3.
カラLv3:拳闘士
体力250
魔力0
攻撃Lv7
防御Lv10
回避Lv7
速さLv9
スキル
〈採取〉〈〉〈〉〈〉〈〉
パッシブ
《威圧耐性Lv3》《痛覚耐性Lv1》
ウルフLv3:ブラックドック
体力:200
魔力:10
攻撃Lv3
防御Lv5
回避Lv3
速さLv5
スキル
・威嚇・噛みつき・突進・待て
パッシブ
《威圧Lv1》《痛覚耐性Lv1》
んー。威圧は町の中ではオフにするように伝えて、あの堅物おっさん説得するのにはウルフに協力してもらうか。
「よし、そろそろ一度帰るぞ。」
ガウッ!
また影の中に戻るウルフ。
俺もポーションつかって回復する。
暗くなるまではログアウトしておくか。
一度落ちる。
すると携帯に着信。
「なんだ?勇か?」
『あ、空太!言い忘れたことがあって!』
ん?
『いっしょにやり始めような!!』
……それはもっと早く言え…
「悪い…今さっきまで1人でやり進めてた」
電話の向こうでは無言になる勇。そして突然…
『いっじょに…ひぐっレベル上げじだがっだのに”ぃー!』
声をあげて泣き始めた。
「いや、言うの遅いお前が悪い…レベルあげ手伝ってやっから。落ち着け。」
『いっじょに”ぃー「ちょっと代わって」ぁ…』
『空太ー?』
「ん?麗か。なんだ?」
『プレイヤーレベルいくつ?』
「3」
『そんなに上がってないわね。』
「まあ、1時間程度しかしてねーからな。」
『ならすぐに追いつけるわ。ほら、勇。泣き止みなさい。すぐにアバター作成するから、またログインしてくれる?』
「別にいーぞ。俺のあっちの名前はカラだ。見た目は黒髪の灰色の目。じゃ、また後でな。」
電話を切ってため息ひとつ。
世話のかかる勇だ。
アバター作成にはそんなに時間かからんだろ。すぐにログインするか。
しばらくして、見たことのある2人が俺の前に現れる。
女の方が銀髪で、青目。
男の方が銀髪で緑目。
「カラ!やっと合流できたわね!こっちではレイカよ。」
「俺はユウ!カラ!職業何にした?」
麗と勇どちらも剣士だそうだ。
前衛しかおらんぞ。
「俺は拳闘士だ。武器持つのがめんどかったから。」
「何その理由。」
「カラらしいな!」
麗は呆れて、勇は納得。
まあ、そんな反応するとは思ってたよ。
「で?これからどーすんだ?」
「もちろん!レベルあげよ!」
「ベータテスターの頃の実力を取り戻さないと!」
「ちょっと!ユウ!その話は!」
「あ!」
しまったと言う顔で俺を見る。
ベータテスターね。
それでソフトも手に入ってたと。
それには俺は誘わなかったと。
へぇ。
「ベータテスターなら、俺みたいな初心者のアドバイスはいらねぇよな?俺は近くで別行動すっから、気にしないでくれ?」
「…いやっあのっ。カラ様仏様!わざとじゃないんだ!抽選で当たったのが2人で!」
「そうなのよ!私のパパが勝手に登録しちゃってて!取り消しができなくて!」
焦った顔で俺を説得にかかる2人。
冷めた目でじっと見てやる。
すると2人揃って
「「ごめんなさいっっ!!」」
「はあ。まあ、いいよ。さっさと行く…おっと?もう夜か。」
夕方の景色がゆっくりと速度を上げて暗闇になる。月夜が浮かぶそれはまさに夜の景色。
「「夜なら外に出れないじゃん!」」
は?
