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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
7章 束の間の安寧
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76話 束の間の安寧16

 豊を抱きしめていた腕をそっと放す。

「汗かいちゃったし、お風呂入ろうか」

そろそろ体が動いてくれそうだ……まあ、あちこち痛い事には変わりないが、ゆっくりお湯に浸かればましになるだろう。

「そうだね、私も一緒に入ろうか」

そう言った豊も一緒に城の私が使っている部屋へと転移する。

あまり大きな部屋では無いが、居ない事も多いから、寝られて、いくつか服を置いて置ければそれでいい……あとは机と筆記具ぐらいだ。

「それじゃあ行くよ」

二人分の着替えを持って風呂場に向かう。


 脱衣所で服を脱いで扉を開けると、中途半端な時間だからか他に入っている人は居ない……女風呂だし、ここにはそもそも女の人が少ない上に訓練場や華相院には別であるからここは基本人がいない事が多い。

軽く汗を流すと湯船に浸かる……少し熱めのお湯が心地よい。

隣に入って来た豊を引き寄せると、自分の足の上に座らせて、後ろから抱きかかえる。

そうやって頭を撫でていると、なんだか子供扱いしている様だが、気にしない。

「あったかいね、豊」

「それはお風呂と私を抱いてるのとどっち?」

「豊の方があったかい」

そう囁くと面白いように赤くなる。

豊は基本的に体温が高めだ、逆に私は低めだからいつも触れるとあったかいな~なんて思ってたりする。

そっと首筋に舌を這わせてみせると、不思議そうに聞いてくる。

「星華ちゃんってよく舐めたり甘噛みしたりするけど美味しいの?」

「勿論美味しいよ、甘く感じるし、それにいい匂いがする」

「甘いんだ……」

実の所、血を舐めても美味しいと感じるから鬼としての影響なのだと思う。

「甘噛みは動物としての愛情表現か何かだと思ってたけど、美味しかったのか……」

なんか今聞き捨てならない発言をされた。

「豊、それは私が獣だとでも言いたいの?」

「い、言ってない言ってない、獣だとかそんな事思ってないからね」

慌てる豊の耳元に囁く。

「別に思ってくれてても良いんだよ、私は性質的に普通の人以上に獣に近いと思ってるから」

恐らくタロットカードで私に似合わないのは一番が正義でその次が節制だろう。

逆に似合うのは悪魔や月辺りだろう。

「そんな事は良いからさ、もう少し入って居ようか」

豊が頷くのを確認すると、私はその綺麗な髪を撫でながら温もりの心地よさに身を任せて微睡んでいった。


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