シルフィーは一人前?
慣れないことをしてみました。違和感があるかもしれませんが、許してください。
水路の開通から半年が経ち、今日は私がどれだけ成長したかが試される日。パパとママによる試験の日になった。
「今日は私たちがシルフィーにお題を出していくわ。まだまだ未熟だと判断した時点で不合格。つまり、旅には出させない。いいわね?」
「うん。何がきても怖くないよ。どんなお題でも楽々クリアしちゃうんだから」
「ハハハ、気合十分だな。後半バテるなよ?」
「それじゃ、始めるわ。まずは、庭に行きましょうか」
「ここにたくさんの家具が散らばっているわ。それを見つけ出して、私たちの前に集めること。条件は全ての行動を霧化でする。家具は2個以上で運ぶこと」
「速さと正確さ、それと霧化で物を運ぶ器用さが問われるお題だな」
難しいなぁ。でも、できなくはない。
「それでは…………始め!」
サラサラ…。
霧化のコントロールは簡単だけど、物を持つ行動は難しい。加減を間違えると破壊してしまう。でも、弱すぎると落としてしまう。それに加えて傷をつけない丁寧な扱い、最速を狙うスピード、全神経を集中させないと……。
「なかなか速い動きね」
「メルディーと比べてもそんなに差はないな」
「あら、私は普段抑えているのよ?」
「そうなのか」
1つ、2つ……いったい何個あるの?ちょっと高いところから把握しよう。
「手当たり次第に動くより、全体の位置を把握した方が効率がいいと判断したのね」
「基本だな」
1、2、3………20!?多過ぎじゃない?それなりに遠いし、往復してると最速どころじゃない。うーんどうしよう。
「やっと数の多さに気づいたのね。私でもこの量は3分かかるわ」
「3分でいけるのか。今は20秒経過だな」
よし、分けよう。その方が効率がいい。2個運べるように霧を分散していけば1分もかからないかな。
サラサラ…。サラサラ…。
「うそ、分裂した?分裂すると情報が頭に入り過ぎて処理できなくなるのだけれど……。」
「すごいことをやってるようだな。俺にはわからんが」
「ええ。分裂すると力も分裂していくのよ。半分、半分ってね」
「シルフィーの力なら問題ないんじゃないか?」
うーん、分裂したのはいいんだけど…操作が上手くいかないなぁ。全体を見ればできそう。頭だけ高いところに固定して……おお〜どこがどの部分か何となくわかる。このまま一気にやっちゃおう。
「そこまで!20個全部集められたようね。能力については100点ね」
「時間は1分26秒。メルディーは3分かかるらしい。よって合格とする」
「当然だね。1つ目から失敗はしないよ」
「さて、次はバレットと対戦ね」
「ルールは簡単よ。相手を気絶もしくは降参させれば勝利。精霊の使用は禁止。シルフィーは吸血族の能力を使用していいわよ。というか使いなさい」
「パパを倒せばいいんだね?」
「そういうこと。バレット!娘だからって手を抜いたらダメよ?」
「するわけがないだろ。下手したら俺が瞬殺されるよ」
「準備はいい?」
「うん」
「いつでも」
「では、……………始め!」
開始と同時に影に入る。影の中にはパパは手出しができない。隙をつけば!
「甘いな。そこだ!」
蹴り上げ!?速い!
「きゃあ!……なあ〜んてね」
当たる寸前で霧化。これでダメージは通らない。とりあえず下に向かってパンチ!
「遅いぞ!そんなんじゃ当たらないぞ!」
やっぱりパパ速いなぁ。縛るかな。
シュルルル、ビキビキ!
