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特進オタに、恋できますか?  作者: 木尾孝信
過去と出会い~勉強に集中できない~
10/26

帰り道

バンッ!!

「青児!一緒に帰ろ!」


ドアをおもいっきり開けて入ってきたのは、春波マリアだ。

いつもハキハキと笑顔を絶やさない。スタイルも申し分ない。

細長いツインテールをヒラヒラさせながら俺の前まで駆けてきた。

これだけ見ればめちゃくちゃかわいいのだが…


「回りを見て」

「え?」


そう、特進である俺らは、授業が一時間多いから、一般とは帰る時間が違うのだ。


「すいませんでした~」


テヘッいった顔つきで教室から出ていった。


俺はみんなに睨まれる…。恥ずかしい。とんだ災難だ。

このあほっぷりと騒がしさが無ければとっくに好きになっていた。


授業が終わって、春波は玄関でうじうじしていた。


「遅いっ!!」


「はいはい、悪かった悪かった。」


「適当にあしらうな~‼」


モンハンのリアクションみたいに足踏みする。スカートが短いからパンツ見えそう。

授業なんだから仕方ないとかいったらめんどくさいだろうから、謝ったら今度はあしらうなだとよ。

全くどっちでもめんどくせえよ。

なんて返せばいいんだか。コメントが欲しいくらいだ。


なんだかんだこいつと帰るのは初めてかもしれない。

普通アタックするときは最初に一緒に帰る的なことしない?

春波とは、昼休みくらいしか一緒にいなかった。

 ということで


「なんで、今更?」

一緒に帰るとは恥ずかしくて言えなかった。


「そ、それは…

 と、友達と帰ってたから…今日はみんな用事があるからって…」

手をすりすりしながら言った。


まあ、そんなことはどうでもいい。

俺ははたから見れば、美少女と下校するリア充男子だ。

その高揚感を抱きながら一緒に歩き始めた。


「家はどこなの?」

俺が聞くと

「代々木上原。青児は?」


「反対側。経堂」


俺の学校は小田急線を使う生徒が多い。

じゃあ駅までか。

「じゃあ駅までか」

同じことを思ってた。

違いは声が出たかでないか。


時間は6時前。そろそろ冬にはいるので辺りは暗くなってきていた。

部活帰りの中学生が通りかかって、ふと思った。

「転校してから何してたの?」


きょとん、とした顔で上を向いていた。

「えっとね、それは…」

なぜだろう、一年しか前じゃないのに思い出せないのか?

「あ、部活!私、陸上部だったの!!」


え、じゃあなんで

「でも、怪我しちゃって。それ以来陸上は…。挫折ってやつかな…」

そうだったのか。春波は手をすりすりしていた。


「この学校に来たのは、なんで?」


「青児がいたから…。小学校の時に果たせなかった初恋を、実らせたかった。私、パパの転勤で転校したんだけど、パパに無理いって独り暮らしを。」


「そうなのか」



すごいな


純粋にそう思った。俺は初恋相手がいなくなったら、すぐに別の人に乗り換えた。そんな最低な野郎にとって、ここまで前向きな子は羨ましかった。

ここまでの覚悟でアタックしてる子に、俺は真剣に答えてやらなきゃいけない。

そう思った。


「待つよ。俺を落とすまで。」


昔モテた俺は、若干上から目線になってしまう。

こんな自分が馬鹿らしい。


しかし、横にいる少女は目を輝かせて

小走りで俺の目の前に立ち顔を覗かせた。


「見てなさい‼すーぐに落としてやるんだから‼」


その時の笑顔は自信に満ちあふれた、眩しすぎる笑顔だった。

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