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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
6章 華相院の問題児
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43話 華相院の問題児4

 ・・・流石に無理がある。

豊の弓は彼女自身の物だ、あれは張力が桁違いで常人ならまともに引く事も出来ない、その上引けたとしてもその張力故に的からそれてしまう、私でも当たるようになるには暫く練習が居るだろう。

それを豊が使うと射程は測れない上に貫通力も鉄板を易々と貫く・・・もう銃器だ、弓じゃない。



 ・・・星華ちゃんに勝てるかな、弓の能力は私が上とはいえ何をしてくるか解らないのが彼女の特徴だ、人が普通予想する事の斜め四十二度ぐらいを突っ走ってるからなぁ。

星華が最初に配られた矢は九本、その内の八本を既に使ってしまっている。

それを弓に番えようとしてふと思いついたようにそれを人差し指と中指の間に挟むと振りかぶってなげた。

・・・なんか弓より早いんだけど、しかも正確だし。

素早く躱すと矢は木に当たって砕け散る・・・どんな力だ、殺傷力無いとは言えあんなのに当たったら怪我する。

・・・多分星華ちゃんはあんな弱い弓使うぐらいなら石投げた方が強い。

そのまま弓を放つがやはり当たらない、星華ちゃんは身体能力が高いから常人と同じように考える訳にはいかない。


 星華ちゃんが動いたのは一瞬だった。

素早い動きで十本目の矢を投げるとそのまま突撃して肉薄し、矢を躱した所に手に持って居た存在しない筈の十一本目の矢を直接当てたのだ。

「・・・負けかぁ、仕方ないね、やっぱり予想を超えて来た」

「厳密には私は勝ってない、実践では効果の無い攻撃だから」

「でもルール上は星華ちゃんの勝ち、あの最後の矢はどうしたの?」

「拾った、最初に撃った矢を」

それこそ戦場で役に立つ方法だ、戦場では矢が落ちているのが普通なのだから。



 悲鳴が聞こえたのはその時だった。

「星華ちゃん」

「村の方から聞こえた、急ぐよ」

場所を特定すると凄い速度で進んでいく。


 つくと獣の群れに襲われているのが見える。

「おかしい、こんな事はあり得ない」

そう言うと星華ちゃんも頷く。

「狼と熊が協力する訳が無い・・・厄介だけど私たちを殺す気はない、こんな事をするのは一人しか思いつかない」

「邪神ね」

私が言うと星華ちゃんは溜息を吐く。

「直ぐに終わらせましょう」

「うん」

そう言うと私は木の上で弓を構え、星華ちゃんは小刀をもって走っていく。


 最早小刀を使わず凄い速度で敵対生物の首をひねり殺すのを見て星華ちゃんが向いて無い方に向かって弓を構え、矢を放つ。

「皆は早く城壁内に帰りなさい、私たちも直ぐに帰還します」

声を聴いて皆が逃げ出すのを確認すると素早く敵を殲滅する。


 「報告がめんどくさそうだね」

「そうだね、何とかするよ」

短い会話を終えて私と星華ちゃんは一緒に国の中へと帰った。

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