「うーむ、考えが単調だな。これくらいで俺の動きを封じられるとでも?」
ええ!?効かないの?あのときは手加減してた?甘く見られたら困るよ。想定内だからね。
「うおわ、やはり強くなってるな。ぴくりとも動かないな」
やった!後は気絶に持っていけば……。
「なんだ?霧?何するつもりだ?」
悪く思わないでね。正面から殴りあうのは好きじゃないんだぁ。
「むぐぐ、んむぅう……うう、うがぁ…ぁ……。」
ドサッ………。
「そこまで!勝者シルフィー!」
「ごめんね。パパ大丈夫?」
「あ〜、これは完全に落ちたわね。油断するなってあれほど言ったのに。このまま寝かせときましょ。さあ、次よ」
「次は、私と影移動競争よ。ゴールはいつも買い物に行ってる街の入り口。そこにある壁を先に触った方が勝ちよ」
「それだけ?」
「それだけ。スタートの合図はセラちゃんにやってもらうわ」
「よ、よろしくお願いします。ゴールにはお母さんがいるので安心してください」
ここから5キロ。今は正午で、影が1番短くなる時間。ずっと影にいなくちゃいけないから森に沿って行く感じかな。
「それでは、いきます。位置について、よーい。ドン!」
ザァァァ!
「ママ速い!」
「当然よ。何年吸血族やってると思ってんの?」
「ぐぬぬ、積み上げた経験が違うなぁ」
「でも、ちゃんとついてこれてるじゃない。すごいわよ?」
「抜かさないと意味ないじゃん!」
「抜けるものなら抜いてみなさい!」
右に行くとママが塞ぐ。左も同じ。フェイントにもかからない。……ルールに妨害はダメってなかったよね?
ズズズ。行ってらっしゃい。暴れてきていいよ。
「え?ちょっと、遣いじゃない。考えたわね。ルールの穴を見つけるのも策の1つね」
かかった!このまま……。
「でも、まだ足りないわね。もっと考えなさい」
遣いが一瞬で消えた。ダメだったかぁ。だったらこれで…。
『グラント、お願い。力を貸して』
『ショウチ。ソクドジョウショウ。カソク』
「精霊ね。じゃあ、本気で行くわよ!」
うそ!もっと速くなるの?遊ばれてた。落ち着け、落ち着け私。全身の力を抜いて、泳ぐことにだけ専念すれば今よりもっと…足りない。
『グラント、もっといける?』
『イケル。ガシカシ、シルフィーノカラダガ、タエラレルカ』
『できる。私なら大丈夫。だから、お願い!』
『モッテイカレルナヨ!汝、我ニ請フハ速サノミ。ダレモ、ヨセツケヌ速サ。承諾、汝ノ願イニグラントガ、コタエヨウ!』
聞いたことのない詠唱。持っていかれるってなんだろう?
シュン!
「ん?なに?今の?シルフィー?」
「あわわわわわわわ。はやい!はやいぃぃ!」
『オチツケ、コワガルナ。アタマデアヤツルンダ』
「そんなこと言ったってぇぇぇぇ!」
『ソロソロツクゾ!カベニアタリタイノカ?』
いやだ、それだけは洒落にならない。なんとしても止まらなくては。徐々に減速していく感じ。うん、これくらいがちょうどいい。
「あと少し。3…2…1……。ここだぁ!」
ドォーン!
「勝者シルフィーちゃん!」
「やったぁぁ」
「お疲れ様。油断したわ。精霊ってあそこまで力を貸せるのね」
「わしだからできるのじゃよ。って言ってるぅ」
「大変だったわね。では、これにて試験は終了よ。よく頑張ったわねシルフィー!」
「これでいけるんだね」
「そうね。知識も申し分ないし、料理はできるようになったし。あとはセラちゃんだけど」
「私はいつでも行っていいことになっているので、シルフィーが行こうと言ってくれればいつでも」
「だそうよ。よかったわねシルフィー」
「うん」
「では改めて、シルフィー、合格よ!いつでも旅に出ることを許すわ。でも、出るときは言ってね」
「うん。やくそく…す……る」コテン
「あらあら、寝ちゃったわ。こういうところはまだ子供なのよねぇ」
「あれ?誰もいない。また、置いてかれたのか……。そうだよなぁ。俺なんて……。」
このあとパパを慰めるのにママが苦労していた。
やっと旅に出られる。お待たせしました。次回からはシルフィーとセラの旅が始まります。お楽しみに。




