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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
6章 華相院の問題児
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44話 華相院の問題児5

 豊と一緒に面倒な報告を終えて部屋に戻ると橘花はおらず代わりに碧火が座っていた。

「何かあったんですね」

その雰囲気に確認すると碧火は頷く。

「橘花が、妹は・・・帰還の最中に攫われた」

「・・・心当たりは?」

「ある、借金取りだ、橘花がここに入るのに必要な金子は私の俸禄では全く足りず借りるしか無かったんだ、期限が切れてそれを取り立てる為に連れ去ったんだろう」

聞きなれない話ではない、彼女の家はあまり裕福ではないとの情報も入っている。

「場所は」

「スラム街の更に裏路地にある店だ・・・貴女には関係ない事と解ってはいる、だが助けてくれ」

軽く頷いて答える。

「問題があるのは貴方の方とはいえ、今回は助けましょう彼女は友人ですから、行きますよ、案内してください」

「はい」

 

 案内された金貸しの店に入り要件を話す。

「ここに橘花という者が連れ去らわれたと聞いたのですが?」

「ああ、ここに居るが、文句は言わないで貰おうか、こいつは借金を踏み倒したんだ、どう扱おうと問題あるまい」

「その借金の期限は?」

「今日だが、なにか問題でも?」

それを聞いて懐から布の袋を取り出す。

「その借金を代わりに返済しに来た、期限は守っているし構わないでしょう?」

「そいつは出来ねぇ、他人が勝手に払っちゃあこっちも攫った意味がねぇんだよ・・・それにそいつはもう売っちまった、今頃花街で競売にでも掛けられてるんじゃないか・・・いや競売は一時間ほど後か」

「その場所は?」

「この町の地下だ、国も介入出来ねぇ地下遊郭の集まりがある場所だ」

「そうか、もう少し聞いておくとしよう」

そう言って男の頭を掴むと机に押し付け、持って来た短刀を首に押し付ける。

「なにをする!」

「黙れ虫けらが、お前は私の質問に答えろ、さもなくば殺す、私はダンジョンマスター、ニュクス・ナイトメモリーだ」

その言葉はとても聞いたようで男は直ぐに答える。

「解りました、なんでも聞いてください」

「お前は最初から橘花を売るつもりだったのか?」

「ち、ちがっ」

「本当か?」

人の心を壊すような冷たい声でもう一度聞くと蚊の鳴く様な声が帰ってくる。

「・・・最初から売るつもりでした」

「よし、次嘘ついたら指を切る、それで何故彼女を狙った?」

「理由は無い、金を返せないと解っていただけだ」

「正確な競売の場所とそこの元締めについて教えろ」

「場所は花街の者に聞いてくれ、毎回違うから解らない、ただ時間は今から一時間ほど後だ・・・・・・元締めについてだが解らない、殆どの素性が謎なんだ、ただ女で、胡蝶という名を使って居るという事だけが知られている」

「そうか、まあ期待していたほどは得られなかったが問題ない命は助けてやるよ」

「そうか、感謝する」

短刀を放してやると、男はそう言いながら振り返り、私の目を見て青ざめる。

「ま、まさか・・・」

「ああ、助けてやるよ、命だけは」

そう言って空の火薬を取り出すと火を付けて投げ、建物からでる・・・特殊な焼夷手榴弾だ、炎は数十分何があっても燃え続ける、魔法術式の研究成果らしいが役に立つ。


 火を噴く建物を尻目に外に出ると碧火が苦い顔をしている。

「どうせならもっと早く貴女に相談していれば」

「・・・結果は同じです、あれは最初から人身売買が目的でしょうから・・・さて、行きますよ」

「どこに?」

「地下遊郭群の人身売買が行われる場所です」

「取り戻すのですか?」

その問いに私はあっさりと首を振る。

「無理です、皆殺しにするぐらい造作もありませんが橘花ちゃんにはそれまで以上のトラウマになりますよ・・・そんな事をするぐらいならまともに取り返します」

「どうするのですか?」

「彼女を買う」

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