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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
12章 黒い翼
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169話 黒い翼5

 聖神国の門の前に転移し、門番に名を告げると、すぐに天音あまねが案内しに出てきた。


「来ましたか……貴女ならもっと早く来るかと思っていたのですが」

「効果がはっきりしている人質を粗末にはしないだろう、なら多少遅れても問題はない」

とよさんにはそこそこ快適な個室に居てもらってますから、安心してください」


 天軍としてはこれ以上私の機嫌を損ねたくないのだろう……既に手遅れなのだが、丁重に扱って損はない

 という考えだろう。


「天音、天軍は懲りずに帰ってきたようだね」


 国の中心に向かいながら天音に軽い調子で話しかける。


「前回の戦いについては公表されてませんから……それでも、私は実権の無い名だけ高い役職に移動させられましたが」

「……天音はどれだけ妨害されても行動を止めないんだよね?」

「勿論です」


 私の問いは、ただの確認でしかない、この程度で天音が止まることなど、ありえないのだから。


「君は、本当にどこまでも高く飛んでいくのだろうね……それが天にとって目障りであることを承知し、翼を焼き焦がされる事も理解したうえで、それでもなお、名も知らぬ誰かの為に飛ぶことを止めはしない…………なら、私は君の為に溶かされることの無い溶接材で翼を作るとしよう、私はそのためにここに来た」

「……ギリシアの神話の引用ですか」

「引用じゃないけど、元ネタにはした」


 イカロスの翼の話を元ネタにしてみたけど、結構アレだな、真顔で言うと恥ずかしい。

 だが、天音は何かに気付いたようだ。


「もしかして……最初からこの国に来るつもりだったのですか?」

「そうだよ、後は都合のいい理由を探していたんだけど、本当に丁度良かった」

「それを知ったら、天使はどう思うでしょうね」


 無駄に私の不興を買ったのだからね、何も思わないことは無いだろう。


「とはいえ、私では貴女に協力することは出来ないでしょう、天使たちがそれを許すとは思えません」

「そうだねぇ……ま、考えはあるからうまくやってみるよ」


 成功するかは賭けではあるが、天軍を出し抜くための方法はある程度考えている……出来る限り多くの方法を成功させたいが、ある程度は絞ったほうがいいだろう、重要性の低いやつを隠れ蓑にして、重要度の高いものを意識させなければいいんだ、なんとでもやりようはある。


「そろそろですね」

「天音も一緒に居るの?」

「天使との取引の場に連れてくるように言われてますが、口を出さなければ、その場に同席することは出来るでしょう」

「そうか、ならそうしてくれると助かる」

「理由は聞きませんが、分かりました」


 そういって天音が、神殿内の大広間への扉を開けた。

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