表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
11章 閉じられた瞳
164/291

159話 閉じられた瞳20

 私が渡した小箱を開けたとよが、驚いた顔をする。


「……ピアス?」

「そうそう、ノンホールのだけどね」

「結構センスあると思うよ」


 まあ、何度も見た事はあるので、その記憶を基に作れば、そこまで変になるとは思って居ない。

 ……大事なのは豊に似合うかと言う所だ。

 試しに、一度つけて貰うと、サイズ的にはぴったりだし、そこまで悪くも無い、ただ……。


「やっぱり髪の色と少し合わないような気がするね」

星華せいかちゃん……気にしなくて良いよ」

「いや、流石にもうちょっとは拘らせて……じゃないと、豊がセンス無いって思われる」


 改めてみるが、涙型の青い魔石の主張が非常に激しいのだ、何とかならないものか。


「涙型の魔石のてっぺんの金具で固定してるから、むき出しの部分が多いんだよね……これだと宝石が目立ちすぎて、引き立て役にはならないなぁ」

「星華ちゃんになら、似合うんじゃないかな……綺麗な黒髪だし、私より美人だし」

「……確かに私の髪は、黒曜石とか言われるぐらいだから、似合うかもしれないけど、それは豊への贈り物だからね」


 ……そうだな、魔石の露出を減らせばいいか。

 いったん外してもらい、涙型の魔石の一番下から、三本の線を植物の蔓が巻き付く様に、螺旋状に入れてみる……金属を魔法で操作すればいいが、巻き数を良い感じに調整するのが難しいな、巻き付き加減が少なければ主張が激しいままだし、多ければ今度は魔石が見えなくなる。

 何度か調整して、いいバランスになったのを確認してから、再びつけて貰う。

 豊は、手鏡でじっくりと確認ながら、嬉しそうに笑っている。


「うん、これなら普段使いでも大丈夫だね」

「あはは、私はあんまり普段使いは嫌かな……恥ずかしいし、目立ちたがりに見られそうだし」

「分かってる、冗談だよ」

「むしろ私としては()()が欲しかったな~……なんてね」


 豊の言葉に少し固まる……冗談めかしているが、完全に本心からの言葉だ、そして私がその思いにこたえない理由は無い。


「ごめんね、センスに自信が無いから指輪は作らなかったんだよ……でもいつか絶対に作るから、その時は受け取って欲しい」

「うん、いつでも待ってるからね」

「……ありがと」


 センス以外にも理由はある……ずっと付けていられる物だから、最高の守護の効果でも付与しておきたいものだが、基本的に攻撃系の魔道具研究を優先していたため、守護系統の魔道研究は基礎レベルしか出来ていない、アリーにも協力してもらっているが、まだまだ満足できる領域までは、達していないのが現状だ。

 魔道具関連は、聖神国のバックにいる天軍対策にも必要だし、そっちにもリソースを割く必要がでている……痛手を負わせたので少し余裕は出来ただろうが、それでも優先する必要がある事に変わりは無い。

 ……その為、非常に不本意ではあるが、豊への指輪に着手するには、少し時間が掛かりそうだ。

 とまあ、ここまでの理由は美術系統の能力不足による、苦手意識の良い訳ともいえる……聖神国の部分は事実でもあるが。


「別に気にしなくても良いよ……星華ちゃんがくれたのなら、多少下手だったとしても大事にするから」

「その気持ちは嬉しいんだよ、でもね、自分的に満足いってない作品……それも指輪を、プレゼントするってのは、ちょっとね」


 そう言って誤魔化す様に、豊を抱きしめてその頭を撫でる。

 気持ちよさそうに、猫みたいに目を細める姿がとても可愛らしい。

 というか、この感じ……もしかして。


「豊、寝てないみたいだけど、どうしたの?」

「……ここ数日、星華ちゃんが心配だったの」

「ああ、予定より帰るのが遅くなったからね」


 確かに豊には可哀そうな事をしたな……この後は、一旦マーガレットの所に行く積もりだったが、まあいい、今日は豊とゆっくりするとしよう。


「豊、寝よう……一緒に居てあげるから」

「うん、わかった」


 素直に頷く豊を抱き上げて、ベットまで運び、一緒に横になる。

 直ぐに寝息を立て始めた豊に、私もだんだんと眠くなっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