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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
8章 罪は私を緋色に染めて
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番外編 Halloween party

本編とは関わりの無い番外編です、十月三十一日なのでやりました。

 アザトースに連絡され、豊と一緒にとても久し振りに学校へ行くと、豪華な飾りつけがされていた。

『ハロハロー、いつも皆の私生活を眺めて笑ってる邪神アザトースだよー。』

校庭に皆が集まると、いきなり校内放送が付き、やたらとテンションの高い声が聞こえてくる。

『君たちが元居た世界で今日はハロウィン、そんな訳で、暇だったからこんな祭りを企画したから日頃の敵対関係は忘れて適当に楽しんで行ってね~』

……校内放送でそれを言ったら校庭に集める意味が無いだろうに。

「眠い……屋上でもいこう」

「邪神礼拝だー!」

……騒めきになんか聞き覚えのある声が混じっているが、面倒だから片方は無視した。


 「……星華さんですか」

屋上に行くと彼女は眠たげにベンチに腰掛けていた。

「久しぶりだね、輝夜姫」

「……その名前で呼ばれるのは何時いつ以来かな、普段は眠り姫って呼ばれてるから」

「本名なんだから良いでしょ?」

「……うん、眠り姫と違って悪意が無いから」

彼女の本名は紅月輝夜こうづきかぐやという……異名の方が強すぎて覚えてる奴は殆ど居ないだろうけど。

そんな彼女の横に座って居ると私も少し眠くなる。

「……減りましたね」

「なにが?」

「人です、この世界に来る前の半分ほどになって居ます」

「そうだね、まあ半分も減ったというより、半分も残っていると言った方が良いと思うよ、私や豊みたいに素の能力が高い奴はそんなに居ないし」

「普通のダンジョンマスターは肉弾戦をしないと思うますよ」

「……そうだったね」

ダンジョンマスターは本来魔物をけしかけるだけだろう、直接戦闘が得意である必要はない。


 「ところで稲神さんはどうしたのですか?」

「ちょっと食べ物買って来て貰ってる……ほら来た」

そう言ったとほぼ同時に豊が屋上の扉を開けて入って来る。

「星華ちゃん、買ってきたよ」

そう言って豊に渡された箱をみて輝夜は呆れたように言う。

「パンプキンパイ……二つも」

言っておくが二カットではない、丸ごと一つ入ってるのが二箱だ。

「輝夜姫もどうぞ」

「ありがとうございます」

豊も一緒に座ってゆっくりとパイを口に運ぶ。

「そういや店番が面白かったよ」

唐突に言われて豊を見る。

「なんで?」

「だって店番がジャックランタンだよ、魔物の」

「……あのパンプキンヘッドか」

顔の付いたカボチャがマントを着て、宙に浮いている魔物だ、基本的に害はない。

「騒ぎ起こした馬鹿が死なない程度に焼かれてたよ」

害は無い……筈。


 どうでも良い事を話していると段々輝夜がウトウトしてくる。

「少し寝たらどう?」

彼女は狂った体感時間のせいで、脳が疲れやすく、直ぐに眠気が襲って来る。

アザトースが何らかの対策はしているのだろうが、体質は変わらないのだろう。

「そうですね、休ませてもらいます」

そういって彼女は私の足に頭を乗せて目を閉じる……この世界に来る前はよくこうやって居た、浮世離れしている者同士、結構気が合うのだ。

「星華ちゃん?」

「今度豊にもしてあげるよ」

そう言って豊の頭をそっと撫でて片手で抱き寄せる。

「今は敵同士ですが、またこうやって一緒に居れるようになりたいですね」

下から聞こえて来た声にそっと答える。

「……そうだね」


 ……そしてゆっくりとした時間が過ぎ、ハロウィンの祭りが終わっても、私は膝枕をしながら、豊と一緒に軽く眠っていた。

こんな所で明かされる眠り姫の本名。

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