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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
13章 天軍を統べる者
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195話 天軍を統べる者7

 机に向かってペンを走らせ、研究と実験の結果をまとめていると、部屋の外から足音が聞こえる……体重、歩幅、速度からとよであることを理解し、ペンを置いて立ち上がり、部屋の鍵を開ける。

 そして寝台に腰掛けていると、控えめなノック音と共に声が聞こえてくる。


星華せいかちゃん、今、ちょっといいかな?」

「勿論、豊の為なら何時でも時間を作るよ」


 私がそう答えると、扉が開いて豊が入ってくる、彼女は扉を閉めると、いきなり私に飛びついてきた。

 冷静にその体を受け止めて、左手で抱きしめ、右手で頭をなでると、子猫の様に目を細め、私の胸に顔を埋める。


「豊、どうかしたの?」

「星華ちゃん……好き」

「……そう」


 冷めた返事しか出来ない自分に腹が立つ、こんな状況にどう返したら良いのか分からないのだ。

 だが、何か言わなければ。

 

「私は……こういう時にどう言えばいいか分からない、けど、豊は私にとって特別だよ」

「……うん」


 自分でも下手な言葉だと思う、でも記憶から引き出して来なければこんなものだ。

 ……それに、一応気持ちは伝わったと思う。


「星華ちゃんは、私より強いし、賢いけど……でも私は星華ちゃんの役に立ちたいの……それで、私に何ができるか考えてみたんだけど……私はこんなでも巫女だから、その才能を使って星華ちゃんの役に立ちたい……んだけど……」

「……どうかしたの?」

「その……お祓いとか、神降ろしとかするのに必要な道具って、ダンジョンマスターの機能では手に入らなくて……ええと……作ってくれないかな?」

「……ああ、なるほど、いいよ……図とか絵で描いてあるものは有るかな、それがあったらすぐにでも取り掛かれるんだけど」


 まあ、需要がほぼ皆無だから、アザトースもわざわざリストに載せていなかったのだろう……元居た世界には神具の専門店などもあるから、アザトースに直接頼めば手に入るだろうが、正直大して複雑な構造でもないし、作ればいいだろう……神楽鈴は少々面倒な金属加工が必要だろうが。

 そんなことを考えていると、私の問いに少々考えていた豊が顔を上げる。


「ちょっと古臭い絵巻物になら、絵があったと思う」

「それでいいよ、別になくても何とかするしね」


 そもそも私は実物を見たことがある、前の世界で豊の神事を見た時だ、映像記憶が出来る私なら、それを基にほぼ完璧な再現が可能だ、ただ、影に入っていた部分もあるし、細かい模様などに関しては遠目には見えなかったから、簡単なものでも絵が欲しかったのだ。


「さて、それはそうと……天音あまねとどんな話をしたのか聞かせてほしいな」

「……う」


 豊の体をそれまで以上にしっかりと引き寄せ、耳元で囁くと、豊の頬が目に見えて赤く染まる。


「勿論ある程度、どんなことを話したのかは推測できる、でも、やっぱり聞いてみないと分からないからね」

「……分かった、笑わないでね」

「はいはい、微笑む事はあっても、嘲笑はしないよ」


 そういうと、豊は諦めたように、先ほど起こった事を話し始めた。

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