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特進オタに、恋できますか?  作者: 木尾孝信
過去と出会い~勉強に集中できない~
15/26

俺たちは下校途中の公園のベンチに座った。


春波も落ち着き、話せるくらいにはなっていたようだった。


「なくしちゃったのか?」


春波は首をふった。


「似合わないからつけなかっ?」


また首をふる。


「んー…壊れちゃったとか?」


ううん。

とまたまた首をふる。


なくなったわけでも、似合わなかったわけでも、壊れたわけでもない。


俺は他に思い付かなかった。


「私は、すごく嬉しかったよ。毎日着けたい。そう思った。

 でも…」


「でも…?」


「……が……めろって、…うから」


また泣き出してしまった。

よく聞き取れないのだが、どうやら誰かに何か言われた。までは聞き取れた。


「誰に、何を言われたんだ?」


「く、クラスの女子…」


え?

「ちょ…うし…にの…るなっ…て」


ヒクヒク言いながら、言いたくなさそうに伝える。

「嘘、だろ…」

こんな明るい春波が、まさか…


孤立!?


「お前、まさか…」


「私…きらわ…てる。みんな…に…」


やはり、クラスで孤立していたのだった。

どうやら、そのクラスには俺の事をを気になる子がいるらしく

知らない人に目つきの悪い俺に話しかけるのが怖かったらしく、ずっとおどおどしていた矢先、春波が転校して

俺と仲良く話している春波を敵視していたのだとか…

そいつはクラスの中心人物的な感じで、

その子は~春波が虐めた。~

と嘘をつき、クラスで孤立させたらしい。

実質的いじめだ。

しかも、その事を話したら学校にいさせなくしてやる。

とまで言ってきたらしい。

そしてブレスレットを着けてきたのを見つかり、

俺が渡したと話したら…


「捨てられちゃったの…」

春波は大声で泣きながら、俺に向かって

「ごめんなさい。大切にするなんて言ったのに、せっかく青児が買ってきてくれたのに…宝物になるはずだったのに…

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん…な…」


「マリア、大丈夫。お前は悪くない。」


心が


痛かった。


俺に迷惑をかけないように、辛いことがあってもいつも笑顔でいてくれていた。それなのに、俺はやれやれめんどくさいと適当にあしらっていた。とても情けない。男として恥ずかしい。申し訳ない気持ちで一杯だった。よくこんな最低な野郎に付き合ってきてくれたな。彼女の愛は本物なんだな。そう思った。

俺が落ち込んだら春波はもっと落ち込む。


だから…



ぎゅっと


ぎゅっと



きつく

抱き締めてあげた。

冬になり、冷えきった体も傷を負った心も温めるように。

小さな体は意図も簡単に俺の腕に包み込まれた。


「辛かっただろ、苦しかっただろ。ごめんな、気づいてやれなくて。」


春波は黙っていた。驚いているのか、泣いているのか…俺に確認する術はない。


「いいの。私が調子に乗っちゃっただけだから。」


「マリアが調子に乗っちゃいけないなんて、誰も決める権利なんてない。

そんなんで悪いなんて思っちゃダメだ。」


「ありがとう。もう少しこのままで…」

「ああ、わかってる。」


どれくらいたったのだろう。

しばらく頭を撫でていると…

なにやらゴニョゴニョと耳元で聞こえる。

そして

「よし!!」

マリアは俺の肩を掴み。

「ありがとう。もう情けない私は見せないわ❗」


普段の春波じゃないか…。戻ってくれてよかった。

俺はいつでも泣きついていいんだぞ。なんて言いたかったけども。

ここはあえて

「そうかい。そりゃ俺も嬉しい。」

なんて、言ってみる。


会話が一段落ついて、春波を見ているとだんだん顔が赤くなっているのがわかった。

さっきまで、自信満々な表情をしていたのに…

そして、

シュタッと俺の逆がわを向く。

「今日は帰る。また明日…」


顔を見せずにそそくさと行ってしまった。

しかし俺は

「解決策。見つけような‼」


彼女はビクッとしたにもかかわらず、無視して行ってしまった。

長い時間座ったまま腰を捻らせていたので、腰がとても痛い事に気づいた。


「俺も帰るか…」


後になって俺は恥ずかしさのあまり悶絶することになる。



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