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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
8章 罪は私を緋色に染めて
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88話 罪は私を緋色に染めて11

 「アザトース、手を貸せ」

「いや、いきなり手を貸せとか言われてもねぇ」

「……いつまでそうやって適当にとぼける気だ?」

私がダンジョンに帰って来るのを見越して待っていた奴の戯言は無視して、さっさと本題に入る……私もそろそろ、目を逸らしてはいられない。

「分かってるんだろう?何が目的か」

「ハイハイ、分かってるよ、神格の事でしょ、見つかってるよ」

そう言ってアザトースに投げ付けられた物を受け止めると、それは掌に収まる程の綺麗に磨かれた紫水晶の球だった。

「あんたに神格を分けてくれるって酔狂な神は、二人居たんだけどね、絶対にあんたが選ぶと思った方からその神格を封じた球を貰って来た」

「誰?」

思わず発した短い問いに、アザトースは皮肉ったような笑みを浮かべながら説明する。

「ニュクス、ギリシャ神話に伝わる夜の女神さ」

「災厄を産みし者、生命を象徴するガイアと同じ、原初の存在、そして我が子の危機には自ら解決に乗り出す家族思いな一面もある」

「よく知ってるね~」

「神秘学研究部でギリシャ神話は何度も扱った内容だから」

驚いたようなアザトースに呆れながら解説すると、納得したように頷いた。

「で、もう一人は?」

「Deep one」

……いや、ちょっとまて。

ディープワンってあれだ、『深き者ども』の事だ。

だが、その二択なら確かにニュクスを選ぶだろうな。

「それはあの中二病にでも渡しとけ」

「はいはい」


 「……で、これをどうしろと?飲み込めばいいの?」

「いや、流石に無理でしょ、やり方はそれを『自分の精神世界』においてくればいい、普通はやってあげれるんだけど、あんただけは無理なんだよね」

分かってた事だが、出来ればやりたくなかった、自分の精神世界に入ると知りたくない事まで知ってしまう事もあるから。

だが、原因はそれだ、自分の記憶が無いからこそ、そこに入って置いて来る事は他者には出来ない、本人が分からない領域に手出しは出来ないからだ。

「……それは良いが、どうやってこれを精神世界に持っていく?」

「自動で精神世界についてくるよ」


 「じゃあこれを飲んで、精神世界に入れるから」

そう言ったアザトースに金色の液体の入った小瓶を渡される。

「これって、もしかして……」

「そう、黄金の蜂蜜酒です!」

「あ、酒は呑めないから、それにSUN値削れるのは御免だ」

「じゃあどうやって行くのさ」

そうなる気がして、最初から用意していた物を懐から取り出す。

「この魔法の鏡で精神世界に入る」

前にセイの精神に入った時の物だ。

一応メンテナンスをしておいたのが役に立った。

「そっか、じゃあ行ってらっしゃい」

「ああ」

そう言って、精神世界に入った時に地面に体をぶつけないように、ベットに横たわると魔法の鏡を発動させる。

強制的な眠気に抗う事はせずに、潔く精神の世界である、夢の中へと落ちて行った。


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