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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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179話 黒い翼15

 天音あまねの命令の、兵士たちの訓練を一時中断し、少しの間休憩をとる。


星華せいかさん、どうでしょうか?」

「兵士の事ならそうだな……私が訓練する意味は無いな」

「それは、合格という事でしょうか」

「いや、兵士を止めたほうがいい……マーガレットの所の軍なら、四分の一以下の人数で、同等以上の戦力になるだろう」


 数だけは多いのだが、質が非常に悪い……戦力は多くなればなるほど有利だが、数が増えるにつれて、有利さの度合いの上昇は控えめになっていく、遊兵が多くなるからこれは当然と言える。

 質の悪さに関して、説明するのは簡単だ、徴兵によって集められた兵だから、正直言って武器を持った一般人に過ぎない……でもって訓練にやる気がない上、危機管理能力も低い。


「……もう少し何とかなりませんか?」

「実力自体は底上げできるけど、()()()患者は無理」

「……なんですかそれ」

「中二病の亜種みたいなもの、何があっても自分だけは助かるし、成功できると謎に信じてる阿呆の総称」

「ああ、実力の無い人に限って、そういう所ありますよね」

「普通の生活なら持つことの無い、強力な武器を持つことがその原因かな……あと訓練だけで実戦経験がない人とか」


 後者は仕方ない、ルールに守られた訓練しか知らなければ、現実を甘く見るのも当然と言える。


「……治療法はあるのですか?」

「劇薬でよければ」

「具体的には?」

「私が本気で叩き潰して、実戦だったら死んでたって程度の事を何度も経験させる……心が折れるかもしれないし、精神に傷が残りかねないけど」

「……もう少し弱めのはありませんか」

「座学で戦場の厳しさを教える手もあるが、阿呆は体に叩き込まないと覚えないと思うな」


 座学で語った所で、自分だけは大丈夫と信じている奴には効果は無い、だが、痛みと恐怖で刻み込めば、いい感じに自信を失ってくれるだろう。


「星華さん……劇薬の投与をお願いします」

「了解、で、天音の訓練はどうする?」

「無論、優しくしないでください」

「電気は使わないでほしいんだけど」

「解っています」


 まあ、私としては、電気を使ってもいいんだけど、それだと、ひたすら逃げ回りながら遠距離の攻撃魔法や荊、投擲武器で戦うことになるし、それはなんか違うからね。

 ……まあ、本気で殺しあうことになったら、すごい泥仕合になるだろうけど。


「では星華さん、やりましょうか」


 天音が立ち上がって、あの独特の形状の武器を軽く振るう、何気ない動作だが、それでも風を切る音がする以上、先端はそこそこの速度になるようだ。


「相変わらず、気が早いな」

「貴女が、適当なだけでしょう」

「ああ、違いない」


 私も苦笑して立ち上がり、匕首を抜いて軽く空を薙ぐ、妖刀も、私にとっては壊れない武器という程度だが、非常に力の強い私にとっては非常にありがたい……質の悪い武器だと、力が強すぎて簡単に壊れてしまう……扱いが下手だと言われればそれまでなのだが、そこそこ使える自覚がある以上、丈夫な武器を使うしかない。


「さて、やるか」

「お願いします」


 兵士は雑魚だったが、天音はそうもいかない、それなりの才を持ち、鍛錬を欠かさない性格なので、実力は非常に高いと言える。

 ……まあ、楽しむとしようか。

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