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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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178話 黒い翼14

 部屋に戻ると、とよはすでに寝ていたので、そのまま休ませておくことにして、冷蔵庫から作り置きしていたベリータルトを取り出し、紅茶を入れて食べながら、天音あまねを待つ。

 半分程食べたところで、扉が叩かれ、天音が入ってくる。


星華せいかさん……食事中でしたか」

「ただのエネルギー補給だから、気にする必要はないよ……少々魔力を使いすぎたからね」

「そうでしたか……話は変わりますが、天軍は相変わらず面倒です」

「そうだね、あの面の皮の厚さは、いっそ尊敬するよ」


 天音に対しては、他の分隊の存在を察した状態で、国に戻ったことを敵の撃破命令違反として咎めている。

 そして、私に対しては、天軍に他の分隊の存在を伝え、指示を仰がなかった事を、越権行為として咎めている……天音には、指示を出す権限がある筈なのだが、多分天軍は無いと言い張るだろう。


「まあ、あまり気にするな、あの状況ではあれが最善だった」

「そうですね……私に対して誤解を招く言い方をしたのは、どうかと思いますが」

「天軍を出し抜く為さ……こういう小さい嫌がらせの積み重ねが、彼らの勢力を揺るがすことにつながる」


 ……実際、天軍は私の越権行為を見逃すしかない、下手に私に罰を与え、私の行動を制限した場合、人質を取ってまで私を味方に引き入れた意味がない……天軍が、私の戦力を必要としている以上、ある程度の行為は眼を瞑る筈だ。

 だが、それは同時に天軍の権威の失墜に繋がる……自身の命令に従わず、越権行為を黙認するしかない者を囲っては、それは絶対に避けられない。

 だから、私がここに来た時点で、天軍の支配が破綻し始めるのは決まっていた。

 ……まあ、それだけで天軍が衰退することは無いだろうが。


「貴女は……この国をどうするつもりですか?」

「とりあえず天使には消えてもらう……その為には民衆に天軍の闇を直視してもらわなければならないだろうな……後は、人間次第だな」

「下手すると、完全に世紀末になりかねませんね」

「そこは……天音が何とかすればいい」

「解りました」


 ……承諾するんだ、まあ、天音の性格ならそうなるだろうな。


「さて……本題に戻ろうか、私の罰はなんだ?」

「そうですね……この国の兵士たちの訓練相手をお願いします」

「……別にいいけど、壊れても知らないよ?」

「構いません、死ななければ別に」


 相変わらず、戦闘を職にしている者には冷たいな……まあ、私の訓練についてこれないなら、いずれ死ぬだろうし、間引きと思って強めにやるか。


「……あと、時間は用意しますので、私の戦闘訓練もお願いします」

「ああ、いいよ、兵士どもより、よっぽど有意義だ」

「有意義では罰になりませんからね」

「そういや罰だったね」

「初回の訓練は一時間後に予定しています」


 どうやら、結構大変な感じになりそうだからもう少しエネルギーを補給しないとな。

 ……五つ目のタルトを完食した頃には、直ぐに出なければ間に合わない時間になっていた。

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