第7話:何でも屋
「すっごく不本意ですが、式神君が代わりに仕事をしてくれてるので安心しました。ありがとうございます」
「うむ、妾の妖力を入れた式神だから1ヶ月は作動するはずじゃ。さて、お主に仕事の説明をしようとしてた所じゃのう、これ!そないに嫌そうな顔をするでない」
臨時的に休日になったと内心大喜びの所を新しい仕事と聞いて条件反射のように顔をしかめてしまったようだ。
「なんなら、式神を戻して今から残業地獄に落としてやっても良いんじゃよ」
「はい!九尾ちゃん、すっごい元気になりました。もう今なら何でも出来ます」
悪戯に微笑む九尾ちゃんからひんやりとしたオーラを感じて慌てて正座する。
現金な態度と思われても構わない。ふかふかのシーツで見目麗しい九尾ちゃんに仕事内容を聞くのと残業地獄に落とされて生きる屍ルートを辿るくらいなら、喜んで話を聞こう。
それに、正直ワクワクを抑えきれない。今まで常識的にいなかった"非現実"が目の前で起こってそこの世界に飛び込んでいくのだ。
電車で読んだ携帯小説の主人公も異世界に行くときに同じ気持ちになったのかもしれない。
「うむ、良い眼をしておる。お主に頼みたい仕事内容はざっくり言うと何でも屋じゃ」
「…………いや、ざっくりしすぎじゃないですか?いくらなんでも」
九尾ちゃんの言葉にワクワクも減退だ。妖怪相手の何でも屋と聞くと、血生臭い危ない臭いもぷんぷんする。
「安心せい!妾が隣で見ておるからお主を危険な思いはさせぬ」
「そしたら何でも屋って一体何するんですか?」
「うむ、何でも屋じゃ言い方が悪かったな。数多な種類の妖怪の悩みを聞いて解決策を模索して貰いたいのじゃ。じゃから仕事は多岐に渡ってあると思うのじゃ。流石の妾もどんな悩みをそれぞれ持っておるか、わからぬからのう」
九尾ちゃんの言葉は所謂、妖怪のカウンセラーで悩みを解決させるのが仕事みたいだ。
「俺ってそんな悩みを解決させられる人間じゃないですよ、ガッカリさせちゃうかも」
実際問題、悩みが想像できなくて解決できるか怪しい。
「先ずは妖怪と対等に話す事の出来る畏怖も憎しみもなく接することが出来る。それが一番この仕事で大事なのじゃ。お主は妾の様な妖怪を見ても態度を崩さないだろう。獣風情とか差別せんじゃろう」
「いや、そんなの当たり前じゃないですか」
それが簡単に出来ないのが人間じゃと溜め息を吐いて苦笑いしてる九尾ちゃん。過去に色々とあったみたいだし、少し人間に対して恐怖とかあるのかもしれない。
最初に視線に警戒してたぐらいだしね。




