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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
13章 天軍を統べる者
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199話 天軍を統べる者11

 仕掛けられていた地雷や、それに注意を向けさせてからの、頭上から炮烙ほうらくが落ちてくる罠などを潜り抜け、ようやくマーガレットが居る国を囲む、特徴的な城壁が見えてきた。

 ……残念なのは、そこに到達するまでに、少なくない被害が出てしまったことだろう……全ての罠を私が処理するならこんな事にはならなかったのだが、命令によって、罠の位置を知らせるだけで、実際の解除は、爆弾処理の訓練など受けていない、普通の兵士にさせたせいだ。


 ……天軍、いわく。

「其方が全ての処理をする事は当然可能なのでしょうが、それでは軍が軍として成り立つ為に必要が規律が乱れてしまいますし、其方ばかりに功績が集中する事に不満を持つ者も存在する事でしょう……それに、罠の処理には危険が付き物、いざ必要となった時に其方が疲弊していては不利益になりますので、どうか罠の発見のみを行い、報告しては頂けないでしょうか?」

 ……との御進言ごしんげんたまわったので、仕方なしに受け入れ、ついでに釘を刺しておいた。

「あなた方のご忠告は良く解りました。私自身、妬みを買うのは煩わしいですから、そうすると致しましょう……ただ、私が軍を()()という形でのみ参戦致しますが故に、実際に戦場に立つのは、()()()殿しんがりを務めさせて頂く時になるでしょうね」


 ……とまあ、互いに、慇懃無礼ここに極まれりと言わんばかりの話し合いではあったが、平和に落ち着き、私は罠の存在を告げ、処理の指示は天軍がすることになってしまった。

 そして事故は起こった。


「綺麗な水と清潔な布、それと痛み止め、火傷の薬、止血剤を持ってこい」


 危機管理能力が足りない馬鹿が、不用意に近づいた結果がこれだ。

 近付いた瞬間透明な仕掛け糸を足に引っ掛け、爆弾が炸裂し、右腕に大きな火傷を負うことになった……応急処置はしたが、少なくとも傷跡は一生残る事だろう。


 その後はそこまで大きな事故は無かった(木の枝が腕に刺さったり、植物の棘が足に刺さったりしたのを、罠と騒いだ阿呆は結構いたが)……が小さな不運は起こるもので、爆破処理の時に勢い良く飛んできた石の破片によって脇腹を深く切った者等は、処置はしたから戦闘に出なければ問題ないだろう。



 そんなこんなで、結構な負傷者を出しながらも、目的の地へと辿り着くことが出来た。

 あの国を囲むように存在する草原の、バリスタなどの射程外に野営地と陣を築く……この場所は当然向こうから丸見えだが、向こうの兵器の射程からは外れているし、そもそも防衛の有利を捨てる事はしないだろうから、無理に攻めてはこないだろう。

 ……とよなら普通に、向こうの城壁の上からこっちの司令部を打ち抜けたりするのだが……あの子を基準にすると、どこに陣地を築いても同じなので言う事は無い。


 陣地の設置が終わると、バラされていた投石器が組み立てられる……二十台用意されているようだ。

 そして組みあがると、石ではなく、大きな鉄球が装填され……そして二十発の砲弾が城壁に向かって、同時に放たれた。

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