「なんで?」
「そっか。カラはまだ知らないか。」
「最初の街であるここは、とあるNPCが門番をしてて、そいつをどうにかしないと夜のフィールドには出れないんだ。」
「ベータテスターの私たちでさえも通れなかったんだ。だから、昼間にレベルを上げまくって、強くなって、次の街までそのまま旅に出たんだ。」
「ふーん。ま、俺も試してもいい?夜のうちのクエストあんだよ。」
「うん!ちなみに、このゲームでイベントは1プレイヤーがそのイベントNPCに話しかけてクリアになると、そのまま他の人たちもクリアになるものと、ならないものがあるんだ。」
「このイベントはどっちなのかはわからないんだよなー。クリアした人いねぇから。」
クリアしたら、門番がクリアした人は通す。他は通さないってこともあるのか。
まあ、俺が言えばどうなるかわからんし、やって見てのお楽しみかね。
早速、門へと向かう。
何度も挑んでいるプレイヤーもいるようだ。
だか、全員肩を落としたり、光になって消える人もいる。
光になって消えるのは倒されたと言うことだろうか。
まあ、ウルフにあっても耐えることのできる強者なら、今日は諦めるかな。
もう挑むプレイヤーが居ないみたいなので、今度は俺が話しかける。
「こんちわ」
『ん?またか?』
「まあ、そうだね。通りたいんだけど。」
『ダメだ。弱い者では夜のフィールドに向かっていってもすぐに倒される運命だ。』
「俺もダメなわけ?」
『弱いお前もダメだ。』
…どうやって判断してるのだろう。
「じゃ、試して見てよ。」
喧嘩を吹っかける。
『ふん!一瞬だ!』
槍を構え、俺に向かって突く。
……遅っ
軽く避ける。
『む?』
「遅い」
『はっ!』
「遅い」避ける。
『ぬうぉ!』
「…」無言で避ける
『はぁはぁ、なかなかやるではないか。』
「……遅い。ウルフ、ちょっとこのおっさんに威嚇。」
『む、使い魔か?ウルフといったがブラックドックではないか、そんな弱小の威嚇など…』
GURAAAA!!!!
ピコン!
威圧耐性のレベルが3になりました。
「…おい、今俺に向かってやったろ。レベル上がったんだけど。だが、俺には効いてねぇけどな。」
ガウ…
効かないことに落ち込むがまだ諦めてなさそうだ。さて、門番は…
『(ガクブル)』
青ざめて震えていた。
「大丈夫か?おっさん。」
『あ、貴方様のお道を塞いでしまいもも申し訳ありませんでしたっ。是非ともお通りくださいぃ。』
「おっ!通っていいの?あ、ツレが居んだけど、そいつらもいい?」
『貴方様のお連れ様ならいくらでもお通りくださいっ!!』
「よし。」
ピンポーンパーンポーン!
夜の門の守護者のクリアが確認されました。
このクエストはクリアしたプレイヤーとそのプレイヤーのいるパーティのみクリアとみられます。
繰り返します…
なんか、放送が流れたな。これは全員に聞こえるのか?
「ク、クリアしちゃった…」
「何したの!カラ!」
「え?何って今目の前で…」
「今パーティ組んでなかったから何があったのか見れなかったの!クリアしたプレイヤーが何したかそれを真似してクリアする人がどんどん出てこないようになってるの!」
「へぇ。まあ、簡単に言えば脅しただけ。」
「何か弱点があるの?この人に。」
「ん?弱点とかは知らん。そう言うのは関係なしに脅しただけだ。ほら、早く夜のフィールド行くぞ。」
ユウとレイカにパーティ申請を送り、了承したのを確認した後、おっさんに手を振って門を越える。
おっさんはいってらっしゃいませと冷汗をダラダラ流しながら見送って居た。
「わー…暗いっ!」
「真っ暗よ?!」
「少しは見えるがこれは暗いな。」
状態異常というものではなさそうだが…これは暗い。半径1メートル以内だったらぼんやり見えるくらいだ。他は真っ黒。黒に染まっている。
だが、草むらは一部光っている。
あれが俺の欲しいものか。
「ちょっと離れるが、お前らはどうする?」
「僕は帰ろうかな…魔物に襲われたら対処できそうにない。レベルも心もとないし…」
「そうね…カラの用事はすぐに終わるの?」
「いや、かなり長いと思うぞ?」
「そう…なら、私たちは生産スキルを街で教わりながら時間潰しておくわ。生産スキルあればすぐに朝になってるもの。」
そんなこともあんのな。
まあ、俺は採取しまくるのと、ギルドのおっさんが言ってたことについて調べるくらいだな。
2人と別れ、光っているところへ向かう。
途中魔物が現れたので、ウルフが対処した。近づくと半径1メートルしか見えなかったのに、その近くによると明るくなる範囲が広かった。あかりとして持つのもありか?
早速採取だな。
ピコン!
攻撃レベルが8になりました。
なかなか根が強く張っていた。結構根がちぎられていったのでおそらく品質は低いな。地道に頑張るか。
あんまり抜くと辺りが真っ暗になるからな、ほどほどにして他の草むらを目指そう。
「ウルフ」
ガウ?
