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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
11章 閉じられた瞳
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157話 閉じられた瞳18

「それでは星華せいかさん……貴女の平穏を祈っています」


 朝になり、出発の準備を終えた私に、天音あまねが言うが、私は苦笑するしかない。


「私に平穏が訪れるのは当分先だろうね……この一件で天使には目を付けられただろうし、アザトースも私の事を気に入ってるみたいだしね」

「……それはまた厄介な相手ですね」


 アザトースに目を付けられているとしても、私程では無い天音が少し羨ましいが、彼女がアザトースに気に入られなかった事を喜ぶべきだろうな。

 とはいえ、天音とアザトースが折り合う事は殆ど無いと言っていいだろう……救世主と愉快犯だから当然だが。


「天使はまたこの街にやって来るでしょう……その時は、貴女にお知らせします」

「ありがとう、常に対策はしているけど、ある程度動向を知れるのは非常に助かるよ」


 天音の頭を撫でて、頬に唇を当てて、軽く舐める……少しは嫌がるかと思ったが、案外気にしていないようだ。


「たまには子ども扱いも悪く無いですね……貴女にならの話ですが」

「そうだね、私も少しはそうして欲しいよ」

「それは難しいでしょう、貴女は子ども扱い出来るような、見た目や雰囲気ではありませんから」

「そうだろうね」


 このままでは何時までも話して居そうで……正直そうして居たいのだが、それはまたの機会にして、話を切り上げる。


「それじゃあ、またね」

「はい、またお会いしましょう」



 天音と別れた後、少し歩いて、私のダンジョンの入り口がある山の、川辺の倒木に腰掛け、空中の一点を見据える。

 一見何もない空間だが、天使長の眼に切り替えて見ると、僅かに歪んでいるのが見える。


「アザトース、言いたい事があるなら出て来い」


 目を元に戻して呼びかけると、空間の歪みからアザトースが出て来る。


「随分便利な力を手に入れたみたいじゃないか」

「お前が嫌いな神の力を奪ったんだ、文句は無いだろう?」

「ああ、無いね……だけど、あんたが、何を目的にしているのかは知りたい」

「話す必要性を感じない」

「ああ、そう……まあいいか、そのうち分かるし」


 案外あっさり諦めたな……何か企んで……いや、それはいつもの事か。


「案ずるな、アザトースの計画には協力してやるさ……その代わり私の計画に口を出すな」

「分かってるよ」

「それならいい……そろそろ帰るから、余り覗くなよ」


 それだけ言って、立ち上がり、アザトースを無視してダンジョンに帰る。

 ……それなりの期間待たせた豊に謝らないとな。

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