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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
13章 天軍を統べる者
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191話 天軍を統べる者3

 星華せいかさんと共に部屋に戻ろうとする、とよさんを呼び止め、話があると言って、星華さんには帰ってもらった。

 不承不承ながらも承諾してくれた彼女を、人目のない私の自室へと案内する。

 明らかに怪しい事をしているとは自分でも思うのだが、彼女は疑う様子もなく部屋に入った。


「それで、天音さん、何の用?」

「その……ですね、星華さんの事について教えていただけませんか?」

「……惚れたの?」

「違います、あの人の行動を見ていると明らかに常人とは違う点があるので、何かあるのかと思いまして……」


 彼女は明らかに普通の人とは違う点がある、具体的になにとは言えないのだが、立ち振る舞いなどを見ていると違和感を覚えるのだ。


「星華ちゃんが変わり者なのはいつもの事だと思うけど……私はちょっと猫っぽいって思ってる」

「猫、ですか」

「うん、星華ちゃん朝に弱いし、明るいとこで眩しそうにしてるし、耳が良いからだろうけど、煩いって言って寝室に時計を置かないし、好き嫌いはあまりないけど、食べない物は徹底的に食べないし……あと人混みには基本的に近づかないし、狭くて静かなところで本読んでることも多いし……」

「……確かに、猫みたいですね」


 恐らく彼女は感覚器官が非常に鋭敏なのだろう、だから明るい所や人混みは好まないし、時計も歯車の音ですら騒がしく聞こえるのだろう……なにか、引っかかる、どこかでこんな症状を聞いたことがある気がする。


「他に、貴女が気付いた点はありませんか?」

「他ねぇ……あ、そうだ、物凄く記憶力がいいんだよね、今までに読んだ本ならタイトルを言えば、現物無しに読み聞かせしてくれるし、聖書の内容だって一字一句覚えてるらしいし……そういえばあまり弾いてる所は見ないけど、一度聞いた音楽ならピアノで演奏できるって言ってた……多分嘘じゃないと思う」

「それは……」


 もはや凄いなどという状態を遥かに超越している、かつて神童と言われた作曲家モーツァルトは一度聞いただけで曲を暗記したというが、それと同等以上の能力を持っているのだろう……彼女の普段読む本を見ると、常人ではあらすじを言うのが精一杯だろうに。

 ……もしかして彼女は……いや、そうとしか考えられない、だが、断定するわけにはいかない、失礼を覚悟で聞きにいかなければ。


「……なにか、分かったの?」

「はい、ですが、本人に聞かなければ明言できません」

「一緒に行ってもいい?」

「……出来れば一対一で話させてください」

「そう、分かった、後で星華ちゃんに聞くから良い」

「ありがとうございます、貴女はこの部屋でくつろいで下さって構いません」


 豊さんに、そう告げ、部屋を出て、あの人の部屋へと向かう。

 これに関しては聞いておいたほうがいい……無意識のうちに彼女を傷つけることが無いように。

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