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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
8章 罪は私を緋色に染めて
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92話 罪は私を緋色に染めて15

 首筋に温かいものを感じて目を覚ますと、豊が私の首をペロペロと舐めていた。

「……何してるの?」

「いつも星華ちゃんがやってるから、どうなのかなって」

そう言いながらも豊が舐めるのを止めない。

「美味しい?」

「うん」

「それなら良かった」

豊がやるのであれば、私がそうしても文句は言えないだろう、どの道文句など言うとは思えないけど。


 そっと豊を抱き寄せる。

「星華ちゃん、ごめんね」

「何の事?」

唐突に謝られるが、そんな覚えはない。

……寧ろ私が謝る事の方が多い。

「私は……星華ちゃんにあげれる物を何も持ってない」

「気にしなくて良いよ、豊がこうして一緒に居てくれるだけでもう十分なほど貰ってるから」

豊の持つ温もりを、そう言いたいが言葉が出てくれない。

もう面倒になって豊を抱く腕に少し力を籠める。

「星華ちゃん……」

「あ、ごめん、強すぎたね」

苦しくない程度に腕の力を緩める。

……鬼の力は強すぎる、人ぐらいなら簡単に壊せてしまう、役には立つのだが、こういう時には少し不便だ。

「あの……いいよ、強くしても」

「でも苦しいでしょ」

「いいよ、星華ちゃんになら何されても」

明るく笑ってはいるが、その眼には確かに狂気が宿っている……その原因は私だ、豊を狂わせ、壊したのは他ならぬ私自身。

だが、今の姿からは信じられないだろうが、一時豊は壊れなければ精神が死んでしまう程にボロボロになって居た、それを救う為に壊した……まあただの言い訳だな、単に私は豊が欲しかった、だから壊れかけていた彼女を歪めて自身に依存させた。

今の豊は私の命令なら何でも遂行するだろう、それこそ自らを犠牲にしてでも。

だから私は彼女に対し、直接命令だと言わなければ命令では無いと言っている、そうしなければ奴隷に対する命令権と、豊の忠誠心が暴走する事は確実だから。


 「本当に何しても良いの?」

「痛すぎるのは嫌だけど……星華ちゃんになら傷付けられても良い」

「あんまり痛そうなのはこっちが辛いからやらないよ、精々甘噛みとか頬を摘まんだり、弱めの荊でチクチクするぐらい」

……これでも自分で言っててそれなりに痛そうだと思ってるぐらいだ。

「戦場と普段の言動が一致してないね~」

軽くデコピンしてやると、思ったより力が入ったのか、いい音がでた。

「あ~この位なら大丈夫」

そりゃそうだろう、たかがデコピンだ……鬼の力だけど。


 「……冗談は置いといて本当に良いんだよ、星華ちゃんの命令なら一日中裸でも構わないし」

豊ならそのくらい確実にするだろうな。

「流石に寒いだろうから駄目」

「突っ込む所そこなのか……」

なんだか豊が少し寂しそうに見える。

「仕方ないな、じゃあちょっと痛いけど良い?」

「う、うん」

「ありがと」

そう言って右手を引き寄せ、その手首に歯を立てた。

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