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特進オタに、恋できますか?  作者: 木尾孝信
絶対受かろう~楽しく過ごそう~
18/26

第一関門

「ふむふむ。なるほど~‼」

勉強は順調に進んでいた。

朝昼放課後、全部俺らの教室でやっていた。

その方が来年が楽だし…

担任に聞いたところ、冬休み前に申請すればいいと言うことなので

早速職員室に申請しにいった。

勿論ついていった。これには訳がある。


「し、失礼します。1年の春波マリアです。特進クラスの編入試験の申し込みをしたいのですけれども。」


「了解。あそこに座ってて」

職員室によくある、長いソファーに二人で座った。

春波は妙に緊張している。口がむずむずしてるもん。


「はい、お乗鞍‼今日はどうした?」

進路担当の先生。八江津先生。よく相談に乗ってもらってる。英語科で進路担当の先生だ。

「今日は僕じゃなくて、こちらの彼女が…」


「彼女ができたのか!?おめでとう‼」


「いや、その彼女じゃなくてsheの方の彼女で使ったんですけれども…」


すると春波が

「彼女第一候補です‼」

話をこじらせてきやがった。


「いい男に目をつけるな~」

「そうかそうか、青春青春」

昭和時代のドラマに出てきそうな『がはは』と笑う先生だ。とても礼儀正しく体育会系の臭いがぷんぷんする。


「で、特進に入りたいってことだが?」

「はい‼1年B組春波マリアです❗よろしくおねがいします‼」

「ハキハキしててよろしい。では、なんで特進にいきたい?」


その時先生の目が変わった。この人は先生としての顔を切り替える。

授業中の顔、部活の顧問の顔、生徒触れあうときの顔などなど。

時間によって性格がまるで違う。メリハリがある良い先生だと、俺は思う。


「私は外部受験を考えていたのですが、秋から転校してきたので特進に入る試験を受けられませんでした。一般クラスだと、勉強に対する姿勢がよろしくないので、やはり今回受けようと思いました。」

「今の評定はどれくらいだね?」


「えっと、3.8です…」

「ダメじゃないか。スタートラインにも立てていない。」

「今はそうです。でも、まだ間に合います。」

「ほう?これからどうあげると言うのかね?」

「確かに自分一人ではどうにもなりません。けど…」


俺の腕を引っ張り持ち上げようとする。


「青児くんが勉強を教えてくれるので、大丈夫です❗」

俺も口を揃えて

「彼女には、今からでも伸ばせることはいくらでもあります。それに、クラスのみんなが協力してくれるというので。ですから、冬の成績まで…」


「そうか、乗鞍が。じゃあ安心だな。頑張りたまえよ。冬休み前にもう一度会おう。楽しみにしているからな。」

がはははと笑いながら職員室の奥へ消えていった。


「失礼しました!」


教室を出て、俺達は胸を撫で下ろす。

「上手くいったな」 「うん!」


今回は上手くいったが、実はあの先生との話は面談で1次試験と言っても良いくらいだった。

ここで明確な目的や受かるまでの計画をはっきりさせておかないと、その時点で申請させてもらえない。中学の時もそうだった。

この話し合いだけで泣き出す人もいたとか…。

そのため、あの先生に信頼を置かれている俺が行ったということだ。

予想通りすぐにオーケーしてくれた。


第一関門を突破した。というわけだ。


次は評定は4.0以上。このままだとすぐにとれるだろう。

放課後、勉強しているときに、ふと思った。

「前まで、友達いなかったってことは一人で帰ってたの?」

「うん」

「じゃあ、なんで前に友達が用事だからみたいなこと言ったんだ?」

ギクッと言わんばかりの表情でこっちを見てくる。

途端に顔が赤くなり。もぞもぞ肩を揺らす。


「…恥ずかしかったの…」

ぼそぼそっと言った

「私が緊張して声かけられなかったって思われたくなかったの‼」

え?緊張してた?春波が?

とてもそうとは思えないが、実は最初に声をかけてきたときも、お弁当を作るって言ったときも、凄く緊張していたのではないか?


「じゃあ、本来春波って、引っ込み思案なわけ?」


「そうよ…だ、だからいじめられてたの!」

なるほど、どおりで弁当の時、得意とかいって指が絆創膏だらけだったわけだ。俺の前では強がりさんってわけか。


「なんだ、俺のために見栄はってたのか?頑張ってくれてるんだなw」


「う、うるさい…」

頬を膨らませて目をそらし、夕日のほうを向いてしまった。その時の顔は、今まで見たことのない不機嫌な顔だった。その時、春波の本心を初めてその場で認識できたような気がした。


せっかく誉めてやったのに、よくわからんよ。

「そんなことしなくても、お前を嫌いになったりしないよ。w」

むしろ本来の春波がみたい。とは恥ずかしくて言えなかった。


「そっか。」

にこっと笑い、窓の外を見ている。何を思っているのだろう。

俺は春波をもっと知りたいと思った。


特進編入篇、突入!

と言ったところでしょうか?


この度は閲覧してくださってありがとうございます。


もしよかったら。一言でもコメントがもらえたら

嬉しさのあまり泣き出してしまうかもしれません。

今後ともよろしく御願い致します。

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