あいつ黒いからな、全くといっていいほど同化しやがって…
声を頼りに方向を探る。
耳を澄まし、目を凝らす。
………見つけた。
ほんとお前黒すぎ。
ピコン!
パッシブ超感覚を取得しました。
パッシブ暗視を取得しました。
「おぉ!」
超感覚は予想外だった。
これは便利そう。
目が潰れても探れるな。
「ウルフも暗視を覚えた方が楽そうだぞ。」暗視はいいな。辺りがぼんやりと見えるようになった。
「ウルフ、目をつぶれその間に俺が少し移動する。目を凝らして俺を探してみろ。そんなに離れないから安心しろ。」
ガウ!
返事のひと吠えを聞いて移動する。
ここら辺でいいか。
「よし、ウルフ。俺を探してみろ。そこから動かずにだ。」
ガウ!……フンフン……(ぴこぴこ)
いい感じだ。それをやるとおそらく…
グルゥ……ガウ!!
ピコン!
ウルフがパッシブ超感覚を取得しました。
ウルフがパッシブ暗視を取得しました。
よし。
「よし、景色が変わって見えるな?」
ガウ!!
「じゃ、作業に戻るか。」
これなら全部抜いても大丈夫だな。
月光草があたりから消えたのを確認して、他の草むらへ移る。
それを3、4回繰り返した頃、目の前の月光草が勢いよく地面に潜った。
そう、潜った。
潜った場所はただの地面。何もない。掘ったら取れるのかとも考えた。考えながら上を見ると朝になっていた。
「朝か…そろそろ帰るか。」
ピコン!
プレイヤーレベルが4になりました。
攻撃レベルが11になりました。
防御レベルが11になりました。
回避レベルが12になりました。
速さレベルが10になりました。
ピコン!
ウルフのレベルが4になりました。
攻撃レベルが9になりました。
防御レベルが8になりました。
回避レベルが10になりました。
速さレベルが9になりました。
ピコン!
超感覚のレベルが3になりました。
暗視のレベルが3になりました。
痛覚耐性のレベルが5になりました。
威圧耐性のレベルが7になりました。
ピコン!
ウルフの超感覚レベルが3になりました。
ウルフの暗視レベルが3になりました。
ウルフの痛覚耐性レベルが4になりました。
ウルフの威圧レベルが6になりました。
「そろそろ帰るか。ユウとレイカと合流しよう。ウルフは影の中で休んでろ。」
ガウ!
街の門をくぐると、複数人のプレイヤーに囲まれた。
なんだ?
「君が、クリアしたプレイヤーか!」
なんかめんどそう。
「人違いです。」
「な、なんだと?」
「人違いです。」
門番のおっさんと目が合う。
ビクッ!
『(ガクブルガクブル)』
こいつはダメだ。
「いや、やはり君が…」
「カラ!」
「私のカラに何か用?ヒムロさん。」
なんかいいタイミングで来たな。
「っ。舞姫様?!それに勇者まで?!」
え…何やってんのお前ら。
ユウが勇者なのはわかる主に性格が勇者だからな。
レイカが舞姫とはどういうことだ。
「カラ、朝になるまで外にいたの?」
「気づいたら朝だったんだよ。そろそろ合流しようかと思って帰って来たら絡まれた。」
「ずっと張り込んでたみたいなのよ。悪かったわね。」
「いーよいーよ。で?どーすんの?外行く?」
「行く行く!」
「プレイヤーレベルはいくつに上がったの??」
「ん?4だけど?」
「低いよ!」
「なんで??外で何してんの…」
「んー…経験積んでる?」
「「……」」
納得できない顔してるぞ〜。
「ま、外行くんだろ。早く行こう。」
「舞姫様我々も行きたいんですが…ご同行の許可を…」
「するわけないでしょっ。カラ、早く行きましょっ!」
腕に腕を絡ませられ無理やり引っ張られる。
「おい、歩きにくいっ!引っ張んな!」
「レイカずるいぞ!」
ユウはもう片方の腕を捕まえ、こいつも引っ張る。
オイ!
転けるっ!
「いいからっ!…やめい!」
べしべし!
「あた!」
「いた!」
腕を抜いて頭を軽く叩く。
「歩きにくいっつってんだろうが!まったく。」
2人を置いてさっさと行く。
「「あはは!待ってよ!」」
「舞姫様を…」
「勇者を…」
「「殴った?!アイツ何者だ!!!」」