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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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187話 黒い翼23

 天音あまねの協力を得てから数日がたった。

 その間に、いくつかのダンジョンを潰して集めたコアは2桁に上った……基本的に奪ったダンジョンマスターに関しては()()しておいた。


「……やはり、難しいな」

「ん、星華せいかちゃん、どうしたの?」

「ああ、私達の目的達成の為には、まずこの戦争を終わらせる必要があるよね?」

「うんそうだね、命令権握られてるし」

「そう、だけど、出来る限りマーガレットの陣営に被害を出したくない……けれど、そうすると天軍への被害も小さくなって、その後がやり辛くなる」


 まあ、天音の考えにも出来るだけ添いたいから、最悪天軍への被害はそこまで重要でもない……どうせ復活するし。

 その考えに関しては、とよにも話している。


「ま、天軍は良いにしても、マーガレットの陣営への被害がどうしても大きくなりそうなんだよね」

「……星華ちゃん一人でも十分国を相手できるのに、天使もいるもんね」

「……豊、いくら私でも単騎で国を相手するのは無理だよ」


 ……死霊術を使う前提なら可能かもしれないけどね、要するに一人だと護衛と攻撃の両立が出来ないだけで、それが何とかなったら出来る可能性はある……危険だからやらないけど。


「でも、星華ちゃん、うつほさんも、結構身体能力高いし……ええと、元太公望だっけ、の碧火さんも居るんだし何とかなるんじゃないかな」

「うん……空ならある程度は戦えそうだし、碧火の軍事経験も侮れないね……」

「じゃあ、なんでそんなに不安なの?」

「空がどれだけ鍛えていても、この短期間では私に勝てる程の単騎での戦闘能力を身に着けるのは難しいし、それに私の能力は数の暴力を制圧するのに優れているんだよね」

「あっ、そうか、星華ちゃんがやたらと強すぎるんだ」


 いくら私の戦闘参加が防衛戦のみと言っても、向こうが攻め込みにくいのは事実だし、逆にこちら側は私一人を防衛に残して気軽に攻め込める……この差を埋めるのは中々難易度の高い事になるだろう。

 だけど、現存の聖神国の戦力だけで攻め込んだ場合、今度は勝てなくなると思う……私があっちに残してきた研究のデータは、大地に流れている龍脈と呼ばれる莫大なエネルギーを汲み上げて利用する事を前提とした、対軍用の魔導攻撃兵器や、攻撃や、侵入を防ぐ障壁などの設備に関するものだ……それを完璧に活用されたら、設計者の私でも突破できるか怪しい。

 ……正直やりすぎた感じはするけど、あれに関しては、私を対策する前提の研究だったからまあ、そうなるのは仕方ない。


「それなら、聖神国側の圧勝には、ならないんじゃないの?」


 説明を終えると、豊が素直な感想を言ってくれるが、案外そうもいかない事になっている。


「実際に使うと攻撃兵器に関しては、近距離に対する電撃くらいしか実用的なものがなくてね、突撃して壁を壊そうとする相手を薙ぎ払うのには向いてるけど、遠くに攻撃できる術は無いし、障壁に関しては、転移ですら妨害する優れものだけど……反撃する為のものじゃないからね」


 文字通りの対自分用に設計した結果、防衛力はあるが、決定的な火力に欠けてしまった……もう少し時間があれば、攻撃に特化した物も設計できたのだが、泣き言を言っても始まらない。

 いや、攻撃用のも設計はしたのだが、想定があまりに大規模すぎたのか、攻撃範囲が狭すぎたり、まともに当たらなかったりと散々な結果に終わってしまった。


「星華ちゃん……ドンマイ」

「……言わないで、悲しくなる」


 まあいいか、過ぎたことを言っても仕方ない。


「さて、これからの事だけど、豊にも働いてもらうよ」

「うん、何すればいいの?」

「主に、天軍が攻め込む時に、私の指示通りに戦況を操作して」

「……無理、って防衛戦だけの参加じゃないの?」

「大丈夫、私の指示通りに行動すればいいから……それに、防衛戦にしか参加しないって条件は、私だけだからね」


 ちゃんと、()()って、限定して、契約しておいたからね、私の勢力に属している人は普通に動けるようになっている。


「星華ちゃんって……凄いね」

「悪賢いって意味ではね」

「……そうだね」


 豊も否定は出来ないようだ……まあ、自覚はあるし、役に立つのだから気にはしないけど。


「そんな訳で、豊は弓の手入れをしっかりしといてね」

「うん、分かった」

「それじゃあ……おやつの時間にでもしようか」


 そういって私は、冷蔵庫からシナモンクッキーとよく冷えた緑茶を取り出した。

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