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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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180話 黒い翼16

「では、いきます!」


 天音あまねが、あの先端の尖った棒状の武器を右手に持ち、一礼すると、素早い突きを放ってくる。

 その先端を匕首で受け流すが、先端の軌道が弧を描き、喉へと迫ってきたので、後ろへ半歩下がってやり過ごす……長物を片手でここまで使いこなすのは流石だ、常人なら、強い慣性のせいで、ここまで巧みには操れないだろう。


「天音……その武器の名前を教えてほしいな」

「名前は特にありませんが、端的に()と呼んでいます」


 なるほど、言われてみれば、その先端が尖った金属の棒は巨大な釘に見えるな。


「……受けに回り続けると、私でも反撃できないな、こっちから攻めさせてもらおう」


 覚悟を決めて踏み込み、攻勢に出る……匕首は盾代わりにして、空いた左手を使った掌底や当身などの体術を中心に攻める。

 ……天音の()は、先端の威力は高いが、距離さえ詰めてしまえば恐れることは無い、本来なら電撃の反撃があるが、この訓練では使わないことにしているから問題ない。


「……火よ、集いて敵を穿て」

「おっと、あぶないな」


 攻め切れるかと思ったが、魔法の詠唱が入ったので、離脱して距離を取り、火炎弾を匕首で叩き落す。

 ……電気を流すという武器の性質上、両手で持てないから、強制的に片手が開くが、それを魔法を発動するために使うか……私が片手を体術に充てるのと発想は同じか。

 実際、詠唱は無くても使えるが、あったほうが威力が強い……もっとも、天音も大分簡略化しているが。


「実戦ではこれに電撃が追加されるのか……面倒だ」

「貴女が面倒というのであれば、戦術としては十分ですね」

「ああ……だが、方法がないわけではない……荊、我を守れ」


 最早詠唱ですらないが、それでも出現した二本の触手が、自動で私を守るように蠢き出す……ニャルラトホテプを食った影響で、もう触手と大差ない速さと正確さを持っている。

 それらを使い、天音の武器を絡めとって、首に軽く手刀を当てる。


「……大人げないですね」

「まあね、でも訓練にはなっただろう」

「はい」



 少し休憩をとることにして、水分補給をしながら地図とメモ用紙を見ていると、天音が興味を持ったようで、訪ねてくる。


「それは?」

「見るかい?」


 そういって地図を見せると、天音はそれがなんであるかを悟ったようだ。


「ダンジョンの場所ですか」

「そう、その中でも特に、人間に敵対的なダンジョンをまとめたのが、このメモだ」


 天音としては見逃せないし、私としても邪魔になる可能性のある奴は対策しておきたいから、このリストは特に重要だ。


「天音、協力してほしい」

「何でしょう?」

「既にダンジョンの外に、軍勢を複数回にわたって送り出しているダンジョンマスターが三十ほど居る……不安分子は排除しておきたい、協力してくれ」


 天音は少し考えるが……その答えは決まっていた。


「解りました、人に積極的に害をなすものを見逃すことは出来ません……それで、ダンジョンバトルで支配下に置けばよいのでしょうか?」

「いや、ダンジョンバトルは使わない……直接ダンジョンを攻略して、ダンジョンコアを奪い取る」


 ダンジョンコアがなければ、それ以上何かすることは出来ないから、その方がいい……動きもばれにくいし。


「了解しました」

「ああ、さっそくだが一つは早急に対処する必要がある、ついてきてくれ」

「解りました」


 さあ、以前は見逃したが、今度は叩き潰す……私の計画を推測しかねない、あの()()()は邪魔だ、さっさと引導を渡すとしよう。

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