表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
2章 侵入者と新たな仲間
8/292

7話 復讐劇

 「ここが村です」

「案内ありがとう」

近くに見える村の入り口に目をやる、木で出来た門があり、現在は閉じられている。


 「もしもし、誰か御座いませぬでしょうか?」

声を掛けてみると案の定答えが返って来る。

「何者ですか?」

「旅の芸人でございます、一晩だけ泊めてはいただけぬでしょうか?」

「村長に聞いてきます」

「感謝いたします」

こういう時に何度か演劇部に手伝わされた経験が生きる・・・素でも行けそうだけど。


 暫くして答えが返って来た。

「許可するとの事だ、さあ入れ」

「ありがたく存じます」

開いた門を潜ると村長とおぼしき若い人物が居て、私の後ろを見て一瞬だけ驚いた様子を見せる、ただ常人には解らないぐらい僅かな動揺に抑えたのは流石だろう。

「その子供達はどうなされたのですか?」

「森で迷っていた所を私が拾い、付いて行きたいと言われ、断る理由もないので助手として雇っているのですがどうかされましたか?」

「それなら構いません、空き家があるので使って下さって構いません」

「感謝いたします」

この屑が、汚らわしい。

湧き上がる気持ちを抑えふと思いついたように切り出す。

「そうですね、感謝の証に夜に舞を披露して差し上げましょう」

「それは嬉しい事を、村の中心に舞台を作っておきましょう」

「それでは準備もあるので一旦休ませて貰います」

そう言って私は二人を連れてその場を後にしようとする。

「その武器は?」

言い訳は考えてあるが大丈夫かな、無理ならそれでも構わないのだけれど。

「護身用です、旅には危険が付き物ですので」

「そうでしたか、いえ、見た事もない武器でしたので」

なるほど、そうだったのかここは異世界とは言え元の世界でも刀はあっても匕首がある国は日本しか私は知らない、今後は注意する必要があるかもしれないな。

「これは私が打った物ですので、見た事が無いのも無理はありません」

「とても鍛冶をするようには見えませんが?」

「元々は自分の武器を治す為に習ったのですが、その内に自分用の武器を創ろうと思いまして、私が作ったのはこれが唯一です」

勿論嘘だ、一応鍛冶仕事は出来るから疑われる事は無い。

「それでは夜をお待ちくださいね」

これ以上は危ないと判断しさっさと空き家へと向かった。


 『侵入は成功ですね』

セイが書いたのを見て私は彼女のペンとメモ帳を借りる。

『村の中では作戦について一切話さないように、どこで聞かれているか解りませんから』

二人が頷いたのを見て私はセイに筆記用具を返す。

「それじゃあ、今は休んでいて、私は村を見て来るから」

そう言い残して木造の家を出る。


 さて、この村には何があるのか。

「おや、旅人さん、何を考えているんだい?」

「この周辺の地図が欲しいなと」

「売ってやろうかい?」

「お願いします」

後で取り返せるから問題ない、後で探すより手間が省けていい。

目を見れば解る、こいつは何度か子供を森の中に捨てている一員だ、私の事を窺っている、彼らを連れて来た私を警戒している事から明確だ。

「御代はこれでよろしいでしょうか?」

巾着袋からあるものを一粒取り出して見せる。

「さ、砂金!」

結構大粒の砂金、ダンジョンは周囲の鉱石を集めそれを集積して壁などに露出させる性質があるから簡単に集まった。

「旅の途中で少し貰いましてね、これ一つでどうでしょう?」

「解りました、交換しましょう」

地図を受け取り、砂金を渡す・・・思ったよりも正確な地図だったのは嬉しい誤算か。

「それでは私は少し眠らせていただきます、変な気を起こさないようにお願いしますね、さもないと斬ってしまうやもしれませぬ故」

釘を刺しておくが意味は無いかもしれない。


 小屋へと戻り二人には少し仮眠を取る様に言う。

私も寝たらどうかと言われたが、寝たふりだけをしておく。

数時間が経ち、私もまどろみ始めた頃に、ツンと鼻に刺すような臭いが漂ってくる。

さて、私達を排除する事に決めたか、作戦の決行が早まっただけだ、何も問題は無い。

「さあ、二人とも、起きて」

二人を起こし、武器を渡す。

『火、ですか?』

「どうやらその様ね」

「どうします?」

「問題ないわ」

木造で暫く使われていなかった脆い壁に蹴りをぶち込むと壁はあっさりと崩れ落ちた。

