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鏡世界の迷い路  作者: ヒィグナム
8/9

ケース1:九尾の場合

「さてと、そしたらお主も仕事内容を理解してもらったところで、さっそく悩み相談始めるかのう」


「えっ、今からですか?」


大丈夫じゃと九尾ちゃんから太鼓判は貰えたが、オリエンテーション無しにぶっつけ本番で行くのは躊躇われる。


「安心せい!最初の悩み相談は妾じゃ」


立ち上がって、どや顔で胸を叩いてる九尾ちゃんを見て強ばっていた頬が緩む。


九尾ちゃんなら、まだ始めたての初心者に無理難題を言うタイプではないと思った。


「任せてください、俺。頑張ります!」











「のう、妾は威厳のある由緒正しい九尾なのに、どうしてこないな姿になってしまったのじゃ?」


「…………」


「おにゅし、ちゃんと聞いているのか?」


 や、やらかしたと思った。泣きそうになりながら、肩を揺らしてくる九尾ちゃんはとても威厳の欠片もない。


 確か九尾ちゃんが「どうれ、悩みも聞いてもらうなら、妾の秘蔵の酒でも用意するかのう」と一升瓶とツマミを持ってきたの30分前の事である。


 こっちも緊張してて良いですねと相槌をうち、乾杯と杯を交わして飲んでるまでは良かった。


 ……しばらくして泣き上戸で絡み上戸なのとお酒が決して強くないのか3杯目でこの状況だ。


「聞いてますよ、えっと、威厳のある姿になりたいんですよね。威厳……威厳、すみません。直ぐに変えられそうなのは付け髭をつけてみるとか、声を低くしてみるとか、それくらいしか思い浮かばないですね」


「付け髭は論外じゃが、ふむ声かのう。……ゔぁ、ゲホッゲホッ」


「ちょっ、無理しないでください」


 無理やり低い声を出そうとして、勢いよくむせている九尾ちゃんの背中をさする。


「うぅ、もう良いのじゃ。酒じゃ、酒を持ってこい!」


 そこから暫くはやけ酒じゃと意気込む九尾ちゃんに振り回されて初めての仕事内容は終わりました。

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