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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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181話 黒い翼17

 天音を連れて目的のダンジョンへと転移してきた。

 深い森の中にある、その洞窟の入り口は侵入者を待ち構えるように、その口を開けている。


「……ここですか」

「ああ、不死者が大多数を占める厄介な領域になっている、気を付けてくれ」


 少し中へと入ると、直ぐに骸骨共が群がってくる。

 だが、私達には大したことの無い相手で、軽く薙ぎ払い、再生しないように、燃やしながら奥へと進む。


「このスケルトンは……」

「直接召喚したのもいるだろうけど、侵入者の物もあるみたいだね」


 骨に焦げ跡があるものは、きっとそうだろう、死体をスケルトンにするためには、当然骨でないといけないから、肉を燃やして骨を集めたのだろうな……一体のスケルトンに数人分の骨を使っているのは、破損したときの修理や、骨を得るときに壊れたものを補ったからだろう。


「……そうですね」


 悲しそうな天音あまねに苦笑し、軽く返す。


「まあ、ここの屍達に魂の反応は無い、ただ魔法で動いているだけだろう」


 本当に霊を憑依させるのは、魔力も多く必要だし、維持にも魔力を使う……その上暴走しやすいから、上層の雑魚にはやってないだけで、下層に進めば、そういう奴もいるかもしれないが。



 順当に奥に進み、下の階へと降りると、妙な敵が現れだした。

 上半身が人で下半身が馬の骸骨や、腕が六本ある人間のようなもの、人の足が蜘蛛のように八本生えていたりといった具合だ……まあ、全て骨だけだから、大して強いとは感じないのだが。


星華せいかさん、これは一体……」

「死霊術で作った、キメラもどきだろうね、足が多いのは安定性が高いけど、それだけだね」

「ゾンビのほうが耐久力もありそうですが……」

「そうだけど、まあ、その分動きが遅くなるからね」


 肉がついている分、ゾンビのほうが耐久力はある、だが、当然重量が増えて動きが鈍くなるという弱点もある……ゾンビとして使うなら、動きが鈍くても問題ない程の巨体を持つ、ドラゴンの様なものの方が良いだろう……どのみち時間がたてば、腐り落ちて骨だけになるけど。




 その後も順調に進み、ボスが待ち構えていそうな雰囲気の、大きな扉の前にたどり着く。


「……行こうか」

「はい」


 扉を開けると、部屋の中には、一つの骸骨が()()()()()()()()


「これは……勘弁してくれ」


 これはどういう事だと言おうとした瞬間、床から非常に小さな、体躯の透き通った虫のようなものが出てきた。

 一ミリにすら、届くことの無い程小さな虫は、壁や天井からも次々と現れ、骸骨に群がっていく。

 やがて骸骨を完全に覆い尽くしたと思った時、()()が立ち上がった。


「星華さん、これはまさか……」

「骸骨を器にして、動かすあの虫の群れが、このダンジョンのボスなんだろうね」


 虫といったが、実際には、非常に小さいスライムに近いようだ、それらが骸骨を器にして、粘菌のように一つの意志を持った群体として動いているのだろう。

 そうしている間に、骸骨が、地面に落ちていた、一メートル半はありそうな両刃の直剣を拾い上げる。


「やるしかないね、天音、行くよ」

「はい」


 私たち二人も武器を構え、臨戦態勢に入る……そうして、このダンジョンのラスボスとの戦いが始まった。



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