パパママ救出大作戦
お待たせしました。
『オイ!起キロ!イツマデ寝テルツモリダ!』
「うん、あと5分」
『ソンナ時間ナド無イ!』
「んー、なんなのさぁ〜」
『ザックリト言ッテヤル。今日ノ日没マデニ、救出シナイト手遅レニナル』
と言われてすぐに作戦会議の続きが始まった。私達が寝ている間にグラントは情報収集をしていたらしい。さすがだよ、頼りになる。グラントの集めた情報によると日没の頃にリリィの両親が奴隷として売り出される。その前に助け出さなければならない。救出は難しくなり関係のない者まで巻き込んでしまうからね。約午後4時くらいが限界みたい。
ちなみにセラたちは状況を把握済み。既に作戦もほとんど終わってる。音がしなかったから気付かなかったよ。とりあえず、聞いた作戦を整理してみよう。
私とセラで地下水路に潜入。リリィは外で逃走用の馬を用意し待機。2人の救出は私の担当。セラは監視の目を引く担当。グラントは灯りで水路を見えるようにする。リムはリリィのサポートあとは、個人でうまくやれ、だそうだ。作戦なのかな?これ。
「今はまだお昼過ぎてない。すぐに動けばなんとかなる、と思う」
「はやくパパとママを助けてあげたいの」
「馬は2頭でいいよ。多いと面倒だし」
「待って。こんな明るい時間に動くの?」
「外は明るくても、地下は暗いのよ。いつでもいいでしょ?」
「それはそうだけど…。追いかけて来るでしょ?その時は姿がわかっちゃうと思うんだけど」
「それはシルフィーがやっつければいいじゃない」
「簡単に言うけどね、結構大変なんだよ。絶対男が相手だろうし」
「バレットさんより強い人見たことないよ」
「いやいや、いっぱいいるよ。まだ見てないだけでもしかしたら…」
『ナンダ?ビビッテルノカ?情ケナイナ』
「むう〜!グラントには言われたくない!わかった、やってあげる!」
「じゃあお願いね」
ああ、やられた。まあ言ってしまった以上やるけどさ。何人でも相手するけど……なんとかなるか。
午前11時を過ぎた頃
「あそこが地下水路の入り口?」
『ソウダナ。見張リガ2人カ』
「なんか不自然だよね。ここが奴隷商売の場所ですって言ってるようなものだよね」
「どうでもいいから、早く黙らせてきて」
「グラント、目眩しお願い」
『了解シタ』
グラントが見張りの前に出て行く。反応がないから森霊族ではないみたい。
ピカーッ!
「よし、行ってくる!」
シュッと近づいてドーン!
ただのパンチだよ。お腹に。気絶してるからいいじゃん、なんでも。
「雑すぎる気がする」
「骨折してると思うの」
「正直やり過ぎた感はあるけど、運が悪かったってことで」
「この先それで全部片付けそうだね」
「いいじゃん、ほら行くよ!まだ気付かれてないし」
「はいはい。リリィ、待っててね」
「はいなの。お馬さん連れて待ってるの」
地下水路に入ったけど、想像とちょっと違かった。通路には灯りがあるし、どこでも水が流れてるわけじゃない。こんな構造だから利用されちゃうんだろうな。
「結構複雑だね。水がないと泳げないし」
「グラントの情報だと、目的地は水の流れてる通路の端にあるみたいだよ」
『間違イナイ。コノ目デ見テキタカラナ』
「そこまで案内よろしく」
さて、目的地に近づくにつれて見張りも多くなるはず。警戒しとかないと。
「やっと水が見えた。この通路なの?」
『ウム。小サクダガ見張リガイルジャロ』
「あれか。多くない?」
「2人とも見えてるんだね。暗くて見えないよ」
セラは見えてない?そうか、私吸血族だった。忘れてたよ。
「じゃあセラよろしく。この通路から一瞬離すだけでいいから」
「了解。頑張ってねシルフィー」
静かに水に入り泳いでいく。上手くいけばいいけど。
「おい、なんか泳いでないか?」
「ん?どこだよ」
