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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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174話 黒い翼10

 天音あまねが持ち出したそれに、少し唖然とする……先の尖った金属の棒って、確かに威力はありそうだが、先端以外はただの棒術程度の威力でしかないだろう。


「……何その棒、どこから取り出したの」

「私の武器です、貴女の転移を真似たら出来ました」


 ……転移を真似たのか、普通の人なら出来る事ではないが、小規模で非生物だから、成功したのだろうな……天音の性格的に生物に試す事は無いだろうが。


「で、この状況を何とか出来るの?」

「勝算はあります」

「じゃあ任せる」


 そういって後方に下がり、碧火へきかの相手を譲る。

 当然だが、何時でも動けるように、荊の準備はしておく。



「さて、碧火さんというそうですね……私はあの人のように強くありません、よって、手加減など出来ませんから、どうぞ全力でお相手ください」

「そうですか、ならば、最初から全力で行かせてもらいますよ」


 言い終えると同時に、碧火が雷公鞭を振るい、小さな稲妻が走る。

 それを天音は武器を避雷針のように受け止めた……だが、それを行うことによって通常起こる筈の、天音への感電は起こっていないようだ。持ち手の部分に巻いている革が絶縁体となる……のか?

 天音は、その武器を片手で易々と振るい、碧火に反撃する……一振りごとに空を切る音がするが、重い音だ、相当な破壊力がありそうだな。


「まさか……その武器は」

「はい、貴方のそれと同じ性質の武器です」


 ……ああ、あれも電気を扱うのか、確かにそれなら碧火の雷公鞭を相手にしても戦えるだろう……発生する電気が自身へと逆流しないように作ってある筈だから。

 考えている間も、天音は碧火へと間髪入れずに攻撃を繰り返す……放電を気にする必要がない以上、鞭を相手に距離を詰めるのは正解だ、鞭の近距離の威力は低いからな……逆に鞭の先端の速度は、音速に達する程で、まともな人間なら数発で死ぬ程度の威力がある、碧火のは鉄鞭だから速度はそこまでは行かないだろうが、当たった時の威力は高いはずだ。


 ……てか、天音の武器便利だな、先端の威力は高いし、帯電している為、当たれば勝てる、形状は……大きな()とでもいうべき代物で、そこそこの重量から物理的な破壊力も高そうだ。

 まあ、ゴムの長靴でもはいておけば、感電することは無いんだけど……体から地面に電気が流れないから、それだけで電気は完封できる。


「……駄目ですね、撤退するので見逃しては、貰えないでしょうかね」

「構いませんよ」


 碧火の言葉にそう答えて、天音は私の傍まで下がり、矛を収める。


「彼女を倒したところで、その後が無理ですからね……もう十分でしょう」

「私が来た時点で、諦めたほうがよかったと思うよ」

「そうですね」


 碧火は少し笑って、兵士たちに撤退指示を出す。

 兵士たちは、既に準備を終えており、直ぐに来た道を戻っていった。



星華せいかさん、これは……」

「陽動だね、まあ、帰るよ……()()()ね」

「すぐに戻らなくて、よろしいのですか?」

「私は()()()()に、碧火の軍の脅威を排除した、何か問題ある?」


 ()()()()()()()、それ以上の事をするつもりはない、例え、他方面から軍が迫って居ようと、私は命令された事しかしない。

 天音は違うだろうが。


「私は先に戻ります」

「じゃあ送るよ……魔力的に一人しか運べなかったと言っといて」


 転移を使って、天音を聖神国の門の近くまで送る……転送先の場所の安全と座標については、天使の視界を覗いて確認したから問題ない。

 さて、私は歩いて帰るとしよう……人を守りたい()()()()()、その途中で出会った軍をしっかり追い返しながら。

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