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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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182話 黒い翼18

 突き出された刃を躱し、その体を蹴り飛ばそうとするが、蹴りを放った足がスライムでできた体に沈んでいくのを見て、仕方なく衝撃波を飛ばして吹き飛ばす。


星華せいかさん、大丈夫ですか?」

「問題ない、だが、気を付けろ、スライムのように獲物を溶かして捕食する能力を持っているようだ……暴食の権能持ちの私には効かないものだが、天音あまねには有害だ」


 溶かす能力はそこまで高くないようだが、最初は力を押さえておいて、問題ないと思わせておく作戦の可能性もないとは言い切れない。

 なんにせよ、こいつは面倒だ。


「こいつ、体になっている、小さなスライムの群れが互いに絡み合い、筋線維とかの動きを模倣しているみたいだ……骨にまとわりついているスライムと油断はしないほうがいい」


 しつこく繰り出される攻撃を匕首で受け流し、体に突きを何度も入れるが、全く効いた様子はない。


「星華さん、下がって!」


 慌てて後ろに下がると同時に、青白い光を放つ天音の()が突きこまれ、小さな雷のような破裂音が数秒間響き渡る。

 それでも、表面が黒ずんで、剥がれ落ちた後には、前と何ら変わらない様子で、そいつはそこに居た。


「……そもそもが、微小な粘液状の魔物の集合体だから、物理は効果が薄いし、魔法であっても表面のごく一部が犠牲になることで被害を抑え、分裂によって失った分を補完する……どうしようか」

「随分と緊張感が薄いですね」

「最悪転移で帰って、対策してくれば、どうにでもやりようはあるからね」


 何時でも逃げれるという事実がある分、考えの幅も広がる。

 ……あれを使ってみるか。


「天音、下がって居ろ」


 転移の応用で、自室から飛ばしてきた()()を振り上げ、魔力を通して叩きつける。


「食らえ、雷公鞭……もどきだ」


 以前作った奴は、碧火へきかが持ったままだが、一応それの改良版にあたる。

 前回よりも攻撃の範囲と継続時間を減らした代わりに、威力を上げた代物だ……封神演義原作と比べたら威力は低いかもしれんが、十分な破壊力のある代物になっている……のだが。


「……うわぁ、まだ生きてるよ」


 体を構成しているスライムの、約半数は消し飛び、骨も半身が炭化しているが、それでも動いていた。

 今度は威力を高めるために、三十センチほどの尖った鉄の棒を転移で数十本取り出し、それを投げて体に突き刺す……これで放電で受ける被害は増えるだろう。


「天音も手伝って」


 天音と共に強力な雷撃を叩き込んで、骨ごと消し飛ばす。

 最後に、生命にとって毒となる、私の瘴気を使って、僅かに残っているかもしれない、微細なスライムを死滅させた……この方法は、固まっている状態だと、中の方には効果がなく、表面の死滅と分裂による再生が堂々巡りになりそうなので、使えなかった。



「さて、ボスも倒したし、終わらせようか」

「……はい」


 私は、天音を隣に、マスタールームへと続いているであろう扉を押し開けた。

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