第4話:妖怪の概念
九尾の狐って言葉を説明しなさいと言われてもピンとくる人が何人いるだろうか?恐らく日本でアニメやら小説やらで知識をつけた人が殆んどだと思う……あれ?意外に多いかもしれない。
「九尾の狐って、妖怪の?」
「そうじゃっ!何だお主、やはり詳しいのう。昔は妾と会ったものは、錯乱するか怖がるかでまともに話の通用せんものが多くてな、昔は何回も殺されかけたものじゃ」
からからと朗らかに話す内容が物騒すぎる。
当の本人は何も気にしてない様子だが、うちらのご先祖様がすみませんという気持ちになる。
「ふっ、お主が気にせんでも良い。妾が昔にやった"やんちゃ"は人間が妖怪を怖がるのも至極ごもっともな話なんじゃからな、こ、これ何をするのじゃ!お主!」
得意気と言うか誇らしげに昔は凄かったんだぞと凄む九尾ちゃんが、とてもラブリーで思わず耳を撫でてしまう。ピクンと動く耳もこそばゆいのか身体を震わせる。
「こんなに可愛いのに凄いですね」
「やはり、お主も妾が可愛く見えるのか……?」
可愛いですねと誉めると、さっきまで誇らしげに話してた九尾ちゃんは、さっきとはうってかわってしょんぼりと尻尾を丸めてガッカリしてしまった。
「す、すいません、何か失言してしまいましたか?」
「いや、良いのじゃ。妾も鏡に映った姿を見て随分とちんまい生き物になったと思っておるからのう」
「まぁ、否定できませんね」
「そうじゃろう?……のう、妖怪の概念って何だと思うかのう?」
苦笑しながら九尾ちゃんはいきなり難しい質問をしてきた。
……妖怪の概念、少し考えても簡単に答えの出なかった。でも九尾ちゃんの少し黒と赤色の混ざった視線が真剣に答えてほしいと訴えてくる。
もう少し、真剣に考えてみよう。
妖怪の概念、そもそも妖怪って何だろうか?人ではないもの、普段見えないもの、妖怪を掲げた小説やら漫画やら沢山あるが妖怪自体を考えることは中々無い。
「すみません、俺にはちょっとわかりません」
「良い良い、真剣に妾の問いに考えている姿は伝わっておる。下卑た視線も無くなっておるしな」
茶目っ気たっぷりに、こちらを見てウインクするとコホンと息を吐く。
「これは、あくまで妾の考えなんじゃけどな。妾達、妖怪は怪異を引き起こして人間達を怖がらせるものなのじゃ、そして何よりもこれが大事なのじゃが、どんな形であれ"人間達の記憶に残っている存在"そうで無ければ妖怪は妖怪になれないのじゃ」
九尾ちゃんの言うことは、俺の頭の中で考えているイメージと違って、本当はとてつもなく大きな存在で長い時間を生きている九尾ちゃんがとても小さく感じた。