「ほら、あそこ。近づいてくるぞ」
「一応警戒しろ。もしかしたら敵かもしれねぇ」
「この仕事は周りに敵しかいないだろ」
「あ、あのぉ〜……」
「女か?人魚族だな。どうした?」
「ここは…どこ……なのでしょうか」
「ここは地下水路だ。どっから入ってきた」
「私は、その…この街、初めてで。そのぉ……」
「迷ったのか。出口を教えてやる。さっさと帰んな」
「できません!……あ、いや…その。私、暗いのが苦手で。こ、怖いんです」
「そうか、なら俺が一緒に行ってやるよ」
「ありがとうございます。頼もしいです」
「そんじゃ、ちょっくら行ってくるわ」
「早く戻って来いよ。この、うらやまし…」
「何か?」
「なんでも!」
セラが1人の見張りをつれて出口まで行く。他の見張りから見えなくなるであろう距離でセラが動く。
「あの、怖いので裾を掴んでも…いい、ですか?」
「どうぞ。本当に怖がりなんだな」
「ありがとうございます。では」
グイ!ザパーン…
「あらあら、加減を間違えてしまいました。このままでは溺れてしまいます。私の力ではこの人を持ち上げられません。だれかー!だれか来てくださーい!」
「なんだ?あいつ何かやったのか?」
「行くぞ。緊急事態みたいだ」
見張りが次々とセラの所に駆け寄る。セラって演技上手だけど、やる事が怖い。それよりも、まずは中に入らないと。
その後セラは出口でリリィとお話ししていたと言う。
『成功ジャナ。セラハ恐ロシイナ』
「そんな事言ってないで案内して」
『ハイハイ。コッチジャヨ』
中に入ってから、色々な種族の者、奴隷ではないだろうけど珍しい生物などが檻に入れられていた。ひどいことするよね。
『奴ラハコレデ飯ヲ食ベテ生キテイル。金ニ魅セラレタ奴ノ行動ノヒトツ、トモ言エル』
「奴隷なんていなくても生きていけるのに」
『戦争ノ名残トモ言エヨウ』
「で、どこにいるの」
『ホレ、ソコジャヨ。奥カラ2番目右ノ檻ニ男女2人』
「いた。あの2人なんだね。よし、人もいないし行ってくる」
『見ツカルナヨ』
「あなた達がリリィの両親?」
「だれ?ここの人じゃないわね。どこから来たの」
「それどころじゃないの。本人確認がしたい」
「そうだ。リリィの父リミットだ」
「私はリリィの母ミリス」
リリィから聞いた名前だ。水晶で見た顔と同じだし、本人だ。さて、連れ出さないと。
「1ついい?あなた達森霊族だよね?なんで檻を壊さないの?」
「薬を飲まされて、力が人間族以下なんだ」
「歩く事がやっとなの」
「グラントの情報にはない事だね」
『ソコマデハ知ラナイ』
「まあいいや。それじゃあちょっと失礼しますね」
ズズズズ…。
「何をしているの?と言うより、あなたは何者?」
「何って、影に入って檻の中にある影から出て、2人を連れて脱出。ちなみに私はリリィのお友達」
「言ってることがわからないが、助けてくれるんだな」
「そういうこと。静かにしてて、気付かれちゃう」
一旦檻の中へ。そのあと2人と一緒に影に入る。
「大丈夫なのか?俺たちは吸血族じゃないぞ」
「私から離れなければ大丈夫」
そして檻の外の影から出る。
ズズズズ…。
「不思議な体験をしたわ」
「影の中がああなっていたとはな」
「2人とも興奮するのはいいけど、静かにね」
『オイ、大人2人ヲ抱エテ走レナイジャロ』
「うん、どうにかして」
『マッタク、ワシガイナカッタラ何モデキナイゾ。我グラントガ為スハ軽量化。2人ノ重サヲ半減スル』
「何やってんの?壊れた?」
『違ウワ。ヤル内容ニヨッテハ唱エル必要ガアルンジャヨ。壊レテナドナイ!』
「わかったわかった。ありがと、てわけで退散」
部屋を出たのはいいけど、見張りがいた。まだ帰らないと思って油断してましたごめんなさいセラもっと頑張ってよぉ〜!
