ヴァレスフィア家の1日
とある森の奥の家にて
「起きなさいシルフィー!何時だと思ってるの?」
「んん…んぅ……あと5びょぉ………。」もぞもぞ
「5、4、3、2、1、0……待ったわよ、ってあれ?どこ言ったのかしら。起きたのならいいのだけれど。」
シルフィーの朝はいつもこんな感じ。ちなみに起こしに来たのは母ヴァンパイアのメルディー・フォン・ヴァレスフィアだ。
「んみゅぅ……ここは、どこ?」
シルフィーは寝ぼけている。5秒のうちに霧化して移動したことは、まあ、覚えていないのである。
「ん?なんだシルフィー、ここで何してるんだ?」
「わかんない…。」
「飯は?顔洗ったか?歯磨きもしてないだろ。ほら、ついてこい」
シルフィーを連れてく父エルフのバレット・フォン・ヴァレスフィア。どうやらシルフィーはバレットの仕事場に移動していたらしい。
しばらくして、シルフィーがいない。
またか、とバレット&メルディー。
「目覚めが良くないみたいね。起きて2時間はたってるけど」
「嫌でも目覚めるが…。誰に似たのやら」
いつものことだ。ハッハッハッではない。シルフィーはもう10歳になる。さすがに甘やかしすぎな気がする。読み書きはできるし、頼んだ仕事はしっかりやる。そしてかわいい。
「シルフィーの霧化は制御できていないからなぁ」
「教えても制御できないのに、寝ぼけていてできるなんて…それはそれで………ダメよね。わかったわ。探してくる。たぶん、いつもの場所よ」
静かにサラサラと霧化し動き始める。
「メルディーは音がするのにシルフィーは音がしないんだよなぁ…。」
近くの湖
パシャパシャパシャパシャ。なんか泳いでる。人っぽいなにか。うちの娘です。あれでようやく目覚めるみたいで……。幸い湖には危険なものはいないので安心。ただ、私もバレットも泳ぎを教えた記憶がない。ほんとにどこで覚えたのかしら。
「シルフィー!迎えに来たわよぉー!」
「おお、ママー!おはよー!」ザッパーン!
「元気そうで何よりだわ」
メルディーびしょ濡れなう。
「あなた服どこにやったの?見当たらないんだけど」
「わかんない。どこかで脱いだ?」
「それは見ればわかるわよ。……!そういえばあなた起きてからずっと服着てなかったわね」
「そおだっけ?」
「まあいいわ。帰りましょう。バレットが心配するわ」
「おー!」
これで10歳なのだ。もう一度言う10歳だ!
「疲れたわ〜。寝る〜」
「メルディーせめて着替えてくれ!びしょびしょのままでは風邪を引いてしまう」
「着替えさせてぇ」
メルディー甘えモード。こうなってはバレットが面倒を見るしかない。疲れの原因シルフィーはというと…。庭で元気に走り回っている。
「ほら、風呂いくぞ」
メルディーを抱きかかえる。ヴァンパイアが軽いのかエルフが力持ちなのかよくわからないがとりあえず軽い。
カプッ!
「痛ぇ!いきなり噛むなよ。いつも許可とってからしてるじゃないか」
「喉渇いたのぉ。ゆるしてぇ」涙
「はぁ、ほらついたぞ。大人しくしろ!」バタバタ
見慣れた光景だ。メルディーは街に出たら視線を集めてしまう身体をしている。だが、夫婦となるとね…。慣れって怖いね。
その後バレットは無事に任務をやり遂げた。料理のできるいい夫なのです!
ヴァレスフィア家の1日はこんな感じ。
「いいなー、私もパパと……フフッ、いってみただけ」
ヴァレスフィア家の1日の時間すごく短いなぁ。と思いつつ起きるのが遅いだけだねと納得。