「さあ、一人も逃がさないよ」


 「お前たちは!一体どうやって」

「壁を蹴破ってね」

外には村長が居たので絶望を与える為に真実を教える。

「私はダンジョンマスター夜神星華、この村の住人は一人残らず皆殺しです」

「ひぃ」

逃げようとした村長を背後に回り込んでいたセイが捕まえ、逃げれないように足を斬る。

激痛にのた打ち回っているがその姿に同情している暇の在る人は誰一人として居ない。

「貴方達は私とある程度は渡り合えたんだから結構強いよ、安心して、見た感じ貴方達より強い人は居ないから」

二人が走って行ったのを見て私も動き始める。

取り敢えず民家の屋根は低いので、出っ張りを足掛かりに上り、気配を断って身を隠す。

そのまま屋根伝いに移動して門を開ける為の装置のロープを斬り逃げれないようにする。

・・・門を目指して走っていた人たちの絶望した顔を見ると笑いが込みあがって来る。


 逃げ道は断ったしもう負けは無い。

武器を持って抵抗を試みる住人を軽く弄ぶ・・・本当に遊びにもならない。

峰打ちで数人の足の骨一気に砕く。

・・・あの子たちがやりたいだろうけど多少は殺してもいいよね、いい加減殺したい。

【抜刀術・斬首、公開処刑】

まず一人、首から上を斬り飛ばし、血しぶきを浴びるがそれがこびりつく事は無い、邪神が用意したショップで買ったんだ、それぐらいあってもおかしくはない。

数が多いな、一気に減らすか【ユニークスキル・殺人領域キラーゾーン

十人ぐらいか、流石に数が増えると威圧も鈍るか。

あれを試してみるかな、私が現在使えるスキルは三つ、最後のものを使ってみるか、自分自身を強化するバフ系統の物だけどユニークスキルだけあって効果は高そうだ。

【ユニークスキル、狂気・狂樂の宴】

狂気が満ち溢れて来る、ダンジョンマスターとして貰った邪気と瘴気が私の狂気によって強制的に引き出され、私を包む神の羽衣の様に具現化する。

「死神・・・・・・」

誰かが呟くが気にならない、今は狂気を解放する事が先だ。

【ユニークスキル・殺人領域キラーゾーン

辺りに居た全ての人間が死んだ、百人程度は居たと思うがな、思ったよりも大きな村だったようだ。

その途端に狂樂の宴が切れ、凄まじい疲れが襲い掛かって来る、自業自得か、今の実力では長時間は使えそうにないな、気を付けるとしよう。


 終わったようね、あの子たちの下に戻りましょう。

戻ってみるとエルは殺意に任せて淡々と皆を殺していた。

一方セイは殺すのが楽しくて仕方がないという風だった・・・狂気の濃さでは私の方が上だけど、怨みがある今は彼女の方が狂気が強いみたいね。

もしセイが声を出せたら聞いた人が一生トラウマを抱えるほどの笑い声を上げていることだろう。

その内に殺戮は終わり、生き残りは村長だけになった。


 「た、助けてくれ」

命乞いに耳を貸すことも無くセイは近づき、私から匕首を借りて首を刎ねた。

「舌を斬るんじゃなかったの?」

悪戯っぽく私が言うとあっさりとした答えが返って来る。

『武器が唾で汚れるのが嫌だった』

それもそうか。

「じゃあ、使える物奪って帰るよ」

「はい」

セイも頷き皆で色々な物を手に入れた。

まずは農具をある程度、クワやスキ等は、かさばるから鉄の部分だけを外して持ち帰る、草刈り様の大鎌もあった。

次に食料、干し肉と小麦を少々・・・ダンジョンに部屋を増やして畑でも作るか?いや私には無理だな。

他にも金や銀が少しと硝石が五キロか・・・私には扱えないが心当たりはある。

家具などは欲しかったが山を登ることを考えると危険なので諦める。

残念ながら家畜は居なかった。

それでも結構な物資が手に入ったので私たちはそれをダンジョンへと持ち帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 子供二人に聞いただけで、ダンジョンのできた世界の常識をほぼ知らない主人公による潜入ミッション……こいつは波乱の予感がするぜ! と思ったら、え?子連れで!?しかも10歳くらいの子供より弱い大…
[気になる点] 狂気っていつ誰にもらったのでしょう? 貰った方の狂気はやっぱり冒涜的なものを知ってしまったような感じの狂気ですか? それとも全然違う感じのやつでしょうか? それと瘴気とはどのような…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