「おい!何してる!そいつらを下ろせ!」
「い、いやーなんでしょうねぇー。いつの間にか乗ってたーみたいな?」
「このガキ!捕まえろ!」
「やばい。リミットさん、ミリスさん、舌噛まないでくださいね」
「へ?なにをする気ですか?」
決まってるじゃん。全・力・ダッシュ☆
「シルフィー遅いねぇ〜」
「大丈夫なの。シルフィーなら問題ないの」
『ドウヤラ問題大有リミタイデス』
「えっと、あれなんなの?」
『簡単ニ言ウト……マジハエーデス』
「シルフィーのダッシュね………。いやいや、ダッシュねじゃないよ。思いっきりやらかしてるじゃん」
「後ろから追って来てるの」
「すぐに馬の準備!」
『手綱ハ、ワシト』
『リムガ』
「なんでグラントがいるの!?早くない?そんなことより、リリィちゃんはそっちに乗って」
「でも、リリィが乗ったらパパとママで乗れなくなって」
「大丈夫、私の方にパパさん乗せるから。あと、早くしないとシルフィーが投げる構えをしてる」
「それは大変なの!」
ここから投げれば届く!
「すみません!許してください!」
全力投玉もとい全力投げエルフ。
「うわあああぁぁぁぁぁ!」
「い、いやぁぁぁぁ。」
よし、受け止めてもらったし、馬も出た。なんかセラが耐え切れず落ちてるけど拾うのは容易い。
「待て!くそ、ガキだけでも」
「待たないよ。あと、ガキじゃない!」
お腹や背中、顔や足を蹴って殴って黙らせる。
「ぐあぁ、こいつ」
「くそ!ローブで種族がわからねえ」
「この強さは、森霊族か?」
よし、スッキリした。逃げよう!
えっと馬がいいかな?
ズズズ……。
あれ?馬ってこんなんだっけ?角あったっけ?まあいいや逃げられれば、と言っても見張りさん遠いけど。
「シルフィー!拾って〜!」
「手伸ばして!じゃないと拾わな〜い!」
「いじわる〜!」
手伸ばしてなくても拾ったけど。
「シルフィー、これなに?」
「馬を想像したんだけど、なんか違うんだよねぇ」
「たぶん空想の生物だと思うよ」
「どっかで混ざったのかも」
「シルフィーらしいね」
「褒めてんの?」
「くそ!逃げられた!」
「なんなんだあいつら」
「シルフィーとか言ったか?」
「あの人魚族もグルだな」
「なんでもいいから連絡だ」
救出作戦成功!
「いやーどうなることかと」
「危なっかしいよ。成功したからいいものの」
「セラ姉怒ってるの?」
「呆れてるのよ」
「セラ姉許して」
「その呼び方やめて。シルフィーに呼ばれるとムズムズする」
「あの、助けていただきありがとうございます」
「助かったよ。それにしても若いのにすごいなあ」
「いえいえ、友達のためですから」
「改めて名前を言おうか。リリィの父リミットだ」
「母のミリスです。娘がお世話になりました」
「お世話だなんてそんな。人魚族のセラです」
「森霊族の血が流れる吸血族のシルフィーです」
「ん?どっちだ?」
「吸血族が主です」
「そうか、珍しいな。だから精霊と話せるのか」
「はい。ところでお2人の精霊は、どちらに?」
「精霊界に帰ってる。ちょうどその期間にこうなってしまったわけだ」
「そうだったんですね。これからどうするのですか?」
「北の家に帰るよ」
「見たところ、旅をしてるみたいね。よかったら今度家に寄ってね」
「はい。リリィも帰るんでしょ?」
「……え?あ、うん。帰るの」
「そっか、元気でね」
「遊びにいくよ」
「セラ姉、シルフィー、ありがとうなの!」
『私カラモ、アリガトウゴザイマシタ』
「私たちも楽しかったし、こちらこそありがとうだよ」
『サテ、話ハコノクライデ。アノ商人ガナニモシナイトハ限ラナイ。早ク出タ方ガイイゾ』
「そうだな。では、本当に感謝する」
「気をつけてね」
「バイバーイ」
「バイバイなの」
「行っちゃったね。どうする?」
「私たちも出た方がいいと思うよ」
『霊樹ニ報告シニ行カナイノカ?』
「そうだね。戻ろう。面倒だけど」
「見てるんだろうけどね。一応」
『霊樹ヨ。泣クデナイ。ウルサイワ』
『ダッテ、ダッテヨォ。ウゥ、面倒ダッテ、一応ッテ』
『直接言ッテヤレ。マア、聞カナイダロウガナ』
「グラントー、なにしてるの?置いてくよー」
『置イテクナー!」
忙しい忙しい。ほんと忙しいしか言ってませんね、最近。え?じゃあ書くなって?なに言ってるんですか。無理ですよお。楽しいんですから。え?言ってない?幻聴かもしれない。




