあ、その中であてが残ったんやけどな。場所はコロシアムやったなぁ。寝心地は悪かった。隅っこで寝てたら周りみんな倒れとってな。
「お前が次の地竜だ!」
って言われた時はびっくりしたで。あの戦闘狂よく納得したな。あはは。
でそこからが問題だったんよ。認められたはええけど身体は熱いし、腕はドラゴン型化が始まってるしで急いで人のいないとこまで走ったわ。翼ないから走ったわ。で、気を失って気付いたら、この見た目になってたっちゅうわけやね。
『このくらいでええか?』
「はい!とっても面白かったです!」
テーレって以外と話すのが好きみたい。私が今の話から感じたことは地竜でも戦闘狂がいるんだなぁ〜ってこと。それとよくその状況で眠れたなぁ〜ってこと。私も寝るのは好きだけど、そこまでではない。
「おーい!直ったぞー!」
おじいちゃんがクレーターが直ったことを大声で知らせてきた。グラントとリムが疲れきっているように見える。あとで木の実いっぱいあげよう。
「どうだ?元どおりか?」
『うん、問題ない。よく直してくれた。精霊にはなにかやろうか。待っててな』
そういうと大きな音を立てて、ゆっくりと地面(背中)が上がっていく。
「ちょっと霧化して見てくる!」
霧化するのも久しぶりな気がする。テーレの全体を見渡せるであろう高さまで上がってみた。
「うわ、足が生えてきた」
生えてきたではなく出てきたが正しいな。ゆっくりと伸びていく。爪はぼんやり光っている。テーレって見た目全部硬そうだなぁ。
「シルフィーだけずるい」
「リリィたちも見るの」
「どうしてここまで……っておじいちゃんか」
「そんなこと言ってないでセラちゃんを持て!」
今日は精霊2人が大活躍の日だ。またおじいちゃんに何かしたらしい。
『木ノ実3倍ダゾ』
『2倍デ』
テーレに生えてないかな?
「尻尾は元から出てたんだね」
「あっ!頭が出てきたの!」
これもゆっくり。初めて顔を見るなぁ。
「片眼がない」
「昔になにかあったんじゃない?」
「眼以外にも傷がいっぱいなの」
そろそろ頭も出終わる頃だろう。改めて見るとテーレは亀に似ている。足と頭をしまうあたりが特に。
「降りよっか」
テーレの正面に着地する。
『ん?人魚族の娘。名前はセラと言ったか?その首飾りどこで手に入れたんや』
「これですか?レインの沖にいる水竜サファーさんからです。持ってたらいいことがあると」
『ふ〜ん。あいつがねぇ。よかったね大切にしな』
「はい」
『精霊のお2人さん。ちょいと近くに寄りな』
『ナンダ?』
『お礼だ。あんたらこの実が好きなんやろ?』
『普通ヨリ大キイデス』
『シルフィー、悪イガ持ッテテクレナイカ?』
「いいよー」
普通の2倍はある。それ以上かな?
『食ベテイイカ?』
『ええよ。味はあてが保証する』
『ン〜。美味シイデス!食ベタコトナイデス!』
『ウマイ!』
『せやろ?自慢の品や』
私の手の上で木の実を食べる2人。ちょっとかわいい。
「ねえねえ、その眼なにがあったの?」
『眼?ああこれか。昔、森霊族の男とね。あ、あての方が強いんやからね』
「その人、今はどこに?」
『さあ、あては知らんよ。まだ生きとるんやない?』
「会ってみたいなぁ。あ、最後に1ついい?」
『ええよ』
「背中をやった時痛くなかったの?」
『全然。あんたら誤解してるんかな。あんたらが背中言ってるのは鱗や。鱗でできた甲羅や。だから神経通ってないし、なにされても痛くない』
「私からも。食べないでどうやって栄養を?」
『甲羅に植物いっぱい生えとったやろ?あれにこっちから水を供給する。植物は光合成をして養分を作り出す。その作った養分の一部をもらっとる。だから食事はいらん。今は食べても消化できないやろな』
「退化しちゃったんですね。植物と共存ですか。そのうち木が巨大化しちゃったりして」
『それ戦闘狂の死んだときやな』
「植物って怖いの」
「あーっと、そろそろ帰らないか?マーレイが心配する」
『なんだ、もう帰るのか?つまらんね』
「また来るよ。その時はそっちから声かけろよ?」
『わかったよ。マーレイによろしく言っといてや』
「また会おうね」
「ありがとうございました」
「バイバイなの」
帰り道
疲れが出たのか、老いているからか。おばあちゃんの言うとおり、おじいちゃんは杖が必要になった。
「年はとりたくないな」
「無理しなくていいよ。私たち帰れるから」
「え?それどういう……。あ!置いて行く気だな。おじいちゃん寂しさと悲しさで死んじゃうぞ」
「死なないで。そんなことしないから大丈夫だよ。なんなら運ぼうか?」
「自分で歩ける。大丈夫だ」
帰るとおばあちゃんはおじいちゃんの様子を見て大笑いしていた。
どもども私だ。テーレはでかいよ。でも注目するとこは下の方。爪だよ。ニュクスの言ってた石はこの爪なんだ。これは養分を蓄える役割を持っていて、石って言ってるけど実は食べられるよ。スープにして飲むのが一般的なんだ。以上!私のどうでもいい知識でした。また次回!




