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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
13章 天軍を統べる者
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205話 天軍を統べる者17

 兵達を集め、私達が聖神国に戻る事を話し、付いて来る者を募ったところ、ほぼ全ての物が付いて来る意思を示した事で、少々計画を変えなければならなくなってしまった。


「私ととよ天音あまねだけなら急いで二日、普通に言っても四日程度の距離だけど……こうも負傷者が多いと二倍……いや、山道という事を考えると少なくとも三倍はかかるか……山犬や、狼、熊なんかは私が威嚇すれば追い払えるけど、それでも犠牲者が出かねない…………私の転移で運べればいいのだが、あれだけ負傷が激しいと転移術の身体への魔力負荷に耐えられない可能性が高い」

「そうですね、腕を負傷しただけなら移動にはさほど支障ありませんが、足を負傷した者も多い……通常なら暫くとどまって回復を待つべきですが……」

「追撃される可能性があるうえ、急がなければ、先に逃げ帰った臆病者共に私達の事を英雄譚にされてしまうとあっては、とどまって居る訳にも行かないか」

 そこに、物資の確認に行って貰っていた豊が帰ってくる。

「豊、どうだった」

「薬に止血帯、消毒に使える強いお酒と、痛み止めの阿片なんかはあるから、死者は減らせると思うけど……食料がほとんどないね、星華ちゃんの指示で回収しておいた、昨日の狼を解体してるからある程度は持つけど……流石に生肉じゃ、焼いても数日で悪くなるよ」

「やっぱりか……流石に負傷者に断食させたら命にかかわるな……私のダンジョンがここと聖神国の間にあるからそこで補給は出来るが、流石にこの人数をまかなえる備蓄は豊の所にも無いし、そもそもそこまでたどり着けるかも怪しい……転移術で物資を運ぶにしても、供給元が不足していてはね……」


 しばし悩んだ後、一つの案が思い浮かぶ……危ない橋を渡ることになるが、可能性はあるか。

「天音、天軍を追い出し、あの国の上層部を叩き潰した後、あの国の支配者になる気はあるか」

「それは……どういう意味ですか」

「そのままの意味だ、少なくとも五年程度はあの国の支配者となる覚悟があるなら、一つだけ方策がある」

「私が支配者に……」

 天音が望んだ事ではない、だが、彼女にとって選択肢は無いも同然だった。

「解りました、それで民が救えるなら」

 天音の答えに私は頷き立ち上がると、外に居た兵士に半日ほどこの場所を離れるから、その間、負傷者の手当てと休息をとるように命令する。


「……さて行こうか、豊も付いてきて」

「どこに行くのですか」

 訪ねる天音に、私は静かに答える。

「……帝国の女帝、マーガレットの下だ、彼女と取引をして援助を頼む」

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