15話 侵入者再び
朝起きて訓練、一応セイとエル、ついでにコロにも稽古をつける。
コロの強さは基準が無いからよく分からないけど強いのだろう。
セイとエルの二人ははっきり言って強い、当然かなりの手加減はしているけど私の動きについてこれている。
食事は相変わらず焼いた肉と果物だけだ、とはいえ果物はいくつか見つけているので飽きはしない・・・やっぱ飽きるわ。
そんな事をしていると侵入者のアラームが鳴り響く、まだ変えて無かった、今変えた。
あいつらが戻って来たのかとも思ったが違うようだ。
「山賊の類か、数は三、調べに来た偵察かそれとも・・・」
取り敢えず音声を繋げる。
「これからここを俺たちの根城にする!」
これで全員か、させるか、女なら別だけど、監禁する。
「ここダンジョンじゃないですか?だったらやばいですよ!」
もう遅い、お前たちは目を付けられた。
「なに、もしそうだったら・・・」
「そうだったら?」
「土下座して逃がしてもらう」
逃がしません、野郎の土下座なんて見たくない。
さっさと終わらせようか、男たちの元へと向かう。
「ここで、何をしているの?」
「女だと!」
その反応ちょっと前にも聞いたな。
「ここは私の棲み処だよ、じゃあ死んでもらうよ」
「お前、何様のつもりだ!」
「ダンジョンマスター様、土下座は止めて、見たくない」
一番近くにいた男に抱き着くようにして首の骨を折る。
「じゃあね」
「逃げろ!殺される!」
逃げれる訳が無い、逃がすつもりもない、どの道こいつらも道に迷うんだろうし。
【抜刀術・斬首、公開処刑】
また一人の首が飛び、リーダー格の一人がただ残される。
「やめろ、来るな、近寄るな」
私だって近寄りたくて近寄ってるんじゃないよ。
「そうだなぁ、どう料理してくれようか?」
「なんでもするから助けてくれ!」
「なら、自由帝の居る帝国に行って色々見てきて頂戴」
「具体的には何を?」
「他の国との状況とか情勢とか、あと大きめの地図が手に入ったら持って来て」
「逃げたら帰ってこねぇぞ?」
そのくらい解っている。
「これを見なさい」
懐から取り出した物を見せると男の目の色が変わる。
「金じゃねぇか!」
「そう純金、金貨もあるけど帝国で使われているのと同じか解らないから金塊を渡しておくわ」
「まだあるのか?」
「当然よ、これで私に従う価値が出来たでしょう?」
「ああ」
「じゃあ帰って来てね、あと帝国の通貨をサンプルに全種類持って来て一つずつ、対価は払うから」
山賊を手なずけるのは容易だ買収すればいい、定収の無い職業だし、信用されないから雇ってももらえないが、ダンジョンマスターなら問題ない、似たようなものだからね。
「仲間は返せないけどお願いね」
「実はあいつらは俺を裏切るつもりだったみたいで、切り捨てるチャンスを狙ってたんです」
「証拠はあったの?」
「はい」
ならいい、賢い選択というべきだろう。
「一人じゃ大変じゃない?」
「帝国にも奴隷商はいますから、一人ぐらい買えるでしょう」
「なら大丈夫ね、最後に貴方の名前を聞いておくわ」
「ジークフリードだ、長いからジークでいい」
「そうね、私はニュクス・ナイトメモリー、偽名だけどこれで通すつもりだから構わないでしょう」
「わかった、それじゃあ俺は行くぜ」
「これ、ダンジョンの一階層のマップだから、無くさないようにね」
地図を渡す、無いと迷うのは確定だから。
ジークが帰りマスタールームで確認を行う。
DPが500溜まって居た、村人なんかとは比べ物にならないな。
今は召喚だ50DPの吸血蝙蝠を10匹召喚する。
ヴァンパイアバットは大型の蝙蝠で集団で襲い掛かり血を吸う。
現状は絶対に迷う洞窟よりは森に居てもらう。
森は私の趣味で常に夜になっているから蝙蝠の活動に支障はない。
「やっぱり交渉上手だね~」
「暇なのかアザトース?」
「最近他のダンジョンは見るも無残な状況でね~モンスターは少ないけど多分ここが特に発展してるんじゃないかな」
「もう夜か、あいつらとの交渉に時間がかかったな、蝙蝠の配置も大変だったし」
「もう寝るの?」
「そうだね、一緒に寝る?」
「・・・やめとく」
そういってアザトースはいつものように帰って行く。
「セイ、一緒に寝る?」
『はい』
取り敢えずいつもの様にセイと一緒のベットにもぐりこむ、現状ベットは二つしかないから仕方ないよね
さて、ジークはどのぐらい役に立つかな、しばらくかかるだろうけど期待しておこうか。